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アナザーリアルタイム  作者: しゅう
偽物乱舞《デスゲーム》
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第3話 偽物乱舞

「うおっ!?なんだその格好!?」

「……………」


第一ゲート 神樹神界ハジマリノマチの片隅、樹海が広がる森の中で、俺はカイトとの待ち合わせ場所に行き着いた。

俺の格好を見たカイトの反応は、想定内のことだった。

いや、むしろこの格好で驚かない人がいるなら、余程肝が座っているか、むしろ心臓がないんじゃないかと疑われるようなもんだ。


「途中で腐臭ゾンビに何体か襲われてね、面倒だったから全部一刀両断してきたんだよ」

「……相変わらずのチートだな。腐臭ゾンビなんてCランク以上の猛獣モンスターだよな?あいつの討伐方法って滅多斬りじゃなかったか?」

「……うん」


髪にまとわりついた粘液状の血液を指で取りながら、めんどくさいから適当に相槌を打つ。


「こんな状態でもお前は変わんねーな」

「いや、その言葉そっくりそのまま返すよ」


近くの小川の水を汲む為に手袋を脱ぎ、顔を洗う。

ついでに髪も洗ってから顔を上げると、何処からか風が吹いてきた。


風魔法フール。ほらよ、乾かすの手伝ってやっからよ」

「……いらぬお世話だあほたれ」


ホーム画面からタオルを取り出し、髪を拭く。カイトは風魔法フールの力を弱めながら、スッと、顔が真面目になる。


「………手紙、見たか?」

「ああ。強制既読リーディングの魔法がかかってるからな。戦闘中だろうがなんだろうが、読まれるようになってるだから」

「ま、そうだよな……どうなってんだか」


偽物乱舞デスゲーム

突然始まったこの行事イベントについて、運営側から後に届いたメールには、説明が記載されていた。


曰く、選ばれた人間以外は強制的に終了ログアウトされていて、二度と〈イノセントワールド〉には入れないだとか。


曰く、選ばれた人間は500人だとか。


曰く、これは殺し合いだとか。



曰く、この世界から出たければ、殺し合いをしなければならない、だとか。



「曰く、出られるのは立った一人だけ……だとか?」

「……あぁ。別の方法もあるっぽいけどな」

「別の方法?何それ?」

「お前、インターネット見てねーの?」


そう言ってホーム画面を開くカイトにあわせて、俺もホーム画面を開く。

ホーム画面の右上には地球儀のマークがあり、これが〈イノセントワールド〉共通インターネットの入り口だ。

俺は職業柄そういうものはアテにしていないこともあって使うことは滅多にない。

チャット機能もあるらしいが、メールや通話機能がある限りは関係ない話だ。


「ほら、これ」


そう言ってカイトは画面を二つにして、一方をこちらへ送ってくる。

どうやらチャットらしいが、随分荒れている。無理もない。模擬とはいえ、殺しあわなければならないからな。


「ココ、ココ」


カイトが指で線を引いた部分には、こう書かれていた。


《逆に考えるんだよ。殺し合いをしなくても、管理人を倒して乗っ取るんだ》

《はぁ?んなこと誰がやるんだよ?》

《誰かすげぇつえぇヤツ知らねぇの?》


「……管理人を、殺す?」

「そうそう。管理人を殺すってことは……あれだろ?ようするに……このゲームを乗っ取るってことだろ?怖えこと考える奴もいるもんだな」

「………でさ、聞きたいことがあるんだけどさ…」


チャット画面を見つめながら、ある気になる一説を見つけた。

……いや、正直見つけたくなんかなかったのだが、なんとなく目に入ってしまったというか、見つけやすかったというか……。

内容は以下の通りだ。


《暗殺者、ユウリならいけんじゃねぇか?》

《だな。あいつなら管理人の首くらいはねれるだろ》


「なんで俺の名前が?なんで肯定までされてんの?」

「お前結構有名なんだぜ?インターネット使わないなら知らないだろうがな」

「暗殺者が有名になってどうすんのさ…」

「お前のせいで暗殺者になりたいってアバターがたくさん出てんだ。責任とれよ」

「とれっかボケッ!」


近くに置かれた枝をカイトに向かってぶん投げた。

しかし、投擲スキルを解除するのを忘れてしまい、高速で動く枝はカイトの隣を通っていき、頬を切った。


「あ、ごめん」

「ごめんで済むか!死ぬかと思ったよ!」

「解除するの忘れてたよ。ほら、今解除したから。解除解除」


ホーム画面を開き、解除ボタンをタップする。

しかし、めんどくさいことになったな……。


……ん?まてよ…?

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