episode12 潜入作戦準備
俺とヲタは喫茶店に残り、ユウイチとコウは無線とテンプラナンバーを調達しに出掛けた。
ここで俺らは潜入作戦をもう一度最初から確認する事にした。
時刻は明日の早朝4時45分。場所は俺らの地元から約20キロ程離れた都市の中心部にある山口邸。敷地面積およそ東京ドーム一個分の豪邸にメインストリートにある北門から俺とコウで潜入。ユウイチはそのまま入り口付近で偽造ナンバーの車で待機と見張り。ヲタは目の前にある高層ホテルの上から全体の監視およびセキュリティーの解除と俺らへの指示。
敷地内には、A棟とB棟があり目標物があるのはB棟だ。
A棟は母家で本来なら山口一家が眠っているはずだか、この日はブラジルに帰省しており、誰も居ない。そのため内部の警備は手薄らしい。B棟は北門から見てA棟の左手にある。B棟はパーティーなどでよく使われており、時々一般公開される事もある。
この建物には、いくつかからくりがあり、色々な所に隠し部屋や隠し扉があるらしい。
図面によると、目標物のある部屋は資料室らしく、そこも隠し部屋の一つだ。
基本的に、この建物のロックは顔認証や指紋認証でコンピューター管理されているが、それはヲタに解除して貰える。しかし、隠し部屋は鍵が無ければ入れないらしく、その鍵は庭のプールの底にある隠し部屋の中にあるという。
ヲタ「頭に叩き込んだか?」
シュン「あぁ。それにしてもここまでの情報はどうやって手に入れたのだろう…?やっぱり兄が計画してたのかなぁ?」
ヲタ「それはわからないけど、よっぽどの頭脳が無きゃここまで念入りに計画出来ないだろ。お前の兄は天才だったんだろ?だとしたらお兄さんの計画かもな!」
シュン「兄がそこまでして盗み出したかった物はなんなんだろうな。」
ヲタ「きっとかなり重要な物だろう!失敗は許されないぞ!」
シュン「もちろんだ!これで兄の居場所に繋がる物があればいいんだけどな」
ヲタ「そうだな!てかそろそろコウとか帰ってくるかな?」
かれこれ、コウとユウイチが出掛けてから2時間が経っていた。そんな噂をしていたら丁度二人が返ってきた。
コウ「たっだいまーっ!」
シュン「物は揃ったか?」
コウ「ばっちりです!」
ユウイチ「会社にも明日休みにしてくれって頼み込んだよ!」
ヲタ「よし!車のナンバー付け替えて、無線の周波数をチェックして、現場の下見でもしに行くか!」
俺らは裏路地でナンバーを偽造ナンバーに付け替えて、いよいよ山口邸のある都市へ行く事にした。
車を走らせ約一時間で都市に着き、山口邸の前を通過したが、予想はしていたけどかなりでかかった。それに北門の前のメインストリートは賑やかで人通りも多く、本当に侵入出来るのかと不安も感じていた。
コウ「いやぁでけーな!」
ユウイチ「俺もこんな所すみてーな。」
シュン「ここ都市の中心部の一等地だぜ?かなりの金持ちなんだな。」
まだ潜入開始まで10時間程あったが、あまり外うろつく訳にもいかないので、山口邸の目の前の高層ホテルで待機する事にした。
そして俺らは昼寝したり、テレビを観たりと久々にのんびりしていた。
気がつけば外は暗くなっていて、時間を見たら02時半だ。後2時間で潜入開始とあってかなり緊張してきた
シュン「あと2時間だな。」
ヲタ「なんだ?今更気が引けてきたのか?」
シュン「緊張はしているな。」
コウとユウイチは寝ていた。
ヲタ「そろそろ二人を起こせよ。寝坊けられちゃたまらねーからな」
そして俺は二人を叩き起こした
シュン「起きろよ!そろそろ時間だ。」
コウ「なにが?」
ユウイチ「早すぎじゃね?」
シュン「お前らもう少し緊張感もてよ。」
俺らはいよいよ最終確認をして、20分前にヲタを残し外へでた。
外に出ると夜中だと言うのにそれなりに人が居て、ほんとに侵入出来るのかと思ったが、どうやら酔っ払いが多く、俺らが歩いていても目立つような事はなかった。多分これも計画のうちなんだろうとこの時は思えた。
するとヲタから無線が入った。
ヲタ「ユウイチは所定の位置に路上駐車して車の中で待機しろ。シュンとコウは北門の見える位置で時間が来るのを待つんだ。」
ユウイチ「りょーかい」
シュン「りょーかい」
コウ「はいよー」
ユウイチは所定の位置につき、俺らは北門の丁度反対車線にある店の前で時間が来るのを待っていた。
いよいよあと5分。鼓動が激しくなってきた。
失敗は許されない俺らの潜入作戦計画が、今遂に始まる…。