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短編27:学園都市の守護者たち


2015.01.11 執筆

2016.09.11 割込投稿


2018.10.28 追記

やや加筆修正して、『エブリスタ』で掲載中。



 サイレンが鳴り響く。

 逃げ惑う人々を警官たちが立ち入り禁止区域に立ち、安心させるかのように、誘導する。

 そんな中、一人の女性が、警官に訴える。


「私の息子が、まだ中にいるみたいなんです!」


 それに、警官たちは驚いた。

 助けに行きたいが、行けない。


「私の息子を見捨てるつもりですか!?」


 ついに泣き出した女性に、見ていた者たちは(うら)み、警官は舌打ちをする。


「大丈夫」

「ふぇ?」


 ふと、自分の横に立った少女を見上げた女性は首を傾げる。


「大丈夫ですよ」


 女性を宥めるように、少女は告げた。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・中央


「イャッホー! サイッコーー!!」


 血まみれになりながら、ハイテンションで敵と対峙する。


「オラッ!」


 敵を殴る。


「ハッ!」


 今度は持っていたナイフで切り裂く。

 捌ききり、周囲を見れば、血を流す敵。


「ヨッシャァァァ!!」


 そんな中、ガッツポーズし、両腕を上に付きだしていた。



高遠景(たかとう けい)

 煌鳴(こうめい)高校二年。

 性別:男。



 そんな景の背後に、影が出来る。


「やばっ……!」


 気づいたときにはもう遅かった。

 だが、横から飛んできた何か(・・)に、影は吹っ飛ばされる。

 吹っ飛んできた何かーーというより、影を蹴り飛ばした人物は景を見る。


「景。いつも後ろには気をつけろって言ってるだろ」

(わり)ぃ悪ぃ。けど、お前がいること分かってたし」


 頭を掻く景に、影を蹴り飛ばした人物は溜め息を吐く。



影月忍(かげつき しのぶ)

 煌鳴高校二年。

 性別:男。



 忍者のような姿の彼だが、本人は忍者でもなければ、単に名前からこの戦闘着を与えられただけなのだが、今では、動きやすいという理由で着ていたりする。


「これで終わりか?」


 景の問いに、忍は再度溜め息を吐いた。


「そう何度もあってたまるか。あればあるほど、彼女の負担が大きくなるだけだぞ」

「真面目だねぇ」


 忍の言葉に、景は肩を竦めた。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・東部


「にゃははは! 私に追いつけるかな?」


 頭にリボンを付けた少女が、敵と追いかけっこを繰り広げていた。

 今は少女が逃げる方らしい。


「げげっ、行き止まり!?」


 前を見ずに逃げ回っていたためか、行き止まりにぶつかったらしい。

 ニヤニヤと笑みを浮かべる敵に、怯えた様子を見せる少女。


「ううう……」


 一歩づつ、敵は近づく。

 そして、敵は一斉に少女に飛びつくーーが、やられたのは敵の方だった。


「ばっかみたい。この私が、あんたらごときにやられるとでも?」


 引っかかったわね、と笑みを浮かべ、敵を狩る。



御堂嬉々(みどう きき)

 煌鳴高校一年。

 性別:女。

 四季の双子の姉。

 得意な戦闘方法は接近戦。



「私に勝とうなんざ、先輩たちでもない限り、あり得ないわよ」


 嬉々は不敵な笑みを浮かべていた。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・南部


「悪霊のくせに、わたくしが相手とはツいてませんね」


 敵に向かって、たくさんの札が投げられる。


「式神を喚ばないだけ、感謝してほしいわ」


 巫女服の少女は胸を張る。

 次々と浄化される敵に、彼女は血まみれになることはなく、周囲も綺麗だった。



御堂四季(みどう しき)

 煌鳴高校一年。

 性別:女。

 嬉々の双子の妹。



「さ、次へ参りましょう」


 辺りを確認し、四季は場所を移動した。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・北部上空


「……」


 遙か遠くを見る。



天海郁斗(あまみ いくと)

 煌鳴高校二年。

 性別:男。

 担当戦域:空中全体。



「……来たか」


 スケートボードを足場にし、空に浮かぶ。

 空中には自分以外、誰もいないし、援護も期待できない。

 敵を認識し、腕を上に上げる。


「居るべき場所へ」


 上げた腕を正面に突き出すように振り下ろす。

 そしてーー


 ドォォォン!!


