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第110部

第49章 神々の力


定子は剣を再び立てて道を探した。しかし、剣は学校の方向をさした。

「あれ?これって、もう帰れっていう事?」

「そうみたいだね。帰ろう」

そして、リヤカーを引っ張り始めて、森の中に入った。そして、それから何日かしてから、山は鳴動し始めていた。森を通り過ぎて、道に出てきた頃に、噴火が始まった。

「また、噴火を始めたんだな。急ごう。ここも危ない」

道を進んでくと、火山も見えなくなった。


道の真ん中で、誰かがいた。

「あれ?誰だろう」

しゃがみこんでいる人を助けに行った。定子と高志が近づくと、結界が張られた。

「フッフッフ、これで、ここからは出られないぞ」

「お前は…隣のクラスの、桜井国崎!」

上原理美も横にいた。

「さて、どうするのかな?俺達を」

「ドデカクリスタルを渡したら、何もしない」

「そちらさんは、どこにあるんだ?俺達は、持ってはいない」

「確か、桜井は空間系の魔法で、上原は、攻撃系だったわよね」

「そうよ。だから、渡さないと、痛い目を見るわよ。そこの弟さんもね」

「さてさて、それはどうでしょうか」

高志がゆっくりと、非常にゆっくりと桜井に近づく。

「持ってないとするなら、空間移動させたはずだ。という事は、桜井さんの中にあるのと同じ事。という事は、この人の中に入れば、全て取れるっていう事」

結界の外から、鮎と優太が結界を破ろうとするのは、ほとんど不可能だった。なので、結果として、外から眺めるだけとなった。


「さてさて、どの空間にあるのかな?」

高志は、その力を出し始めた。

「一人で作れる空間は、力によって、さまざまな数になる。というわけで、最初に、魔力を計ってから…」

瞬間的に、胸の中に手が入れられた。その手は、胸を貫き、自己空間を実世界上に作り出した。その中に、光り輝く物があった。

「あ、一発で見つかった」

高志は、その手をうまく動かして、クリスタルを全て出させた。国崎は、そのまま少しの間動く事ができなかった。しかし、苦しくはないようだった。

「ちょっと、高志。何をしているのよ」

「だって、眠る前に教えてくれたじゃん。「今回は、部外者をグループに加えてもいいし、戦闘の結果、相手のドデカクリスタルを奪ってもかまいません」って」

「それはそうだけど…だからって…」

ようやく動けるようになった国崎を心配そうに見ていた。

「痛てて、なんだ?さっきのは」

高志は、誰も気がつかない間にドデカクリスタルを回収していた。

「さっきのは、自分の力ですよ。でも元々は、こんなに力なかったんですよ」

「どういう事だ?」

突然、高志の声が誰かの声と重なった。

「これは、自分、スタディン神の力だ。自分は、このものに、物質ではなく、力を与えた」

「高志、何を言い出すの?」

定子が言った。結界が解かれていっていた。

「結界が…弱まっている…」

外にいた鮎達は、中に入る事が出来た。

「どうしたの?高志は」

「神が宿ったみたい」

「神?なんの神だ?」

高志が、定子達の方を向いた。

「エネルギーを司る神。本名、イフニ・スタディンだ」

「スタディン神…なぜ、ここに?」

「自分も学校の方につれて行って欲しい。このクリスタルを集めたら、大変な事になる」

「どういう事?」

「この人の記憶の中に、博物館で見た記憶がある。量的には、2.7543×10^900Jと書かれている。だが、その量は、この惑星全土の魔力に匹敵する。事実上、ドデカクリスタルというのは、ただ単なる、引き金にすぎない。この惑星中にあるそれを一箇所に集める事によって、巨大な魔力の渦が発生する。それを利用し、惑星を巻き込んでの、神の社へ繋がる道を開く。この宇宙、いや、人類やその前の高度知的生命体や宇宙文明でさえ一切成し得なかった事を、この世界で実現しようとしているのだが、それは非常に危ない。どうか、君達で止めて欲しい。実際に起こると、この第3宇宙全土が、いや、この全ての宇宙が危機に晒される」

