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第109部

第48章 新たなる仲間


地上では、久しぶりの家にそれぞれ帰っていた。そして、佳苗は、ふと思い出して、家の物置を探していた。それを佳苗のお父さんとお母さんが見つけた。

「何しているんだ?物置で」

「探し物。昔あったでしょ?あの本」

「ああ、「魔法図鑑」ね。あれは、あの棚を探して見なさい」

お母さんが指差したのは、とある棚だった。

「何にも見えないけど?」

「じゃあ、こうすれば?」

呪文を唱えると、棚の上の空間が光り、そして、本が出てきた。

「昔、魔法省が出来た頃、魔法関係の書物や呪文集などを強制的に納入させられたのよ。でも、実際はあまり集まらなかった。なぜなら、魔法省の役人は、魔法が使えない人ばかりだったからよ。だから、納入じゃなくて、買い上げって言う形にしたら、すぐに集まったらしいわ。で、この本は、その時に、買い上げを拒否した品よ。でも、こんな古い本取り出してどうしたの?」

「ちょっと、知的好奇心があって」

「まあ、持っていってもいいわよ。でも、必ず返してよね」

「え?本当!」

「ええ、いいわよ」

佳苗は、そのまま魔法図鑑を部屋に運んでいった。そして、神の所を開いた。この本は、新暦290年に初版が出ていたが、この本は、新暦1000年改訂版だった。今から20年前だった。

「私が生まれる前、でも、神は、12人いる。えっと、あれ?でも、13個の項目がある。

今いるのは、カオス神、スタディン神、クシャトル神、ショウヘイ神、ナガミ神、カナエ神、カオイン神、ガイエン神、エクセウン神、アントイン神、サイン神、イフニ神。じゃあ、最後の神は一体誰?」

その時、弟が入って来た。

「お姉ちゃん、何しているの?」

「ああ、高志?実はね…」

佳苗は、物知りな弟に話をした。それを聞いて、高志は答えた。

「それは、あの人だね」

「あの人?」

「神の父たる存在の人がいるという話なんだ。だけど、それは、神ですら発音できないと言う。強いて言うならば、メフィストフェレスって言うらしいよ。でも、基本的には、この世界の神には数えない事になっているね。だって、この世界にほとんど関与していないんだからね」

「さすがね。ありがと、教えてくれて」

「うん。あ、そうそう、ここに来たのはね、この本を教えて欲しかったからなんだ」

見せたのは、錬金術の本だった。

「ごめんね。私、錬金術は分からないから」

「そう、まあ、いいや。じゃあ、お父さんに聞いてくるよ」

そのまま、部屋のドアを閉めて降りていく足音がした。

「メフィストフェレス神、この本には、神の中の神、全ての神を操ることが出来る唯一の存在って書いてあるけど、本当なのかな…」

考えても埒があかないので、そのまま寝る事にした。


翌朝、昨日のままの服も嫌だったので、とりあえず、着替える事にした。そして、下に降りると、家族のような顔をして、雄太と鮎が朝ご飯を食べていた。

「あれ?もう来たの?」

「もう来たのじゃない。もう、朝の10時だよ。あまりに遅いから見に来たら、まだ寝てるし、こっちはお腹が空くから、仕方がなく上がらせてもらって、で、ご飯をもらっているところだよ」

「…そう。まあいいわ。私もご飯食べてから出発しましょ」

「そうね、急いでも仕方ないし、それに、この辺りのドデカクリスタルは、既に取りつくされているだろうし」

そして、彼らは、佳苗の家でご飯を食べていた。食べている間に、高志が降りてきた。

「お姉ちゃん、もう出るの?」

「うん。そうよ」

「ねえ、僕も付いていっていい?」

「それはいけないわ」

お母さんが止める。

「高志には、学校があるでしょう?」

「学校言ったって、通信制だし、それに、もう、お姉ちゃんの学校に入学する事は決まっているんだから、結局いっても変わらないよ」

「…いいわ。ついておいで」

「定子、何言っているの?この子は、まだ14歳よ。そりゃ、来年は義務教育が終わって、魔法学校に入学するけれども、それでも…」

「それでも、世界を見せたほうがいいと思うがな」

お父さんが言った。お母さんは、仕方ないと言う顔をして、

「いいわ。でも、これを持って行きなさい」

お母さんは、首にかけていたネックレスを外した。お母さんが説明した。

「このネックレスは、昔、スタディンの子孫の人が、大統領職にいた時、革命が起こって、なんやらこんやらで、私達の祖先が持つ事になったの。なんでかは、伝わってきていないわ。でも、ひとつだけ分かっている事があるの。このネックレスは、神の社に行けるのよ」

