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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

U.T.バスターズ

作者: なっぺ

なっぺの一次創作シリーズ!


ま、内容の面白さは保障出来ませんが。


この作品はハードボイルドに見せ掛けようとした、ただのSF小説です。偽ハードSFとでも言いますか。一度は書いてみたかった。


「この作品の続きが見たい!」と思った方は、メッセなり感想なりをお願いいたします。

 世界には常に、裏側というものが存在する。

 

 それはとても不確かで、どこにもあるような無いような、曖昧なものだ。

 

 しかし、それは確実に存在するのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「…………んぁ?」

 

 ありふれた公園あるありふれたベンチから人影が起き上がる。別に浮浪者の類いでは無いようで、その姿はみずほらしいものではなかった。尤も、全体的にくたびれた印象はあったが。

 

 人影は男のようだ。顔立ちと体格がそう伝えてくる。万が一という可能性を考えられなくもないが、そういった可能性は彼が喋った独り言によって否定される。

 

「…………起きちまったなぁ。あぁ、仕事が欲しい……」

 

 やけに低い声で放たれた言葉は、彼の現状をわかりやすく伝えていると言えるだろう。

 

 頭には毛糸か何かで作られたニット帽を被っており、髪の毛が完全に収納されている。身長は比較的高めではあるが、筋肉質でもなければ肥満体でもない。

 

 彼の名前は桂木隆司。しがない無職だ。

 

「起きちまったもんはしゃーねぇや。とりあえず何かバイトでも探しに――」

 

 立ち上がった彼の視界に、とある広告が目に入った。

 

『緊急募集! 経歴、性別問わず 要審査 正規雇用への昇格あり 職に恵まれない貴方に! 時給20000〜』

 

「…………怪しいな。つーか怪しさしかねぇ」

 

 誰かのイタズラか、はたまたかなりヤバイ仕事なのか。どちらにしろ、ろくな内容ではないことは確かだろう。

 

「誰がやるかバーカ」

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたー」

 

 数分後、隆司は絶望にうちひしがれながら公共職業安定所から出てきた。仕事が見つからなかったのだ。バイトでも、運が悪いのか何か問題ある行為をしてしまっているのか、受けた全てで不採用扱い。

 

「はぁ……そろそろ貯金も尽きるってのに」

 

 通帳を取り出し、開く。そこには、せいぜいあと一週間持てばいい程度の金額しか書かれていなかった。幼少のころより使わずに貯め続けたお金と、今まで実行してきた節約術によりなんとかこの日まで生きてこられてきたが、もう限界としか言えないだろう。

 

「仮に雑草食って生きるにしても、このままじゃアパートも追い出されちまうし……。はぁ、どうしようか……」

 

 そんな隆司の目に、"再びあの広告"が止まる。

 

「…………時給二万円か……」

 

 先程まで忌避していたそれが、とても魅力的に感じ始める。この際手段を選んでいられない。選ばなければ、死ぬのは自分なのだから。

 

「……イタズラでないことを祈っておこうか。いるかは知らんが、神様とかいう奴に」

 

 

 

 

 

「……ここか?」

 

 何やら寂れた路地裏。そこがあの広告に書かれた場所だった。こんな場所で仕事の斡旋をするなど、まず間違いなくマトモな仕事ではないのだろう。

 

「……銃とか使う仕事だったりしてな」

 

 まさか、と自嘲した時だった。

 

「お待ちしておりました」

 

「うをわっ!?」

 

 気づかない内に背後に立っていた女性に声をかけられ、思わず跳び上がってしまう。

 

 慌てて隆司が振り向く。するとそこにいたのは――

 

「……女?」

 

 整った顔立ちだが、どこか無機質な印象を持つ女性たちだった。双子なのか、女性たちを構成する部分は、その全てが似通っており、違いと言えば前髪の分け方ぐらいと言うものだろう。透き通るように綺麗な銀髪と、服を持ち上げる大きな胸は、整形などでは絶対に手に入れられない自然さを持っていた。

 

「他の皆様がお待ちです。こちらへ」

 

