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11 ようこそフロンティアへ5

11 ようこそフロンティアへ5


「おはようございます、お嬢様」


「おはようシエラ」


 昨日は冒険者登録した後に帰って寝たんだっけ。アカデメイア学園の、私の居るこの塔は『銀の塔』と言うらしい。まぁ私は銀髪で色白幼女だし?ピッタリだと思います。昨日の晩御飯はここの1Fの食堂で食べた。食堂というかレストランだけどね。ナポリタン食べました。

 

[理の神]『おはようございます!』


「お、おはよう!」


「?、おはようございますお嬢様」


 普通に声に出して返事をしてしまった。シエラに挨拶したんだからね、勘違いしないでよね。朝のなんやかんやをシエラに任せつつ、念話をする。


[朧幼女]『ひさしぶり…でもないか、進捗状況はどんな感じ?』


[理の神]『今朝、五千人ほど異世界から転移してきました。そちらの学園に千人ほど居ます。数ヶ月したらまた五千人…というようになると思いますよ』


[朧幼女]『おおっと、私が寝てる間にそんなに来ていたのね。千人はこことして、他の四千人はどこいったん?』


[理の神]『他の大陸のアカデメイアの学園か、信用のおける団体に分散して所属することになります』


[朧幼女]『一匹オオカミは居ないわけね。森とかに放り出されたら普通に死んでしまうし』


[理の神]『希望によって、「テンプレ」でしたか?町の近くの草原で倒れているところを通りかかった商人に町まで運んでもらってギルドで冒険者登録するのがいい。などと言う人がいたので、そのような人もいます』


[朧幼女]『だいじょうぶかそれ?テンプレどおりなら、奴隷にされてハードモード開始になったり、オーガにミンチにされたり攫われて苗床エンドにされたりするぞ』


[理の神]『冒険者登録したり、身元がある程度安定するまでは大丈夫なはずです。『初心者ブースト』ってやつですね』


[朧幼女]『さいですか、人種とか年齢層はどんな感じなの?』


[理の神]『ほとんどがヒューマンですが、他の種族の方も居ますよ。容姿風貌が生前から変化しない方が能力が高い事にしたので大体が「日本人」ぽいですよ。歳は15歳以上35歳以下ですね』


[朧幼女]『なるほど、白い部屋でのテンプレ女神の対応がめんどくさくなったな』


[理の神]『時間圧縮しながら5000人の相手を同時にしましたからね。もう、マジムリ』


[朧幼女]『ん?』


[理の神]『もう、マジ、ムリ』


[朧幼女]『…』


[理の神]『…』


[朧幼女]『えっと、一緒にがんばろうな…?』


[理の神]『次からは私の天使達にも手伝ってもらいます』


[朧幼女]『そうしとけ』


[理の神]『はい。あ、そういえばこれをですね…【天界通販カタログ】差し上げます。ここの念話の要領でカタログが見れますので、注文すれば時空魔法経由で配達されます』


[朧幼女]『ふむ、どれどれ、ここの「ロンキヌスの槍」って例えばどんなんだ?神も一刺しだったりするのかね?』


[理の神]『あーそれはお目が高い、ぶっちゃけロンギヌスの槍のコピー商品ですね。本物はパンドラスターという…金庫のような所に封印されてます。ロンキヌスもそこそこ強いですよ。魔王、勇者くらいなら一刺しですかね。爆発する投擲兵器として何本も飛ばして運用すれば相当強いです』


[朧幼女]『す、すげー。じゃあこのエクス…』


[理の神]『あーそれは必ず1ダメージです』


[朧幼女]『ふ、ふーん』


[理の神]『注ぎ込む魔力が足りないと商品は届かないので注意してくださいね。賃金は魔力の20%ほどです』


[朧幼女]『賃金て…手動でつくってる?』


[理の神]『そんなかんじです』


[朧幼女]『あまり深く聞かない方がよさそうだな…』


[理の神]『では、転移者を宜しくお願いしますね』


[朧幼女]『うん、まだ何もする気ないけど任せとけ』


 なんだか疲れていそうな神との念話が終わった。この後は寝たりするのだろうか。現実世界では一階の食堂で朝食セットを前に座ってる所になっていた。普通に意識はあったけどね。


