第1話 昇る朝日
記念すべき第1話です!!
どうぞ!
「ふわぁ~」
間の抜けた声と、小鳥の囀りが聴こえてくる。
それはつまり、気持ちの良い朝を迎えたということであり、新しい1日が始まるということである。
「エルツ、いい加減起きなさい!もう『始まる』時間よ!」
「うぅ~ん…」
「エルツ!!」
どれだけ声をかけても起きない少年---エルツについに我慢出来なくなった母が、無理やりエルツをベッドから引きずり下ろす。
「あだっ!なんてことするんだよ!」
「そんなの、時間になっても起きないあんたが悪いんでしょう? いいから、さっさと支度をなさい」
何か言い返そうとしたエルツだったが、どう考えても彼が悪いので、寝起きでだるい身体をせっせと動かし、身支度を進める。
「そういや、今日俺の新しい剣が出来上がるんだよ。楽しみだなぁ」
「楽しみだからといって、別に早起きする訳では無いのね…」
母の苦笑を受けつつ、着慣れた紺色の制服に身を包む。
一番上のボタンをつけ終えたちょうどそのとき、インターホンが鳴らされた。
「ほら、あなたがもたもたしてるから来ちゃったじゃない。」
「もたもたしてたかなぁ?ともかく、行ってくるよ」
「ええ、行ってらっしゃい」
母に見送られ、ドアを開けると、そこにいたのは、エルツと同じ、紺色の制服を着た少女だった。
---可憐な少女だった。美しい白髪を長く伸ばし微笑むその姿は、行き交う人々を魅了するだろう。
事実、エルツも少し見とれてしまっていた。
「どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
「い、いや、なんでもないよ。寝起きなんで、ぼーっとしちゃっただけさ」
「ふふっ、大丈夫?それじゃ、行こっか」
幼馴染のルーナと共に歩き出したエルツが向かうのは、彼らが通っている学校、『ハイドラ』である。
こうして、1日というのは始まっていく。ただ少し、普段と違う点を上げるとすれば、『ハイドラ』へ向かう生徒が、エルツと同学年の者しかいないことだろうか。
無論、浮かれているエルツには気付かないことではあるが。