 広範囲に渡り、爆音が響いた。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域外・東部


「ちょっ、君!」


 大丈夫、と泣き叫ぶ女性を宥めた少女は、警官の制止を聞かず、禁止区域内を示すテープを跨ぎ、立ち入り禁止区域内に入る。

 そして、通信機を取り出し、それぞれに対し、一斉に掛ける。


「みんな聞いて!」


 通信機に最初に出たのは景だった。


『あ? その声は響か?』

『……何?』

『どうしたのー?』

『何かありました?』

『……』


 それぞれが反応する。

 少女ーー響は謝罪を含め、用件を伝える。


「戦闘中だったら悪いけど、区域内に子供が一人取り残されたみたい」


 そう伝えれば、通信機から叫び声が聞こえる。


『はぁっ!?』

『その子、どこにいるのか分かるの?』


 忍の冷静な声に、響は返す。


「それはまだ。けど、見かけたら保護して」

『分かった。人命優先だもんな』


 頷く景に、響は指示する。


「ただし、血まみれだと怯える可能性があるから、高遠さんや嬉々は手帳所持で」

『わーってる』

『わかってます』


 返事を聞き、景と嬉々との通信が切れる。


『他に用件はありませんか?』


 四季の問いかけに、無いよ、と答えれば、彼女との通信も切れる。

 最後はーーと通信機に声を掛ける。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・北部上空


『空の殲滅作業、ご苦労様』

「……ああ。お前も来たなら、早く来い」


 郁斗がそう返せば、響は苦笑いして言う。


『ごめん、見張りの警官に捕まったんだよね』

「何やってんだよ」


 郁斗が呆れて、そう返せば、響も同意したように返す。


『全くだよ。まあ、とりあえず、そっちと合流するよ』

「分かった」


 郁斗は頷いて、通信を切る。

 響は合流するとは言っていたが、背後で叫んでいたらしい警官が許すかどうか。

 溜め息を吐き、郁斗は響を迎えに行くことにした。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域外・東部


「ちょっ、押さないでよ!」


 テープの外に出なさそうな響を、警官たちがテープの外に出そうと後ろから押していた。

 それを空から見つけた郁斗は溜め息を吐いた。


「何やってんだよ」

「郁斗」


 声を掛けられ、そちらを向いた響は声の主の名を呼ぶ。


「何だ、君は」


 訝る警官に、郁斗は目を向ける。


「いや、俺は……」


 何もない空間(実際に何もないわけではない)を弄る。


 警官たちの前に、郁斗と響、二人分のデータが現れる。



天海郁斗(あまみ いくと)

 煌鳴高校二年。

 性別:男。

 担当戦域:空中全体。

 所属:特務機関・生徒内司令官補佐。



椎名響(しいな ひびき)

 煌鳴高校二年。

 性別:女。

 担当戦域:空地全体。

 所属:特務機関・生徒内司令官。



「と、特務機関!?」

「それを信じるとでも?」


 驚く警官と訝る警官たちに分かれる。


「いや、それは本物だよ。おいそれと作れるものではないからね」


 そう言いながら出てきた青年に、響はあ、と顔をし、郁斗は舌打ちした。


「君は?」

「そこの二人の保護者的な立ち位置の者です」


 尋ねる警官に、出てきた人物は答える。


「にしても、響。君が不在だったのは、些か気になるんだが?」


 笑顔でそう言われ、顔を青ざめさせる響。


「そ、そそそそそれは……」


 動揺しすぎだ、と郁斗と青年は思う。


「それじゃあ、後はよろしくね。郁斗」

「行くぞ、響」


 青年から頼まれ、郁斗は響を引っ張っていく。


「あ、うん」


 やっと正気に戻ったのか、響は郁斗について行った。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・とある場所


 ピチョン、と水滴が落ちる。


「で?」

「え?」


 郁斗の問い掛けに、響は首を傾げる。


「欲しかったものは買えたのか」

「ああ、うん」


 響が頷けば、郁斗はそうか、と返した。

 そもそも響が不在だったのは、彼女に欲しいものがあり、それを買いに行っていたためだ。

 互いに無言になる。


『ーーーー』

「え……?」

「どうかしたか?」


 響が周囲を見回し始めたことに気づいた郁斗が尋ねる。


「今、声が聞こえた」

「声?」


 怪訝そうな郁斗に対し、響は必死に耳を澄ます。


『……っく、ひっく』

「……! 聞こえた! やっぱり聞き間違えじゃないよ!」


 不安そうに見てくる響に、郁斗は宥める。


「分かったから、落ち着け」


 それで場所はどこだ、と郁斗は尋ねる。


「聞こえたのは泣いたような声だったから、多分、この近く」


 二人は手分けして捜す。


   ☆★☆   


 ーー捜し始めて十五分後



「どこなの……?」


 かなりの場所を捜すが見つからない。


「響!」


 郁斗が駆け寄ってくる。


「居たか?」


 尋ねる郁斗に首を横に振れば、そうか、と互いに俯く。


「もう少し、声が聞こえれば、特定出来るんだけど……」


 取り残されてから、かなりの時間が経っている。


「……っ、郁斗。少しだけ周辺警戒、お願いしてもいい?」

「ああ」


 かなり無茶だと思う申し出に、()を置くことなく、郁斗が了承してくれる。

 それを有り難くも思いつつ、小さく息を吐き、先程聞こえてきた声を追いかける(・・・・・)

