表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

《Section Zero》 『Different World For Visitor』

初のロボット物です! 楽しんで頂ければ幸いです。

 その者、あらゆる巨人を飲み込み、

 あらゆる武器を従え、色の王の力を写し操り、

 王の器にしか操れず、機械にして意思を持つ、

 色の王冠の中でも、最強の能力を持ち、

 世界の文明を滅ぼした、最後にして最強の覇王。


 その名は【オーパーツロード】。



《◎》



 ここは暗闇。何も無い。無い筈なのに声が聞こえる。

 それは全く法則が無く、静止させるものだったり、殺意のある言霊だったり、疑問をかける声など様々だ。

 待て! 死ね! 何故殺す? お前が憎い! 何故生きている! 貴様など生きる価値も無い! くたばれ!

 その中でも一番聞きたく無い言葉まで聞こえて来る。


 なんであたしを守ってくれなかったの?


 すまない、すまない……すまない。

 しかしその謝罪はまるで、自分の足場を自分で壊している感覚を自らに与えてくる。

 俺が一体何をした? 何故! 何故だ! 答えてくれ!

 なんでだよ! なんで【アインナチリブ】は滅んだ! 誰がこんな事をした! 一体誰が!

 すると、足元を突然誰かに掴まれる。


 忘れたのか? 俺が裏切ったからこうなったんだよ。そうだろ? アァァァサァァァッッッッッ!!


 うわぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!


 しかし暗闇は、突如終わりを迎え、激しい光に襲われる。

 余りの眩しさに目を覚ます。背中にある感触は硬く、少なくとも家のベットでは無い。眠気混じりの半目を擦り、こじ開ける。


「ん? ここは……?」


 体を起こすと、そこは巨大な鋼鉄の箱の中だった。ガタガタと足から腰にかけて、振動が伝わってくる。

 よく見れば、天井にかけていたカバーが捲りあがっている。

 だんだん意識が覚醒し、状況を思い出した。

 背中に無機質な硬さを感じる。そういえば俺は、機械の巨人に、もたれかかって寝ていたのだ。

 俺が背中に寄りかかっている機体は、【クロガネ】。漆黒の巨体を持ち、まるで芸術品のような流線型のフォルムに加え、必要最低限の装備しかしていない。どちらかと言うと生き物に見える機体だった。

 よく見れば漆黒の巨体が体を起こしていた。おそらく、搭乗員もいないのに勝手に動いたのだろう。【クロガネ】はその大きな腕で、コンテナを覆っていたカバーを剥ぐっていた。


「【クロガネ】……。またお前か……。俺は魘されていたか?」


 そう聞くと【クロガネ】は、ゆっくり顔を下げ頷く。


『イエス。マスター。体温上昇に加え、大量の発汗作用まで確認されたので、換気をさせて頂きました』


 無機質な声で【クロガネ】がそう言う。


「そうか……。ありがとう……。目的地までまだある。カバーを戻して、寝ててくれ」


 宥めるように言うと、【クロガネ】は無機質な瞳を大きくしたり小さくしたりする。

 まるで『私の主なのですから、しっかりして下さい』と言わんばかりだ。


「安心しろ。もう起きとく」


 俺がそう言うと、不満そうであったが、【クロガネ】はカバーを止め直し、大人しく体を倒した。俺はため息を吐き、箱についている扉を開ける。そこにはデッキがあり、流れる景色が見える。箱の全体を見ればそれは、輸送トレーラーだった。

 俺がデッキで一息ついていると、右手についている時計型の端末から、連絡のサインのピピピ、ピピピと音がなる。

 俺は端末を操作して連絡を取る。


『あ、トウヤ。もう少しで、【シラパ】に到着するデス』


「分かった、運転席に向かう」


『了解デス!』


 俺はデッキから見える景色で物を思う。


 空に浮かぶ島、そこから流れる滝、果てしない空、大地を闊歩する機械の巨人。

俺が生まれた世界では決して見れない光景。


そう、ここは異世界だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