episode11 潜入作戦計画
シュン「痛てーな。なにすんだよ?」
コウ「お前一人でなんでも出来るんだろ?ほら、俺を倒してみろよ」
コウはもう一度殴った。俺も殴り返したが、全く効いてる様子はない。悔しかったが俺は諦めた。
コウ「どうした?もう終わりか?情けねーな」
シュン「お前は格闘家だろ?俺が勝てたらお前の顔が立たないだろ。やるだけ無駄だ。」
コウ「また言い訳ばっかして、結局半端もんだなお前。俺一人倒せねーなら一人でなんでも出来るなんて言うなよ。」
更にもう一発殴られた。俺はもう殴り返す気力がなかった。
コウ「一人で突っ走って俺より強い奴がいたらそうやって諦めるのか?」
シュン「じゃあなんだ?どうすりゃいいんだよ。」
コウ「お前1人じゃなんも出来ないって事だよ!その為に俺らが居るんだろ?仲間だろ!一人でなんとかするなんて言うなよ。」
そういってうずくまっている俺にコウは手を差し伸べた。
シュン「あぁ。その通りだ!俺は1人じゃなんも出来ねーよ!だからよ、協力してくれ!最後まで俺に付き合ってくれ!」
コウ「言われなくてもそうするさ。ほら、戻るぞ!潜入作戦を立てよう!!」
そう言って俺らは喫茶店に戻った。
シュン「さっきは悪かったな。やっぱりお前らが居ないとなんも出来ねーや」
ユウイチ「お前まず免許持ってねーもんな!」
ヲタ「お前パソコン使えねーしな!」
コウ「喧嘩も弱いし!」
シュン「あーその通りだ。てかお前ら馬鹿にしてんのか?」
この時俺は改めて仲間の大切さ、ありがたみを知った。
ヲタ「じゃあ始めますか!潜入作戦計画を」
俺らはヲタのパソコン画面を覗き込むように観た。そこに映し出されていたのはめちゃくちゃデカい豪邸だった。
コウ「なにこれ?くそでけーじゃん!」
ヲタ「敷地面積はおよそ東京ドーム一個分ってとこだな。」
シュン「警備もそれなりなのか?」
ヲタ「あぁ。倉庫にあった図面によると、入り口の門は3つある。まずはメインストリートに面した北門、その反対の大通りに面してるのが南門、そして裏路地にある東門だな。それぞれ入り口には警備員が居るらしい。そして敷地内にも数人警備員が配属されている」
シュン「なら門からの侵入は不可能か。」
ユウイチ「東なら裏路地だし、警備員をコウが倒せば、行けるべ!」
コウ「はぁ!?ざけんなよ。俺が一番罪重くなるじゃねーか。」
ヲタ「いや、東門は物資などの搬入口として使われてるらしいから、外部の人間の出入りが多い。その為他の門より厳重に警備されてるはずだ。」
ユウイチ「さすがヲタだな。頭いいな!」
シュン「んで結局どうやって入るんだ?」
ヲタ「北門だな!」
コウ「北!?一番丸見えじゃねーか?」
ヲタ「だからこそだ。メインストリートに面してるから周りからは丸見えだが、その分警備の方もさほど厳しくない。それにこの図面には早朝4時45分頃に警備員の交代時間だと書かれている。」
シュン「つまりは、こんな所から侵入する奴は居ないって思ってるのか。その裏をかくわけだな!」
ヲタ「そうだ!交代するタイミングに5分程無人になるらしい。その隙に中へ入るんだ!」
ユウイチ「4人で?」
ヲタ「いや、万が一の事を考えて潜入は二人だ。中へ入るのは…」
コウが自信満々そうな顔をして手を上げている。
ヲタ「まず、盗みのプロったらシュンだな」
シュン「昔の話だろーが。まぁ俺が入らなきゃしょうがないもんな」
ヲタ「それと念のためボディガードとしてコウ!で決まりだ。」
コウ「しゃっー!任せとけ!!」
ユウイチ「俺は?」
ヲタ「ユウイチは二人が潜入した後、逃走するために表で車で待機と見張りをしていてくれ!」
ユウイチ「あーね。俺地味だな。」
シュン「ヲタお前は?」
ヲタ「俺は目の前にある高層ホテルの上から全体の監視とセキュリティー解除をしながらお前らに指示をする。」
シュン「どうやって指示するんだ?」
ヲタ「あぁ。そうだなまず、侵入には無線が必要になるからそれをなんとか用意しないといけないな。」
ユウイチ「無線だったら会社にあるよ!」
シュン「じゃあ無線はユウイチが用意するとして、あとは、なにか必要な物はあるか?」
ヲタ「もしバレた事を考えて逃走用にテンプラも必要になってくるな」
コウとユウイチはテンプラに対して疑問にしか感じてない様子だ。
コウ「天ぷら??」
ユウイチ「俺芋天がいいなぁ」
コウ「いや、イカ天だろ!」
ユウイチ「やっぱエビでもいいな。」
コウ「ちょっと待てよ。逃走用に天ぷら用意してどうすんだよ?食べるのか?」
どうやらコウとユウイチは本気で言っているらしい。俺は呆れながら言った。
シュン「テンプラってのは業界用語で偽造ナンバーの事だよ。食べ物の天ぷらなんか必要な訳ないだろうが!」
コウ「それならそうと最初から言ってくれよ恥ずかしいじゃねーか。なぁユウイチ」
ユウイチ「天ぷら食いてー」
ヲタ「だけど、今日中に偽造ナンバーなんて用意出来るか?そこが問題なんだよな。」
コウ「それなら俺の先輩に瓶底メガネのトビタって車屋の奴いるから聞いてみるわ!」
こうして俺らはまず必要な物を集める事にした。
ユウイチとコウはユウイチの会社に無線を取りに行ったあと、瓶底メガネのトビタにテンプラナンバーを用意してもらい、俺とヲタは詳しい潜入作戦を念入りに計画すると言うことになり、潜入作戦の準備を本格的に始めた。