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17 ようこそフロンティアへ11

17 ようこそフロンティアへ11


 三階層も粗方探索しつくして、さて次の部屋となった。


「皆、ここでちょっと休憩しよう。その扉の向こうにはボスが居るっぽいよ」


 折角ついて来たんだし、このくらいのマネージメントはしないとな。目の前のいかにもな扉を前に、ツカサ達も、そのオーラみたいなのを感じ取っていたみたいだ。ツカサは『ゴクリッ…』ってやってたし。


「ここは所謂、『ボス前の部屋』だ。他所のボス前はどうだか知らないが、ここは魔物が出ないし罠もない」


 そのように設定されているのが私には分かった。向こうにいるのはジャイアントトレント一匹だ。そういう諸々の情報を教え、今一度装備の点検、軽い打ち合わせをする。そして水を出して水分補給、腹の空いてる奴は携帯食料をもそもそ。これも所謂『死ぬ準備』って奴だな。


 ちょっと気合いが入りすぎていたかもしれない。こちらもそこそこダメージを貰った場面があったが、順当に倒してしまった。ボスらしくふんぞり返って?その場を動かないので、遠距離の火炎系攻撃手段があれば一気に難易度が下がる相手だった。


 ジャイアントトレントはスキル【プレス】【ニードル】というのを持っていた。【プレス】は直撃したらツカサでも一発かもしれない。一度も出なかったが、説明をみるにそんな大技スキルらしい。【ニードル】は尖った割り箸を飛ばしてくる。マシンガンのようには飛んで来ないが、スキルだけあって何回でもしてくる、やっかいなスキルであった。


 最初の方では意表を突かれたのか、ニードルの射線から逃れられなかったエリカが盛大に被弾して

「うっ…あ゛あ゛ぁ~っっ…ひっ…ひっ…ひ」

などともう瀕死のような声を出していた。丈夫な魔導士服を貫通はしなかったみたいだが、チョッキ越しだけどゼロ距離で腹にショットガンを撃ち込まれた、というような状況になっていた。周りが慌ててポーションを投げつけて、救護の防御陣形を取りつつ事なきを得た。

 かわいい白魔導士をこんなにするなんて、っと私も狼狽した。これで血が出てたら即座にジャイアントトレントを吹っ飛ばしてエリカを瞬間回復させていただろう。

 リュウゲンも割り箸を食らって血が出てたが「ってぇな…」と顔を少し顰めながら二の腕の皮の部分に刺さったニードルを引き抜いて自分でポーションをかけていた。コイツはやべえ剣士になるなと思った。リュウゲンは近づくと枝の横払いが躱せないので近づけず、動き回ってニードルを回避してポーションを使うだけになっていてちょっとキレていたかもしれない。

 そんなわけでツカサとカスミのファイアーボールでこんがりと焼いて倒した。特にツカサは盾を構えながらファイアーボール砲台になっていたので大活躍。正直ツカサ一人でも倒せたかもしれない。それは言い過ぎか、とにかく相性がよかった。



 ボスのレア素材は~?と見てみるが、山火事でプスプス言ってる木炭の塊みたいになってて素材回収はダメかな。と思って眺めるが、木炭としても価値があるようだ。いい感じに炭になっている部分を選んで回収した。後ろの方にお約束の宝箱も出現していた。中身は…小さめの魔水晶が入っていた。


 魔水晶は色々な用途のあるアイテムで、魔道具関係で使われる。少し勿体ないが、多少心得のある者ならば魔法を封じる込めることができる。そうした魔水晶が欠けたり砕けたりする時に込められた魔法が瞬時に発動する。

 小さめでもそこそこの大きさの魔法陣の…下級くらいの魔法を封じる事が出来るだろう。


 ジャイアントトレントを倒した時に、ガチャリと音がして、入り口の扉の鍵が解除されたようだった。扉関係のいやらしい罠はここまで無かったが、ボス部屋お約束の閉じ込めはあった様だ。そのことをツカサ達に伝えておく。退路には気を付けろよ~。トラップ部屋に閉じ込められて吊り天井の落下で圧死とかだと、気づかないイコール冒険の書の終わりである。



 更に奥に進むとダンジョンコアのある部屋だった。手前には立て札があって

『訓練用のダンジョンにつき破壊禁止 -アカデメイア学園 -冒険者ギルド・マルタ支部』

と書かれていた。地上に転移できる一方通行の転移魔方陣も設置されていた。


「エリカ、さっきの魔水晶かして。なにか魔法を込めてあげる、どんなのが良い?…」


 脱出用の転移魔法はちょっと収まらない… あのファイアボールは扱いがな~… 召喚魔法?ゲームのやりすぎだ、大きさが足りない… 無難に魔法障壁に決まった。

 投げつければ障壁が即座に現れる。下級魔法ではないが上手く詰め込んで、攻略記念にと渡してやった。備えあればなんとやら。そのまま月並みだけど先生ありがとう的な感謝をされて、転移魔方陣で入り口に帰還した。



 ヒロシ…じゃない、ダウナーなおっさん門番がお前らやったなぁ的なイラつく顔で出迎えてくれた。



 外は夕日が傾く時間になっていた。浅いダンジョンだけどゆっくりみっちり攻略したからね、さもありなん。

 「キサマラ、地道にレベリングするんだぞ」などと先生ぶって別れた。


 …シエラは完全についてきてただけだったな。影の者としてもやっていけそうだ。

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