 範囲は分かっているから、この程度なら何の造作もない。


   ☆★☆   


「大丈夫?」


 少年は二人を見上げる。


「うぇぇぇん!」


 そんな二人を見て、少年は泣き出す。


「響」

「分かってる」


 郁斗の言葉に、響は頷いた。


「このお兄さんが、君のお母さんの所まで連れてってくれるから、それまで頑張ってくれる?」


 響は少年に尋ねる。


「帰れるの?」

「そうだよ。だから、このお兄さんの言うことをよく聞いてね」


 響が郁斗を見れば、郁斗は頷く。


「よし、行くぞ。男なら、そろそろ泣き止め」

「う、うん!」


 郁斗の言葉に、少年は泣き止む。


「それじゃ、俺は送り届けてくるから」

「うん、気をつけてね」


 そして、二人が去るのを見送った響は、一度大きく深呼吸する。


「よし!」


 頬を叩き、気合いを入れる。


「さあ、行きますか」


 通信機を取り出し、響は口を開く。


「全員に通達」


 各持ち場にいた面々が通信機に目を向ける。


「今から残りを一掃する」


 響は言い放つ。


「場所は高遠さんの居る中央。いつも通りの方法で対処をお願いします」


 響の言葉に、それぞれが返す。


『はいはーい』

『了解』

『りょうかーい』

『了解です』


 上から景、忍、嬉々、四季の順に返事が聞こえた。

 そしてーー


「分かった。後で合流する」


 空中を移動していた郁斗もそう返した。

 それを聞き、頷いた響は告げる。


「ミッション、スタート!」


   ☆★☆   


「『ミッションモード:飛行形態』」


 響の服装が変わる。


「場所は中央」


 そこに向かって、地面を蹴り、遙か上空に飛び跳ねる。

 その上空に足場を作り、耳にマイクを付けながら空中を移動するのだが、時折、声の状態を確認する。

 大丈夫そうだと判断すれば、響は足を早めた。


   ☆★☆   


 ーー立ち入り禁止区域内・中央


「せんぱーい!」


 御堂姉妹が景たちを見つけて駆け寄る。


「二人の方が早かったか」

「全く、わたくし以外血だらけとは……先輩が忠告するのも、無理はありませんね」


 響たちの方が早いと思っていたらしい忍に対し、四季は袖で鼻と口を覆い、眉を顰めながら言う。


「はっ、式神に頼る奴がよく言うわね」

「あら、お姉サマ。お言葉を返すようですが、今回わたくしは式神を使っておりません。大体、貴女も女なら、少しは見た目に気をつけた方がいいんじゃない?」


 二人の間で火花が散る。

 そんな二人を、景と忍は見ていたのだがーー


(女って、怖い)


 と思っていたのは、二人の秘密だ。


「こらこらこら。張り合ってないで、早く準備しんさい」

「どこの言葉だよ。響」


 上空からの声に、景が上空(うえ)を見上げる。


「あと、子供ーー男の子はすでに見つけて、郁斗が母親のとこに連れて行ったから安心して」


 景の呆れを無視し、響は四人に告げる。


「良かった~」

「安心した」

「ご無事で何よりです」

「ああ。だから、郁斗がいないのか」


 安堵する嬉々、忍、四季に対し、景は納得したかのように頷く。


「それじゃあ、“対化け物たちへのライブ”の用意をしましょうか」


 嬉々の言葉に、四人は頷き、準備を始める。

 今から始まるのは、化け物たちへの陽動作戦。

 司令官兼指揮官である響の仕事だ。

 一度大きく深呼吸し、響は奏でるーー自身の持つ“声”で。


『燦々と降り注ぐ()の光 風が合間を吹き抜けていく』


 響の歌に吸い寄せられるように、化け物たちが街の隙間から現れる。


「っと。間に合ったか?」


 郁斗が空から突っ込むようにして、やってくる。


「いや、今始まったばかりだ」


 郁斗の問いに、景がそう返す。


「そうか」


 安堵したように息を吐いた郁斗に、四人がニヤリと笑みを浮かべる。


「それじゃあ、先輩の働きを無駄にしないよう、私たちも仕事しましょう」

「そうですね」


 先程までの空気が嘘のように、嬉々の言葉に四季が同意する。


「絶対に近付かせないし、触れさせない」


 もし仮に、奴らが響に近付いたとしても倒されるだけだろうが、それでは歌が途切れてしまうため、それをさせないための忍の言葉に同意するかのように、面々は化け物たちと対峙し、戦闘を開始する。