 朝食はホテルバイキング形式で、シエラが取り分けてくれた。ベーコンとオムレツを食べながら念話で天界通販カタログを見てみる。


 貨幣は軒並み安い。値段は物の体積比例してる印象がある。例えば【天空城塞都市】などは対価の魔力が高すぎて買えそうもない。試しに金貨の項目に魔力をゆっくり流してみるとバーが伸びていって100%になると『 完 』となって、もう一本新しいバーが伸び始めた。


「そうそう、時空魔法で来るんだったね」


 隠蔽魔法と時空魔法を複合してアイテムボックスを作り出す。既に金貨が一枚あるようだ。取り出してみる。何か非常にイケナイことをしている気分になってきた。実際いけないことをしているので弁明の余地はない。


 そっと金貨を自分の財布にしまい、思わず周りをキョロキョロと見回した。教諭だと思われる人が何人か食事をしている。その後は淡々と朝食を済まし。自分のフロアに戻る。



「ちょっと魔法実験するからシエラは私の後ろの方で待機してて」


 実験用の区画で色々と試したりしてみた。この区画の壁は対物理、対魔法、防音に優れているようで、少し派手にやっても問題無い堅牢な空間だ。必要そうな物は時空魔法で作られたアイテムボックスに収納した。お気に入りの「うーたん」なんかもここにしまってある。

 魔道具にもアイテムボックスがあるが、あちらは空間拡張の魔法で作られているので時間が止まらない。


 私の魔力は相当高い事が分かった。詠唱などは必要なく、余程複雑で膨大な魔力を必要とする魔法以外は瞬時に発動される。

 隠蔽魔法をかければ余程の剛の者以外、魔法の痕跡は分からないだろう。魔力の自然回復速度もかなり早い。限界まで使っても一時間くらいで満タンになるんじゃないかと思う。基本的に魔法での魔力枯渇は気にしなくても良さそうだ。


 天界で私の魔力を二本分ほど注ぎ込んでロンキヌスの槍を注文してみた。この槍はかなり魔力を必用とするらしく二本で魔力を使い切った。

 アイテムボックスから引っ張り出す時に刃を触ってしまったらしく指がスパッと飛んだ。


「あっ」


 目にも止まらぬ速さでシエラが槍を取り上げ、私に上級の回復魔法をかける。魔法陣が展開し、即座に指が元通りになる。魔力を使い切っていたので危なかった。


「ありがとう、シエラ」


「お気を付けください、お嬢様」


 想像以上にこれはヤバい、アイテムボックスを体から離して開き、シエラに入れてもらった。封印しておこう。


 もう三時間ほどかけて【マジンの指】という割り箸ほどの魔法の杖と【アサシンの影】というマントっぽい外套を二着通販で取り寄せた。

 マジンの指は持ってるだけで魔法適性、魔法回復、魔法運用効率がかなり上がるらしい。【マジン】という単語は音だけの表記であり、どのような意味なのかは購入者のご想像にお任せになっている。説明文には、『戦場でこの指に指された者は一人として生きて帰らなかった~~凄い魔法使いの指になぞらえられた一品。すごい』とか注釈が入っている。

 アサシンの影は羽織ったり被ったりすると誰かに気づかれにくくなる。こう、マントを見ていると路傍の石でも見ているような意識になってくる。視界にはきちんと写っているが意識できずに風景に溶け込んでいる様な感じである。

 人から言われないと気にも留めない他人の部屋のオブジェみたいな感じだろうか。便利そうだ。私とシエラで一枚づつ持っておこう。


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