「どういう事ですか?この宇宙が危機に晒されるとは」

国崎が言った。

「魔力の暴走、神の気の異常照射、一般的には繋がらない場所からの新種のウイルスも、もしかしたらあるかもしれない。我々、神々ですら分からない事もあるのだ」

「神ですら分からない事、そんな事はないと思うのですが」

「当然だろう。宗教的な観点から見ると、神というのは、絶対的な力と千里眼のような先を見通す力が定番だからな。しかし、実際は、元々、私のような一定の寿命しかなかった生命体なのだよ。我々は、ただ、運よく神になれただけ。もしかしたら、なれなかったかもしれない。さらに、この世界は何回も作り直されている。しかし、今回のは、偶発的に発生してしまった宇宙空間。いずれは壊されるはずだったが、神の父たる存在、強いて発音するならば、メフィストフェレスという名の神が、破壊を阻止して、そして、この世界の時間で、137億年と言う時間がたった。元々の神から見れば、短いのかもしれない。しかし、途中参加のような私の存在から見れば、この宇宙は私の寿命から見れば、遥かに長かった。話を元に戻すぞ。この世界の破滅は、既に迫っておる。とめる事はできなくとも、いくらか時間稼ぎ程度は出来る。自分は、ここにいる全ての者に神の力を授ける。しかし、物質以外の力を持つのは、この者のみだ。では、みんな。目をつむってくれるか?では、さーん、にー、いーち!」

強い衝撃波が彼らを覆った。そして、ふと手元を見ると、強制的に具現化していた。

「それぞれ、神に色があるのは知っているだろう?ちなみに自分の色は、藍色だ。だが、時に藍色から変わる時もある。では、たのんだぞ…」

すっと、意識が無くなった。

「高志、大丈夫?」

手を差し出し、背中から落ちるのを防ぐ。高志の周りを取り囲むように、鮎、優太、国崎、それと理美。体はゆっくりと落ちていった。その時、国崎と理美は今まで持っていなかったものを持っている事に気がついた。国崎は赤色の本。理美は虹色の腕輪。

「何これ?」

本と腕輪に気がついた二人は、いろいろ見ていた。

「この本、赤色だ」

「私の腕輪は虹色よ。それに、外れないし」

「赤色の神は、カオイン神。虹色はイフニ神の色だ」

頭を抑えている高志がゆっくりと起き上がった。

「大丈夫か?」

すぐさま優太が近寄り、状態を見た。

「………異常なしだ。どこも悪くない」

ほっとした表情を見せる一行。しかしそれも束の間。すぐに学校に向かう事にした。今度は、国崎と優太がリヤカーを引き、残りは乗り込んでいた。


学校に到着したのは、始業式の10分前だった。

「また遅刻するのは嫌だからな」

「じゃあ、僕はここで降りるよ。ここで待ってる」

「分かった。何かあったらすぐに連絡するから」

「了解、お姉ちゃん」

そして、再びリヤカーを引いて学校に入った。


第50章 学校にて


教室に入ると、始業式の準備をしていた。

「では、最初に…ようやく来たのね。もうすぐ始まるから。それと、そのリヤカーどうにかしなさい」

「ああ、すいません」

「それに、国崎と理美は隣のクラスでしょ。さあ、早くいってきなさい」

二人はリヤカーから降りて、とぼとぼと歩いてった。


「さて、最初に、ドデカクリスタルを回収します。みんな、この箱を回すから、グループごとに固まりなさい。それと、定子、優太、鮎の3人は、後で私の所に来なさい。では、回収しなさい」