「そんな事ないよ。だって、本物は、博物館に寄贈されていて、それぞれの宇宙空間にあるそうだけど…」

「博物館以外にある唯一のネックレスよ。それを高志にあげる。だから、ちゃんと帰ってきてね」

首にそのネックレスをかけて、高志が言った。

「分かってるよ」

そして、ご飯を食べ終わった。

「では、行ってきます」

「ああ、ちゃんと帰ってこいよ」

そして、それぞれの家族に見送られながら、町から出て行った。


第49章 火山


「最初はどこに向かうの?」

高志が言った。

「剣に聞いたらどう?そのためにあるんだから」

鮎が言った。

「剣?」

「そう、神の剣。えっと、何の神だっけ?」

剣を体の中から出したように見えた佳苗が言った。

「アントイン神よ。優太、高志、止めて」

男がリヤカーを引いていた。その力を緩めて、そして、止めた。佳苗は地面に降り、剣先を地面に立て、そのまま手を上に離した。剣は微妙なバランスを保っていたが、そのうちに、ある方向に倒れた。

「こっちだって」

その方向は、森だった。うっそうと茂っている森を抜けると、そこは、湯気が立ち込める火山だった。

「ここに、ドデカクリスタルがあるって言う事?」

「そうだね。元々ドデカクリスタル自体、ダイヤモンドだから、火山の近くにあっても不思議じゃないんだ。この惑星で、特殊な噴火、音速を超える超高速で吹き上がるキンバーライトマグマの噴火、が起こっているのは、すでに、数百年間上がっていないんだ。昔は、よく起こっていたらしいんだけどね。異常な魔力によって、キンバーライトが発生する上部マントル層の対流が、鈍化した事が原因なんだ。でも、開放されてから、再び活発化して、こんな感じの火山を作るそうだよ」

高志が言う。しかし、他の3人の内、誰一人として理解していなかった。

「もっと簡単に言ってくれないかな?まったく理解できなかったんだけど」

鮎が言う。ここで、いったん休憩をかねて位置の確認をする事にした。再び、定子が剣をたてる。その横で、高志が再び説明していた。

「つまりは、ドデカクリスタルは、元々ダイヤモンドで、魔力を吸って変質したって言う事だよ」

「ダイヤモンドの成り立ちなんて、全然関係ないじゃないの。ま、いいけどね」

鮎が言った。そして、定子に近づいて、剣の向きを見た。火山のちょうど真ん中だった。

「ねえ、どうやってあそこに入るの?」

優太は盾を取り出して、言った。

「神の力でも借りるか?そうでもしないと回収なんて無理だぞ」

「じゃあ、これを使ったら?」

高志は、ビンに入った液体を取り出した。

「これは、何?」

定子が聞いた。

「昨日、お姉ちゃんの魔法図鑑を見ていて、偶然目に入った薬品だよ。これを飲むと、熱いところでも、空気と同じように出来るらしいよ」

「あんまり信憑性がないわね。高志が試したら?場所教えてあげるから、取りにいったらどうよ」

「え?僕が?そんなの無理だよ」

そう言いながらも、その液体を飲む。

「一口だけ飲んだら効果が出てくるんだって。効果の持続時間は、飲む量に比例するんだけど、1mlで、だいたい30分だって。効果の範囲は、自分の重心を中心として直径2mの球体の中だって」

