04 プロローグ1
04 プロローグ1
私はエレナ・ルビーライト、エルフで6歳の幼女だが5歳の誕生日の数か月後、近くにある森の奥地にある精霊が多く居る泉に連れていかれた。ふわっと発光して見えるふよふよ漂ういかにも精霊然とした精霊たちに好かれ、もみくちゃにされた際に記憶やら何やらを植え付けられてしまったらしい。
エルフの母ユミル曰く、
「すっごい神秘的になったわねぇ~、魔法適性も相当上がってるみたいだけど大丈夫かしら?」
ハーフヴァンパイアの父ダイン曰く、
「元気に育ってくれれば問題ないさ!エレナの笑顔見る限り、心配しなくていいかな?まるで天子のようだ!ほーらパパの高い高いだぞー」
父ダインに抱えられながら私は幼児らしく周囲へと視線をきょろきょろと忙しなくしながら手をブンブンと振りしきり喜んでいた。
「えへへ~っ」
「あらあら、精霊に大人気みたいねぇ」
「エレナは輝いてるな!よぅ~し、今晩はハンバーグにしような!」
「えへぇ~~、はんばーぐっ!」
森の泉から帰ってから、徐々に前世の記憶とこの世界の知識が溢れてくる日々が続き、私が今世で6歳と数か月となった時に前世の記憶を強く意識する様になり現在に至っている。そして今は睡眠中...
[神]『もしもし、聞こえますか~、私は神です。今、念話で直接あなたに話しかけています』
(変な夢だなぁ~、寝よ、いや、今寝てるからこれなんだっけ、明晰夢って奴かな? 美幼女の女神で上目遣いなら話す気力沸くんだけどね~おしい。。。)
[神]『もしも~し、無視しないで下さいよ~、聞こえてるの分かってるんですよ~?あとなんか失礼な事考えてませんか?ねぇ、ねぇ?』
(っく、なんだこのイラつく感じは。鈴の音みたいな女神ボイスなのに、悪質な新興宗教の信者かなにかかよ、ここは一つ返事でも…)
[エレナ]『あ、はい...?』
[神]『あっ、やっと返事してくれましたね。私はこの世界の神です、神は沢山いるのでとりあえず便宜上、理の神、とでもしておきましょう』
[理の神]『はい、まずは今のあなたの状況を説明しますね。何か分からない事があったら質問してみてください』
(幼女じゃない…だとっ!? グラマラスエロボディ系秘書っぽいけど眼鏡に女神服、でもちょっと天然入ってそうな緩いノリ、コイツとは会話してもよさそうだな)
[エレナ]『じゃあまずは、俺の体、というか日本での俺はどうなった?』
[理の神]『仕事帰りに飲んで帰って寝たのは覚えてます?』
[エレナ]『うん、結構飲んだ後に帰って寝たのは覚えてる』
[理の神]『その後、仰向けで寝ている間にゲロで窒息死したみたいですよ』
[エレナ]『…え、ウソ、だよね? 普通苦しくて起きるんじゃ… 「みたい」ってあれでしょ?ホントは事故死に見せかけたけど実はどっかの神の不手際だったとか、何チャラのとばっちりの影響とかで…ワンチャンあるよね!?』
[理の神]『残念ながら普通に事実ですよ、私はそちらの世界の神から又聞きしたので「みたい」といっただけですよ~ホント。聞いた話だとそちらの世界だとなんでも計算されつくした物質が美しいとかで奇跡も魔法もないんだとか』
[エレナ]『え~、奇跡も魔法もワンチャンも無いのか…』
[理の神]『そういうことですね。それで、死亡時に魂が回収され、再利用されるんですが、そちらの世界の受け入れ余剰容量が足りなくなってきているので、あなたの魂はこちらの世界に送られてきた、ということになります。こっちの世界では奇跡も魔法も、何のチャンスかわかりませんがワンチャンもきっとありますよ』
[エレナ]『ぐぬぬ、わかった認知するわ~。テンプレ的な転生事案なわけだな、はぁ~、それじゃあテンプレ様式美的にチートぷりーず』
[理の神]『逞しいですねぇ… ひょっとしてかなり嬉しかったりします?』
[エレナ]『割とな、こちらに喚んでくれてありがとう。そしてチートくれ』
[理の神]『もう相当あげてますよ?更に欲しい物がある場合は、世界を乱す系統の危険物でない限りあげますけど。…っと、その前に今のエレナさんの説明しますね。まず、体はエルフ幼女ですね、ニコポでダメな大人を量産しそうな美幼女』
[エレナ]『おう、イェス いいぉ』(ちょっと脳汁出かけたわ)『幼女から成長する?』