「内容については、そちらで説明致します。疑問もあるでしょうが、今はお抑え下さい」

 

「お、おい待てよ! 名前とか経歴とか聞かねぇのか?」

 

 隆司がどうしてもこれだけは、と投げかけた質問。二人の美女は振り返り、ぞっとするように無感情な笑顔でこう返した。

 

「「採用されなければ、聞いても仕方のないことですわ」」

 

「……うわーお」

 

 

 

 

 

 隆司が連れられて来たのは、廃ビルの中のようだ。そこに、数十人の人間が集められていた。暗くてわかりにくいが、男女だけでなく国籍すらバラバラのようだ。だが、共通点が無いわけではない。彼らの中に、自分達が何の仕事をするのか理解しているものは、ただの一人としていなかったのだから。

 

「お集まりの皆様、ようこそおいでいただきました」

 

「まずは雇用主に代わり、お礼申し上げます」

 

 何処からか、彼らをここに案内してきていた双子の声が響く。

 

「※〇△★◎⊇√℃▽↓」

 

 突然、誰かが自身の母国語なのであろう言語でわめき立てる。

 

「待ちきれない方がいらっしゃるようなので、早速ですが仕事内容の説明に移りたいと思います」

 

「――が、その前に簡単な検査をいくつか受けて頂きます。その検査を通らない場合、お仕事を受けて頂くことが出来なくなりますので、ご了承下さい」

 

 そこまで言うと同時に、壁の一角を光が照らす。どうやら映写機のようで、ひび割れた壁をスクリーンにして様々な情報が表示される。この場にいる全員に理解してもらうためか、様々な言語による字幕が付いている。内容は、この先何があっても自分達は責任を負わないということ。この場で起こることは決して口外しないこと。そして、"死ぬ可能性が高い"こと。

 

「この内容を了承していただけない方は、退出して頂いて結構です」

 

「その程度ならば、依頼する価値も無いと判断するだけですから」

 

 その言葉を聞いた何人かが、部屋から出ていく。しかし、隆司を含めた大多数の人間は動こうとはしなかった。

 

「……ほかに止めるという方はいませんね?」

 

「では、検査を始めます」

 

 床がぼんやりと光りはじめる。それは、やがて何らかの記号を示し出した。

 

 "○"と"×"。床に現れた光の線が、それを形作ったのだ。その二つの記号を囲むように、さらに光の線が現れる。

 

「その前に、次の問いに○か×でお答えください」

 

「"依頼主は女性であるかどうか"……どうぞ」

 

 それに合わせ、集まった人間たちがわらわらと動きはじめる。やがて、集まった人間たちは大きく三つの集団に別れることになった。○を選んだ者、×を選んだ者。そして、ごく少数の"どちらも選ばなかった者"。

 

「……ありがとうございます」

 

「では――」

 

 床にある光が一際強くなる。

 

 そして――――

 

 

 

 

 

「「――さようなら。脱落者の皆様」」

 

 ○と×、両方の床が崩れて、乗っている者が落ちていった。

 

 直後に響き渡る悲鳴、怨嗟の声、そして肉の焼ける音。

 

「……危ないとは思っていたが、下に溶岩があったとはな」

 

「これがホントの溶岩風呂、ってわけやな。うひゃ〜、怖い怖い」

 

 残った面々の一部が、崩れた床から底を覗き込みながら言う。下で流動する溶岩の中には、ただの一つとして形有るものは無かった。

 

「第一の検査、"状況判断力"。私共の嘘を見抜き、生き残った皆様。合格おめでとうございます」

 

「では、生存者19名の皆様はこちらにどうぞ」

 

 入ってきた方とは違う扉が開き、合格者を迎え入れる。今度は罠ではないようで、全ての人が扉から出ていこうとする。

 

 だがそこに、ある声が響く。

 

「――――20人、だ……!」

 

 それは、生き残った面々が見向きもしなかった、もう一つの穴から聞こえていた。そう、穴の淵に手をかけて生き永らえていた、隆司の声だ。

 

 しかし、既に合格した者たちが見せた態度は、存外冷たいものだった。

 

「おい審判。いいのかあれは?」

 