「じゃあ、十分ね。さあ、いってらっしゃい。ちゃんと命綱は持っておいてあげますから」

鮎が言って、高志は、溶岩流の中に入った。


それから10分ぐらいして、帰ってきた。

「ただいま」

「おかえり。ちゃんと薬、出来てた見たいね」

「お姉ちゃん、もしかして、僕を実験台にしたの?」

「そうよ。だって、死んだら嫌じゃないの」

高志の手には、黒色と青色と赤色のドデカクリスタルがあった。

「あれ?3つもあったの?」

「うん。他にもいろいろあったよ。もう一度、剣に聞いたら?」

定子は、再び剣を取り出した。そして、同じ方向に剣が倒れた。

「やっぱりね。この中に、もっとたくさんあるようね」

「誰か手伝ってよ。本当にたくさんあるんだから」

高志が泣きついてきた。

「じゃあ、優太。いってらっしゃい」

「え?俺?なんでだよ」

「だって、こんなにか弱い女の子にこんな危険な作業をやらすって言うの?分かったら、さっさと、ほら。薬飲んで、いってらっしゃい!」

袋を押し付けて、薬を無理やり二人に飲まして、最後には、飲み込んだと同時に、蹴飛ばして溶岩流の中に入れた。


地上では、女子二人が待っていた。突然、鮎が話した。どうやら、不安らしい。

「ねえ、なんか話してよ」

「何かって、何を話せばいいのよ。話すって言ったって、たくさんあるんだから」

「何でもいいから。思いついたやつ」

「そうね…。そう言えば、登校日に校長の姿、見た?」

「いいえ、見てないわね。どうしたの?」

「あの校長の事だから、教室にでも見に来ると思ったら、来ないし。でも、おかしなことを聞いたのよ」

「なに?おかしなことって」

「あの学校の職員室棟のちょうど下に、大きな地下倉庫があるのは知っているよね。あそこの入り口に、全身黒一色に近い、靴下だけが白色だったそうだけど、そんな人が入っていったんだって。で、その直前に、入っていった人が、校長だったっていう話」

「どこが変なのよ。地下倉庫の確認でも行ったんでしょう?」

「一日もかけて?この話は、午前6時。それから、誰一人として校長が出てきたのを目撃していないの。おそらく、夜中にでも出ていったんでしょうけども、あそこの地下倉庫は一日もかかるほど大きくないわよ。だって、魔法物質は魔法省の管轄だし、それに、特殊指定物質は、特別自治省の管轄よ。校長にできることと言えば、ただ、鍵がかかっているか見るだけ。数えてはいけないし、もちろん、査察官がいない状態で、触ってもいけない。でも、校長はその禁を侵してまでする必要があった。あの地下倉庫には何が保管してあるの?」

「その中には、ドデカクリスタルの原石が保管してあるんだ」

優太がいつの間にか出てきてた。渡した袋の中には、さまざまな色のドデカクリスタルが入っていた。

「これで、全部だ」

とても重そうな袋をリヤカーに積み込む。定子が何か言おうとした。その時、3人の使い魔が反応した。

「あれ?反応したわ」

「私のも、何か連絡だね」

「えっと、「夏休み期間変更のお知らせ。3ヶ月間の特別延長を縮小し、通常通り、先の1ヶ月を合わせての計2ヶ月間とする。なお、登校日は、予定通りの時として、その時に、この1ヶ月間で集めたドデカクリスタルを学校に提出する事。以上」だそうだ。さて、どうしたものか」

定子が言おうとした事をいった。

「優太。なんで、地下倉庫にこの原石が保管してあるって知ってるの?」

「憶えてない?博物館にあったんだけど」

「え?本当?鮎、憶えてる?」

「ええ、憶えているわよ」

だが、鮎は高志と一緒に、魔力の量を確認していた。

「ねえ、みんな聞いて。この全て合わせて、魔力は、696565508651あるそうよ。で、この量は、前の分を合わせると、合計エネルギー量は、約1.2047×10^20Jになるわね」

「やれやれ、疲れる」

座りこんだ高志が言った。

「高志、まだ、14歳でしょう?そんな事言ってどうするのよ」

「だってさ、本当につかれたんだから、仕方がないよ」

その一方で、優太と鮎が話し合っていた。

「こんなにたくさんの、ドデカクリスタル。どうやって運ぼうか」

「こうやったらどうかな?」

魔法で一瞬にして消し去った。自己空間上に移動させただけである。

「すごいね。さすが、空間系に特化した力を持っている鮎だね」

「いや〜、それほどでもないかな?そう言う優太だって、実際、回復系の魔法がすごいじゃないの。そりゃ、定子だって、防御系統の魔法はすばらしいわ。でも、回復がないと、魔力、体力、それに、気力も低下するわね。ま、体力とか気力とかは、数値化するのが非常に困難だから、普通はしなけどね」

「さてと、とりあえずは、自己空間中に閉じ込めたんだろ?だったら、あとは、帰るだけだな。こんなに大量に取れたんだ。あとは、もういいだろう」


そして、4人集まって考えた。

「さてと、これ以上、ドデカクリスタルを集める事については、既に無意味だと思うし、ここから帰ると、って言うか、あと3週間もあるけど、ドデカクリスタルは、既に取りつくされただろう。一グループで、こんなに取ったのはないんじゃないかな?」

「まあ、それよりも、いいのは、帰るか帰らないのか。でしょ?私は、もう少し調べるべきだと思う。ただ、この周りだけで」

そして、その案がそのまま可決された。

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