[理の神]『そのまま、になると思います。去年あたりに沢山の精霊と契約しましたよね?』
[エレナ]『なんか触れ合ったのは覚えてるわ』
[理の神]『それです。エルフは核となる精霊と魂を持ってるんですが、魔法やら加護やらを追加する為に、精霊と契約するんですよ。体の中に住まわせるイメージですね。その時に、あなたの魂とこの世界の知識を持ってる精霊がエレナちゃんの中に定着したのです。もう馴染んだみたいですし滅多な事が無い限りそのまま安定ですね』
[エレナ]『ほうほう、幼女了解した』
[理の神]『ふぅ…ちょっとはしょりますね。時空魔法の使い方わかります?』
[エレナ]『わかるな、たぶん』
[理の神]『大丈夫そうですね、次は…』
[エレナ]『おい、それでいいのか?せんせー!自分何にも分かりません!』
[理の神]『ダイジョウブデスヨ。後はほぼ全ての魔法が使えますね。エルフの特性はなんとなく分かると思いますが、不老で魔法と知力特化です。エレナちゃんは精霊にかなり偏ってるので肉体損傷では致命傷にならないと思います。たとえばドラゴンにパックリされても精霊の多い場所で復活するでしょう』
[エレナ]『すてきなチートですね』
[理の神]『そうでしょう、そうでしょう』
[エレナ]『で、エロい事できんの?この幼女ボディー』
[理の神]『やればできると思いますが、エッチな事されるとたぶん肉体的に死にますよ?幼女ですし…子供も産めませんかね、幼女ですし』
[エレナ]『そか…』
[理の神]『能力は時間とともに成長するので、いつの日か、状態変化の魔法でごり押しとか、体が丈夫になってなんとかできる目がワンチャンですね』
[エレナ]『将来的にはワンチャンあるのか、なんとかやっていけそうだわ』
[理の神]『あ~でも、この世界のエレナちゃんの魂の核、正確には元になった強力な精霊が主導権握ってるので行動全般が幼女っぽくなると思います。イメージとしては体に引っ張られると言った感覚でしょうか。原因は色々あるので、一概に主要因は決めかねますが』
[エレナ]『まじかよ、めっちゃ覚えあるわぁ~。「はんばぁ~ぐだいすき!にんじんきぁい!」とか言っちゃうのはそのせいか』
[理の神]『…ワンチャンありますよワンチャン』
[エレナ]『キサマ…ホントだろうな』
[理の神]『…、まぁそんな感じですね。次は何説明しましょうか?』
[エレナ]『ふえぇ、女神が露骨にスルーしたぁ~。じゃあ魔法の他にもスキルとか魔眼とか聖剣とか無限容量のアイテムボックスとかその辺どうなってるの?』
[理の神]『魔法超特化以外は一般的なのエルフの幼女ですね。そういう細々とした調整はできないんですよ~。大体は魔法で代用できますよ。エルフは普段使いの魔法なら無詠唱でさっと発動できます。エレナちゃんの場合は複合魔法もマスターしてるので魔力さえ続けば色々できますよ』
[エレナ]『たとえば聖剣は?』
[理の神]『そうですねぇ、付与魔法、「隠蔽」の魔法、光魔法、支援魔法、浄化魔法あたりを複合魔法で無詠唱で発動すればヒノキの棒でも聖剣にイメチェンできますよ。「聖剣ヒノキボルグの錆にしてくれる」とか切りかかればバレマセンヨ』
[エレナ]『いいのかそれで!?その後にその棒キレに付加価値付けて売ったりしちゃったり…とか』
[理の神]『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。聖剣ごっこを一振り一時間維持するのに魔力数百の消費くらいですか。聖剣を魔法ベースで作るなら魔力を数千注ぎ込めば作れる程度です。この消費魔力、要はMPですね。人によって尺度が違うので統一的な量が決まらないので目安と思ってください』
[エレナ]『なんとなくわかった』
[理の神]『チートスキルなんて飾りです、偉い神様にはそれが分からんのです!。魔法だけでも100%ぅゎょぅι゛ょっょぃできます!』
[エレナ]『か、感動した!!』
[理の神]『けっこう結構。あらかた説明しましたかね。それでですね、あなたにはやって貰いたい事があると言いますか…』
[エレナ]『きたか…ちょっと言うてみぃ?』
[理の神]『そっちの世界に「レガシー・フロンティア」というゲームがあったのご存知ですか?』
[エレナ]『あったな、というか予約してた』