 "落ちる"というミスを犯しながらも、唯一生き残った隆司。こんな悪運だけで合格したような人間を自分達と同じように扱って欲しくないという感情が表れているようだった。

 

「……我々が求めたのは状況判断力。貴方方のように冷静な判断然別、地面が崩壊することに気づいて回避に移った咄嗟の判断然別です。問題はありません」

 

「生存者"20名"の皆様、どうぞ」

 

「ありがとよ。で、ついでと言っちゃあ何なんだが……」

 

 相変わらず淵に手をかけたままの隆司が、何故だかやけにカッコイイ声で言う。

 

「誰か……引き上げてくれませんか?」

 

 一同が呆れたのは、言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 それからの検査は、文字通り"検査"と言うべきものばかりだった。血液検査、屎尿検査、レントゲン。先程の検査とは名ばかりの殺戮が、まるで嘘のように。

 

 やがて、隆司を含む計16名が別室に呼ばれる。

 

「おめでとうございます皆様。これで皆様は、これから皆様には、最後の検査に望んでいただくことになります」

 

「最後の検査に必要な物品を用意致しますので、今しばらく休息をお楽しみ下さい」

 

 入った部屋には、豪勢な食事や様々な娯楽品が用意されていた。が、それに喜んで食いつくような人間はいない。それぞれがそれぞれの形で、この状況を警戒していたのだ。

 

「…………」

 

 しかし、我慢できなくなった男がいた。言うまでもなく、隆司である。

 

「ダメだ、我慢できねぇ! いただきます! ……ムグムグ…………ぐっ!?」

 

 不意に苦しむような仕種を見せる隆司。「毒か?」「迂闊な奴め」「やはり悪運だけじゃ無理だったな」などの声が出てくる。

 

 しかし、隆司は苦しんでいたわけではなかった。

 

「――――美味い! こんな豪勢なメシは久しぶりだ!」

 

 うまいうまいとどんどん食べてしまう隆司。それを見てか、他の面々も少しずつ食べはじめていた。

 

 だが、間もなく部屋の扉が開き、案内人の双子が現れる。

 

「お待たせしました、皆様。準備が整いました」

 

「こちらにどうぞ。あまり時間もありませんでしたので、ろくな食事も出来ていないでしょうが――」

 

「むぐ?」

 

 隆司が口一杯に料理を収めながら振り返る。

 

「「……もう九割方食べ終えてる」」

 

 珍しく本音に取れる言葉を呟く二人。だが、さすがと言うべきかすぐに表情を引き締める。

 

「では、改めて」

 

「こちらにどうぞ、皆様」

 

 

 

 

 

 最終検査は一人一人別々に受けるようで、隆司もまた、白い内壁のドームのような広い部屋に一人で入る。

 

「全員の入室を確認致しました」

 

「これより、最終検査を開始致します」

 

 その瞬間、部屋のドア――むしろ、隔壁と呼ぶべきものが降ろされた。これで、退路が断たれたことになる。

 

「最終検査の内容、それは"生き残る"ことです。特定の条件を満たすことで、その隔壁は解放されます。」

 

「解放条件を見つけ出し、条件を満たして下さい。そのために必要な手段もまた、ご用意させて頂いております」

 

 部屋の天井が開く。

 

 その、次の瞬間だった。

 

「――ッ!?」

 

 直感的に身体を捻る隆司。その頬を鋭い"何か"が掠る。

 

「何だってんだよ!?」

 

 隆司の眼が、"それ"を捉えた。

 

 

 

 生物としての本能が警鐘を鳴らす。「それに逆らってはいけない」と。「相手は生物を超えている」と。

 

 そこにいたのは、蜘蛛にも似た……しかし、とても生命体とは思えない"何か"だった。

 

 大きさは3m程だろうか。鋭く研ぎ澄まされた剣のような足が4本、胴体らしい部分はさながらゴム鞠のように無機質であり、その上には何らかの結晶体が浮いている。

 

 胴体が開く。そこから現れたのは、醜悪なまでに生え広がった牙。

 