「やっぱ、響の『歌』はアイドルのより有効だな」


 化け物たちを捌きながらも、どこに居ても聞こえてくる『歌』に景は言う。


「いつものことだ。早く片づけるぞ」

「かーーっ、相変わらずクールだねぇ。郁斗」


 それを聞き、郁斗は素っ気なく返し、やれやれ、と景は言う。


「でもまあ、事実だな。早く休みてーし、響の負担も減らしてやりてーしな」


 そう言いながら、景は目の前の敵を断ち切る。


「空からなら一発なんだけどな」

「それ、俺たちも一発終了のお知らせだからな?」


 何やら物騒なことを口にする郁斗に、それを聞いた景が顔を引きつらせる。

 響たちが居ることや、いろんな建物があることから、郁斗が本気で言ったわけではないことは分かっている。


「先輩方、すみません! そっちに行きました!」

「椎名の方にも一匹、行ったぞ!」


 四季と忍の声に、景と郁斗が散らばり、すぐさま対処に向かう。


「っ、郁斗!」


 御堂姉妹が逃がした一匹を捌いた景が、郁斗に向かって叫ぶ。


「させるかっ!」


 響のステージフィールドに入ろうとしていた一匹を、間一髪で郁斗が捌く。

 そして、そんな彼を、響はちゃんと見ていた。


 ーーありがとう。


 響が視線でそう告げれば、分かったかのように郁斗が「ああ」と返す。

 それだけで分からないほど、二人の付き合いは短くない。


『貴方たちを信じられるからこそ 私はここに居られる』


 この歌詞は、今の響の状況をよく示している。


「次で最後だ!」


 景の声が、面々の元に届く。


「なら、もう少しね」

「力の出し惜しみは、もうしなくて良さそうですわね」


 御堂姉妹がニヤリと笑みを浮かべる。


「空の連中は、俺がどうにかする」

「ああ、地上の方は引き受けた」


 空に移動する郁斗に、忍が珍しくそう返す。


『響け 響け』


 何曲目なのかも分からないほど、響は歌う。


『届け 届け』


 響は息を吸い込みーー


「ーー“轟け”」


 呟きと言うには大きな声で、響が告げる。


「“我らにーー祝福を”」


 ゴーンゴーン、と鐘の音が響く。


「響?」

「椎名?」

「先輩?」

「響先輩?」


 景、忍、嬉々、四季が響へと一斉に目を向ける。

 そしてーー


「響?」


 郁斗も見下ろす形でだが、響に目を向けていた。


「早く(とど)めを」


 動きを止めた化け物たち止めを刺すように、響は面々に告げる。


「早く仕留めなさい! 司令官命令です!」

「っ、はい!」


 響にしては珍しい『司令官命令』に、後輩の御堂姉妹が先に我に返り、化け物たちを捌きに戻る。


「後輩が頑張っているというのに、先輩たちがこのザマとは……」

「否定できないな」


 景と忍も嬉々たち同様、捌きに戻るのだが、そんな彼らを見ながら、響と郁斗は化け物たちの残数を確認していく。


(五……四……)


 次第に減っていく化け物たちの数を、カウントダウンしていく。


(三……二……)


「次でラス(いち)!」


 響が声を上げれば、景と忍が見事なコンビネーションで仕留める。


「……モンスターの反応及び増加、無し。迎撃終了」


 響のその報告に、はーっ、と一斉に息を吐く景たち掃討部隊。


「終わった? 終わったよね? 終わりで良いよね? よし、終わりにしよう」


 もう無理、と言わんばかりに、嬉々がぐったりする。


(のど)、痛い……」


 そう言いながら、いつも持ち歩いているのど飴を、すぐに口の中に入れる響。


「とにもかくにも、みんな、ご苦労様」


 響がそう労えば、「おー」とか軽く手だけ振って返される。みんな疲れているのだ。


 数時間後、街は少しばかりの落ち着きを取り戻し、瓦礫の撤去作業などが始められた。

 そして、司令官と司令官補佐である響と郁斗は、とある一室で状況報告なども含めた書類作成に追われていた。


「ったく、ここぞとばかりに書類を押しつけて来やがって……!」

「不在だったことの黙秘と響がそう言いながら、ちゃんとやることをあの人は知ってるからな」

「全っ然、嬉しくない」


 信頼されているのかいないのか、よく分からない理由を告げる郁斗に、響が書類に判を押す。


「……郁斗。後で付き合って。息抜きしに行くから」

「ああ」


 反論などをしないのを見ると、郁斗もそろそろ休みたいのだろう。

 そうなれば、と作業スピードを上げる響に、そんな彼女を一瞥して、小さく笑みを浮かべる郁斗。

 どうやら、二人の事務作業は、まだ終わらないらしい。



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