3人が集まると、先生は話し始めた。どうやら、彼らだけにしか教えるつもりは無いらしい。

「さて、あなた達。これらは神の物だと言う事を前の先生から聞いているわ。神が直接渡すものだと」

「そう言えば、前の先生はどうなされたのですか?」

「急病で倒れたのよ。私はただの代理で来ているだけ。さて、あなた達の物は一体なんなの?」

「何の事でしょうか?」

「とぼけないで。私は前の先生から聞かされたのですよ。佳苗定子、武中鮎、竹中優太。この3人は、神の力を有する物質を保有している。でも、誰にも話した事がない事なんだけどね、私も持っているのよ。ほら、この指輪が私が持っている神の物質」

その指輪は透明でしっかりと左薬指の第2関節の所に入っており、抜けないようになっていた。

「まるでガラスみたいでしょ。これは、透明だから、カオス神の力が入っているのよ。今は、ほとんど使わなくなったけども、ここ最近は、何かと反応するようになったのよ。他に、持っている人はいないの?」

「隣のクラスの国崎と理美も持っています。彼らは、カオイン神とイフニ神ですね」

「そう…まるで、伝説どおりね」

「伝説?どんな伝説ですか?」

鮎が聞いた。

「世界が滅びる前によくはやる終末伝説の一種みたいなものよ。でも、これが作られたのは、約5000年ぐらいまえ。紀元前2000年ぐらいね。「世界は7つの神により支配される。さらに、増え、12人。だが、13人目の神は世界を滅ぼす。元の神は力を与え、最後の神は力を奪う。最後の神は元の神に平伏し、そして消える。元の神は不和が絶えず世界は滅びる。そして、再び新たなる神のみの世界が作られる」この場合の、元の神とは、知っての通りの、カオイン神、ガイエン神、エクセウン神、アントイン神、サイン神、カオス神、イフニ神ね。増えた神とは、スタディン神、クシャトル神、ショウヘイ神、ナガミ神、カナエ神ね。これで、12人。おそらく、元の神は力を与え、と言うのは、今の状態、それぞれの力を分け与えて戦わせる事にする。最後の神は力を奪う、と言うのは、おそらく、魔力の吸収ね」

「魔力って、吸収できるんですね」

「ええ。でも、ほとんど行われないのが実情ね。罰則的な効果があるから…」

「なるほど」

その時、放送がかかり、体育館に集合するように言われた。

「あなた達は先に行きなさい。私達もすぐに行くでしょう」


そして、定子は、体育館で始業式の最中、ずっと、伝説について考えていた。


体育館から帰り、教室で先生を待っている時に、いつもの3人組が、定子の机の周りに集まっていた。

「ねえ、あの伝説の最後って、どう言う事だと思う?」

「先生が話してくれた、あの伝説か?」

定子が始業式で考えていたことを話した。

「あの伝説の最後って、この宇宙がばらばらになるか、それとも、別の宇宙が生まれるかと言う事でしょう?で、新たなる神が新しい宇宙を創るって言う事なんだけど、もしかして、増えた神が、ひとつになって今までとは違う宇宙空間を作るって言う、そう言う事かなって、思ってて」

その時、教室の扉が開き、先生が入ってきたので、この話はいったん、休止となった。


「さて、まず、今学期の事から話しておきます。今年は、2年生の定期テストは、期末のみとし、範囲は一年生からの全てとします。さらに、今年は特別に、内容を先に発表します。期末テストの内容は…」

内容を言おうとした時、外から爆風が吹き込んだ。先生は一瞬で結界を張り、窓ガラスは中に入ってこなかった。窓際にいた生徒は慌てて教室の中心部に集まった。いったん収まった爆風は、続いて吹き返しの風となっていた。しかし、結界のおかげで教室は安全だった。風が収まったのを確認すると、結界を一部開放して、外を見た。職員室棟が基盤から消滅していた。先生は、みんなの方を見て言った。