[理の神]『あのゲーム、こっちの世界に魂を呼び込むための架け橋といいますか、まぁ広告塔みたいなものです。この世界の恒常的な魂不足を解消したいので、異世界からスムーズに来て貰えたらなって』
[エレナ]『嫌に現実的なやり口だな、それで?』
[理の神]『あなたのように、そちらの世界が前世だった魂がヒュンヒュンと転生してくるので、転生者を見守って欲しい感じですかね?』
[エレナ]『なぜに疑問形、どのくらい来るんだよ、俺一人でやるのかよ、もうちょい具体的によろしく』
[理の神]『そちらの世界の神の試算では年内に数万人、その後は一年毎に一万人前後来るらしいですよ。世界のバランスを見ながら、あなたの同僚を増やしていく予定です。オンラインRPGで言うところのGMみたいな事をして欲しいわけです。つきましては、当座は最低限世界のバランスを維持してください』
[エレナ]『話は分かった、給料くれる?、有給ある?社員旅行ある?』
[理の神]『チートあるじゃないですか、自営業みたいなものなんでサマータイム入れようが好きにしてください。給料というわけではないですが、仕事道具として真理の魔眼を贈呈しますね。あとそのうち念話でやり取りできる掲示板とかインフラ整備する予定です』
[エレナ]『良い職場っぽいな、コンゴトモヨロシク』
[理の神]『はい、こんなものですかね。あとは様子を見ながら調整します。…あ、二つ名とかいりますか?』
[エレナ]『じゃあ【絶対神】でよろしく』
[理の神]『そうゆうのはダメです。神の名を冠するもので使えるのは……邪神とか悪神とかしかないですね。ちなみに邪神にすると名前に引っ張られすぎて、最終的には封印とか監禁とか拷問されたのちに消滅します』
[エレナ]『ひぇ…やっぱ神様やめます』
[理の神]『魔法幼女マジカル☆エレナ とかぴったりだと思います』
[エレナ]『なにこれイジメか! 流石にそれはキチィょぅ』
[理の神]『次点で、「座敷童子」「魔導精霊」「朱月」「朧幼女」とかだと親和性が高いですよ』
[エレナ]『その中だと「座敷童子」が良さそうだな、座ってるだけで仕事できそう。サイコキネシスとか使えるんでしょ?エスパータイプは最強と相場が決まってるからな』
[理の神]『そういう判断基準なら「朧幼女」の方がいですよ、「座敷童子」だと金に目がくらんだ大人が寄ってきやすくなります。「朧幼女」は意味があまり無いので楽ですよ』
[エレナ]『ふむ…では「朧幼女」で頼む』
[理の神]『はいはい、理の神の名のもとに名付けさせていただきます』≪『あなたの字は【朧幼女】です』≫
[エレナ]『なんだお前、めっちゃ神々しい…溶けるわぁ』
[理の神]『次回の念話からはコテハン使う場面では自動で[朧幼女]になりますよ』
[朧幼女]『…っは、もうかわってる』
[理の神]『では、楽しんでいってください~ ……仕事も忘れないでくださいね~』
(それにしてもエレナさんの核となっている精霊、天界から来たみたいですけど来歴が見通せなかったですね。精霊として落ち着いているみたいですし大丈夫かな?)
「さて異世界からの魂の受け入れ準備しないとですね」
夜は更けていった......
(※作者から注釈※ 「コテハン」は「固定ハンドルネーム」の略称で、主にネットなどの不特定多数がコミュニティを形成する場で自ら特定の名を名乗る時に用いる名前を指します。
例:
[名無しのゲーマー]このボスめっちゃ硬いんだけど…
[名無しのゲーマー]側面からの斬撃を浴びせれば怯みやすいらしいぞ
[名無しのゲーマー]もうやったんですけど?死んだんですけど?
[名無しのゲーマー]はぁ~、ありえんわ
[疾風の茸]それデマだからな、コイツの弱点は背面からの炎属性の斬撃だぞ
[名無しのゲーマー]あ"、なに?
[名無しのゲーマー]コw テw ハw ンw とw かw
[名無しのゲーマー]こいつ先週も沸いてたよな
[名無しのゲーマー]いや、そいつの言ってる事本当だぞ
[名無しのゲーマー]は~い、自演援護入りました~
[名無しのゲーマー]いや、自演でそんなこと言わんだろ?
[名無しのゲーマー]そもそも数レスの間に援護できる人間が入ってくるのありえね~だろw
の、ようにあまりいい意味で使われることは無いかもしれない。でもコテハン付けると何者かに成れたような気がするのかもしれない)