「おいおい、まさか……こんな奴と戦えってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「最終検査、順調に進行中」

 

「終わったところの"掃除"をお願いします」

 

 モニタリングルームにて次々と指示を出しているのは、案内人の双子だ。

 

 その後ろに、一人の男性が立つ。

 

「どうだ? 新しい連中は」

 

「既に16人の内、3人が死亡しております」

 

「やはり、血液や遺伝子から資覚者ヴィジブルを見つけだす方法は、確実ではないようです」

 

 モニターには、頭から喰われている者や全身を引き裂かれている者、死してなお屍を弄ばれている者が映っている。しかし、男と案内人たちは眉一つ動かさない。

 

「だが、現時点では最も確率の高い方法でもある。検査を続けろ」

 

「「了解」」

 

 モニターには、また新たに二つの"人間だったもの"が生み出される光景が映し出されていた。

 

 

 

 

 

「冗談じゃ……ねぇって!?」

 

 素早く突き出された脚を、間一髪で回避する隆司。

 

「こんなバケモノ、素手で何とかしろってのが無理あるだろ!?」

 

 あちらこちらに残る攻撃の痕。直撃すれば死は免れないだろう。

 

「くそ……これで終わりなのかよ……?」

 

 隆司の頭に走馬灯が過ぎる。ごくごく普通の、極貧生活。給食費を払えず、とうとう食べられなかった学校給食。購買の惣菜を羨ましく眺めていた高校時代。昼飯を食べたことのない無職時代。

 

「ってまだ死ねるか!? せめて貯金が10万を超えるまでは……ジャンクフードを喰うまでは死んでも死にきれねぇ!」

 

 その時、極限状態に陥った隆司の脳と眼はスペック以上の力を発揮した。

 

 目の前にいる怪物。その頭頂部辺りに、ガムテープで張りつけられた拳銃を発見したのだ。

 

 ――そのために必要な手段もまた、ご用意させて頂いております――

 

 隆司の脳裏に、案内人の言葉が蘇る。

 

「つまり、あれならあのバケモノを殺せるってことか! あのでかいバケモノに近づいて、よじ登って銃を奪って使えば――」

 

 

 

 

 

「――って、出来るかァー!!!」

 

 再び振るわれる怪物の剣脚を、すんでのところで避ける隆司。そこで、隆司はあることに気づく。

 

「……そういや、アイツって単発的な攻撃しかしてきてないな」

 

 ここにきて、怪物の行動パターンを考え始めた隆司。改めて、怪物の動きを思い出す。

 

 どの動きも鋭く動いており、避けるのも容易ではない。だがしかし、今考えれば攻撃は散発的であり、一発さえ避けられればなんとかなっていた。

 

「一体なんで………………そうか、脚か!」

 

 隆司が目を付けたのは、怪物の脚。鋭く尖った脚は攻撃には有利だが、立つには不便な形だ。三本の脚があればバランスは取れるが、それがもし二本以下になれば――

 

「見てろよバケモノ。調子に乗るのもここまでだぜ……!」

 

 

 

 

 

 

「支配人、こちらを」

 

 案内人の一人が、男――彼が支配人のようだ――をとある画面に向けさせる。

 

「ん……あぁ、面白い人か。彼がどうかしたのか?」

 

「何やら閃いたようです。現時点でまだ試練を続けている者の中では、1番生存の確率が高いかと思いまして」

 

「根拠は?」

 

 案内人はひとしきり考えて、こう返す。

 

「金銭に深い執着がありそうでしたので」

 

 あんまりである。

 

 男も一瞬呆気にとられ、そして笑い出す。

 

「ハッハハハハハ! 成る程、確かにそれはしぶとそうだ。是非見させて貰おうじゃないか!」

 

 

 

 

「ヒィィィィィィィィ!」

 

「ワァァァァァァァァ!」

 

「ウォォォォォォォォ!」

 

 全力で叫びながら逃げつづける隆司。その声を欝陶しく思っているのか、ちょこまかと逃げ回る隆司に苛立っているのか、以前よりも攻撃が乱雑になってきていた。

 

