第十五話「和解と挽回と」
「……そこまで言うなら、一応、受け取っておいてあげるわ。試合にも出てあげる。でも勘違いしないでよね、あんたの事をチームと認めた訳じゃないんだから。これはあくまで、お姉様に対する敬意よ。お姉様が支えてきたチームを、あたしの我儘で潰したくないってだけ」
「人形を壊さないなら、私はそれで、構わない」
「そう言ってくれると助かるよ。俺もアイゼンブルームがなくなるのは嫌だからさ」
「ふんっ……それで? お姉様の代わりのFWはどうするの? まさかそんな貧相な身体したAESに、FWをやらせるつもりじゃないわよね?」
「あぁ、イチの眼じゃ流石にFWはきついだろうから、イチがBRでアリスにFWをやって貰おうと思う」
「むぅっ。BRは逃げるのが仕事と聞いている。私には、向いていないと、思う」
「はいはい、あんたはどうせ今回は数合わせなんだから、後方で大人しくしてればいいわ。相手はたしか弱小チームのハーベストよね? DFはいつも通りメリルさんがやるとして……あたしもFWはそんなに慣れてないけど、ギリギリなんとかなるかしら」
先程ユーリ達が尋ねてくるまで、ずっと試合はどうでもいいと言っていた筈なのに、きちんとチーム間の通達に目を通していた事、そして恐らく当人同士は否定し合うだろうが、やはりイチとアリスが似た者同士である事に、思わずにやけてしまうユーリ。
「ちょっとユーリ? 聞いてるの? あんた監督なんだから、しっかりしなさいよね」
「あぁごめんごめん、ちゃんと聞いてるよ。それじゃあ早速、演習場行こうか。試合までに、少しでも練習しておかないと……あ、そうだ。イチはチーム・ハーベストのデータを予習しておいてくれないか?」
「司令官? 試合は明日なのに、私、練習いらない?」
「あぁその……えっとつまり、今回イチは大破さえされなきゃいいから、逃げに徹して欲しいんだ。だから今は練習よりも、ハーベストの攻撃パターンとかを覚えて欲しいんだ……分かるだろ? 頼むよイチ」
事実上の待機を命じられ、瞼を閉じたイチの無表情ながら明らかな不満が垣間見えるも、イチは「仕方がない」と呟くと、先日あてがわれた自室へと戻っていった。




