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プロローグ ～鈴菜の手紙～
小さな頃、あたしは大人しくて口下手で、いわゆる「いじめられっ子」というやつだった。あの頃は取り合えずまあ、嫌な事をされる度にたくさん泣いた。いや、泣き喚いた。それはもう、本当にうるさい程。
だけど、泣けるあたしは幸せだったんだろうなって思う。今、この瞬間にも泣きたくても泣けない人はたくさんいるだろうから。
ねえ、「おきつねヒーロー」さん。
あたしに泣き場所を与えてくれてありがとう。
こんなあたしを、いつもいつも助けてくれてありがとう。
一つ、報告したい事があるんだ。
あたし新井鈴菜は、この春から無事に晴丘高校の一年生になったんだよ。
あなたは今、どこで何をしているの？