「避難しなさい。運動場か家か、それともどこか遠いところか」

そして、放送がかかった。運動場に避難してくれと言う事だった。

「運動場ね。分かった。ではみんなは、運動場に避難して。私もすぐに追いかけるから」

しかし、定子、優太、鮎は運動場に行かなかった。既に決意を固めた顔を見て、先生も行かせはしなかった。

「行くわよ」

先生を先頭に、爆発現場に走って行った。


元々職員室棟があった場所は、地盤が柔らかい所で、すぐに倒壊の危機に指定されるほどであった。地震があったら真っ先に倒れる建物と言われていたほどであった。しかし、その下はこの学校の敷地の中でも最強の硬い地層があり、この職員室棟は、その地層に基盤を作っていた。しかし、その基盤ごとえぐられるようにしてとても深い穴が開いていた。いや、深いと言うよりも、真っ黒なのだ。何も色を見せない黒さ。下とかそう言う事ではない、ただ、穴に黒い霧のような物があり、それが下を見せないようにしていたのだ。しかし、職員室棟には、発生当時誰もいなかったと言われている。だが、このとき、下では校長となぞの男がある作業をしていた。さらに、この爆発は、周囲の家を数棟破壊し、消防隊員が駆けつけていた。すでに、定子達が来た時には消防の人が来ていて、警察の車も数台止まっていた。


「すいません。この学校のものですが」

「では、お入りください」

先生は、テープを張っていた警官に話して、中に入れてもらった。

「この穴はなんですか?」

優太が聞いた。不安なので、それぞれの神から授かったものを持っている。さらに、ちょっとしてから、理美と国崎も来た。やはり、神の物を持っていた。

「学校関係者です。通してください」

「どうぞ」

すでに、カメラを持ったリポーターが数人到着していた。その人達は、外から見ていた。優太が聞いた事と同じ事を国崎も聞いた。

「この黒い穴はなんですか?」

「これは、神の社へ通じている穴だ。この惑星全体を巻き込んで穴を作るつもりなのだろう。まもなくここも危なくなる。ところで、校長は?」

「おそらく、この穴の中と思います。ここ最近、この下の地下倉庫でいろいろとしていましたから」

鮎が言った。その時、テープの向こう側から高志の声がした。

「お姉ちゃん。大丈夫?」

「うん、私は大丈夫よ」

近づいて、中に入れさせた。そして、この穴を見て、同じ事を聞いた。

「この穴は?」

「これは、神の社に通じる道よ。ここを通って、向こう側に行くの」

突然、高志は別の意識に支配されたようだった。その意識が言った。

「なんだと!だとすると、ここでこのようにしている暇はない。既に道が出来たなら、この惑星が崩壊する。すぐに惑星政府に言って、この惑星全土からの避難を開始するようにしてくれ。恐らく魔法省の緊急避難実施部隊がいるはずだ」

すぐさまそれは実行された。その間にも、この穴は大きくなっていっていた。気がついたら、この学校全土を飲み込んでいた。

「これ、どういう事?」

先生が言った。既に先生が知っている知識を大きく上回った出来事が起こっていたからだ。高志に取り付いていたスタディン神が高志の体から抜け出し、実体化した。高志は元の意識に戻ったようだ。

「これは、惑星を喰っているといえば最も分かりやすいだろう。もともと、この惑星系自体、魔力の塊だ。そこにさらに封印と言う名目で、大量の魔力を送り続けた。その結果、この惑星は、ちょっとした衝撃で簡単に神の社に通じる穴が開くほど柔らかくなってしまった。それを全て使うと、この宇宙は崩壊する。神々は引き裂かれ、そして、最後の神のみが生き残るだろう。戦争は絶えず、この世は地獄と化す」

「どうやって止めるの?」

先生がスタディン神に聞いた。

「我々も神の社に行く必要がある。だが、この道ではない方法で」

「じゃあ、このネックレスは?」

高志は首にかけていたネックレスを外した。スタディン神はそれを受け取ると何も言わずに、ある模様を書いた。

「それぞれの点の上に立ってくれ。……そう、それでいい。では、目をつむっていてくれ」

その後、呪文詠唱が続いた。そして、熱さを感じた時、意識を失った。

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