episode07 ミカからの電話
俺は休憩室でコウのトレーニングが終わるのを待っていた。
コウはトレーニングを終えて、「よし!携帯取りに行くか!」と言って、俺らはジムを出た。
気付けばもう夜の7時半。どうやら俺は2時間程、意識がとんでいたらしい。
黒スーツに警戒しながら自宅へ向かってる途中やたらと街の人たちが俺らから避けて行く。
コウはそんな事に気付く事もなくのんきに歩いていたが俺は気にかかって仕方がなかった。
とりあえず黒スーツに出くわす事も無く無事に自宅に戻ってひとまず休み、ヲタに連絡して今日出来事を一通り説明した。
ヲタ「黒スーツは具体的にどんな奴らだったんだ?」
シュン「見た目は全身黒で上下スーツに色の濃いサングラスで、みんな胸元にシルバーのバッチを付けていたな…。そんでなにも喋らなくてまるで心が無いような感じだった。」
ヲタ「お前昨日商店街でそいつらを見掛けたんだろ?」
シュン「あぁ。おばちゃんとなんか話してた。」
ヲタ「どうゆうことだかサッパリわかんないけど、商店街の防犯カメラ見れば何かわかるかもしれないから調べてみるよ」
シュン「悪いな。頼んだわ」と言って電話を切った。
コウ「ヲタなんだってー?」
シュン「とりあえず調べてくれるみたい」
コウ「さっすが!こうゆーとき役にたつよな!あいつ。で、この後どーするんだ?」
シュン「どーするってなにが?」
コウ「このまま家に居るのか?また奴ら来たらどうすんだよ!」
シュン「そうだよな…。ひとまず彼女の家に泊めて貰うか」
コウ「はぁ!?お前彼女居たのかよ!!」
シュン「あれ?言ってなかったっけ?もう2年半は経つよ」
コウ「聞いてねぇよ。俺は3年彼女いねーよ。ちょっと下で酒買ってくるわ!」
シュン「あーはい!」
そう言ってコウは玄関を出て行ったがすぐに慌てて戻って来て、
コウ「まずいぞ!黒スーツがまたきやがった!どーするシュン!」
シュン「まっまぢかよ!!どーするって逃げるしかないだろ。でもどうやって逃げるか?入り口は一つしかないぞ」
するとコウが窓を開け下を見つめてから
コウ「よし!飛び降りるぞ」と言い出した
俺は無理だろとも思いつつ、悩んでる暇はなかったので思い切って飛び降りた。
コウ「お前まぢかよ。」
シュン「なにしてんだ?早く降りろよ!」
そしてコウも飛び降りた。飛び降りた衝撃で多少足が痛かったが、そんな事に構ってる暇はなく、裏路地を駆け抜け、しばらく行くと昔に俺らが溜まり場にしていた廃墟があるので、そこにひとまず身を潜めることにした。
コウ「おいどーすんだよ。」
シュン「とりあえずすぐに彼女に連絡して彼女の家に行こう。」
久々の全力疾走で息は上がっていたが、彼女に電話をかけた。
シュン「もしもし?
彼女「なにどーしたの?息切れなんかしちゃって。」
シュン「詳しくは後で話すけど、今変な奴らに追われててお前の家でかくまって欲しいんだ」
彼女「今度はなにやらかしたの?てかお兄さんはどうなった?」
シュン「だから!兄の件でチョコレートについて探ってたら変な連中に追われてるの!そんな事後で話すからとりあえず家に行くぞ?」
彼女「まぁわかった。着いたら連絡して」
そして俺らは5分程の距離にある彼女の家に向かった。
家に着いてすぐに事情を説明した。
そういえば彼女とコウは初対面らしく、なぜかコウは緊張気味だった。
彼女「コウくん?よく話は聞いてたけど会うのは初めてですね」
コウ「そうですねー!シュンは俺に恋愛事情を話してくれないんですよ。」
彼女「そうなんだー。それよりこれからどうするの?もう探るなって言われたんでしょ?」
シュン「それはそうだが、今更引くに引けないよな」
彼女「そんな事したら次こそ殺されちゃうかもしれないんだよ?警察とかに相談したら?」
シュン「よくそんなのんきな事言ってられるな!兄は行方不明、それに俺まで連れ去られそうになったんだぞ?警察なんかに言った所で現状は変わるのか?」
ついつい口調が悪くなってしまい軽く口喧嘩になった。
彼女「シュンの事心配だから言ってんじゃん。じゃあ好きにすればいいじゃんよ」
シュン「あー。好きにするさ明日にはどっか行くあて探すよ」
彼女は怒って部屋に籠もってしまい、俺とコウはリビングにいた。
コウ「あの言い方はひどいんじゃないか?」
シュン「辞めた方がいいなんて分かってるけど、今更もう伝説のチョコレートなんか忘れましたなんて出来る訳無いだろ」
コウ「気持ちはわかるけどさ。まぁ彼女の気持ちも分からなく無いな」
シュン「お前らは当事者じゃねーからな」
コウ「なに言ってんだよ。俺も手出したんだからもう引けねーよ。俺はお前と一緒にチョコレートの陰謀を暴くよ。」
そんな話をしてると俺の携帯が鳴った。電話の相手はミカだった。
シュン「ミカさんから電話だ!」
コウ「はぁ?早く出ろよ!」
シュン「もしもし?」
ミカ「あっ!どうもすいませんミカですけど、今大丈夫ですか?」
シュン「大丈夫ですよ。なにかあったんですか?」
ミカ「実は今日自宅に夫が借りてた倉庫の請求書が届いたんですよ。私夫が倉庫なんか借りてたなんて知らなかったんですけど、そこに手掛かりがあるんじゃないかと思ったのですけど…」
シュン「なるほど。確かに調べてみる価値はありますね!いつ行くんですか?」
ミカ「すぐにでも行きたいんですけど仕事を抜けられないので、もしよかったら私の代わりに調べて来てもらえないですかね?」
シュン「場所はどこなんすか?」
ミカ「この街から30キロ程離れた隣町の外れなんです!」
シュン「ちょっと距離あるなぁ…わかりました!とりあえず友達に相談してみるんでまた連絡します!」
ミカ「すいません。ありがとうございます」