 やがて、脚の動きが"突き"から範囲に優れる"払い"に変わり始める。殺傷性よりも確実性を重視したのだろう。

 

 その動きこそが、隆司の狙い。

 

 大きく脚を振りかぶる怪物。そして、その脚が横薙ぎに振られた。

 

「今だ!」

 

 一瞬のチャンス。脚が隆司に当たる直前に、隆司はジャンプで脚を飛び越えたのだ。

 

 尖った脚に踏ん張る力は無い。攻撃が当たったことによる反動も無い以上、バランスを崩すのは当然の理だ。

 

「でりゃあぁぁぁ!!」

 

 さらに隆司は怪物の脚に突進し、バランスを完全に崩す。こうなれば怪物はもう立っていることは出来ない。まるで上から押さえ付けられたかのような体勢で、怪物は転んだ。

 

 その隙を突いて、隆司は怪物の頭にある拳銃に手を伸ばす。そしてしっかと掴んだ拳銃。先程まではよく見えていなかったが、単なる拳銃という訳ではないようだ。その外見は一般的な拳銃のような黒光りするものではなく、灰色とオレンジを基調としたカラーリングに、多少の飾りのような部品が装備されていた。

 

「これさえあれば――」

 

 一瞬の油断。それが怪物に脚を振るうだけの時間を与えていた。

 

 派手に吹っ飛ばされる隆司。拳銃は――怪物を挟んだ反対側に転がっていた。

 

「っ……。次が、ラストチャンスってことか」

 

 自分の一生が終わるかどうか。それが、次の行動で決まる。隆司はそれをひしひしと感じていた。

 

 しかし、隆司の顔に恐怖の感情は無かった。

 

「生憎だったなバケモノ。俺はラストチャンスを逃したことはないんだよ。たったの一度だってな」

 

 しばしの静寂。それを切り裂いたのは、怪物の鳴らす足音だった。

 

 ガキン、ガキン、ガキンと隆司に迫る怪物。その脚を冷静に、ただひたすら冷静に観察する。

 

 四つの脚が織り成す金属音。その中にある隙を見切るために。

 

「――そこだ!」

 

 僅かに見えた光明目指し、走り出す隆司。その隆司を狙って、怪物の脚が振り下ろされる――――

 

「うりゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 隆司は、隙に向かっていった。そう、"胴体直下の幅50cmほどの、脚が届かない隙間"に。その僅かな隙間に自分の体ごと滑り込み、その勢いのまま怪物を突破する。

 

「!?」

 

 突破されたことを悟り、すかさず反転し、跳ぶように隆司を背後から狙う怪物。移動に全ての脚を使ったためか、勢いのままに噛み付くことで隆司を殺そうとしているようだ。

 

 隆司が気づくが、もう間に合わない――

 

 

 

 

 

「言っただろ。ラストチャンスは逃さない、ってな」

 

 振り返った隆司の手には、あの拳銃が握られていた。

 

 そして拳銃の向いた先には、愚かにも口を――弱点を大きくさらけ出した怪物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 幾多もの検査会場に通じるラウンジ。そこに、血まみれの男が帰って来ていた。

 

「最終検査突破おめでとうございます、桂木隆司様。貴方の検査完了をもちまして、全ての検査の完了を宣言させていただきます」

 

「検査を突破した5名の方々には、また後日に連絡をさせていただきます。それまでは、しばしの休息を。なお、検査を無事に完了された皆様には、報奨としてそれぞれ100万円ほどをお支払いさせていただきます」

 

「マジで!? しゃあ! これで当分は食いつなげるぜ!」

 

 血まみれのまま喜ぶ隆司。彼はまだ知らない。この仕事がどういった仕事なのか。どんなことが待ち受けているのか。自分の運命すら――。

はい、というわけでした。何が"というわけ"なのかは私にも分かりません。←


この作品の構想は、一連の一次創作の中では1番最初に思い付いていました。以前にファンストを連載していた頃からですね。ファンストとは違った感じの作品を書いてみたかったので。


ちなみに、ヒロインはいます。というか、現時点で決まっているレギュラーキャラが隆司とヒロインしかいないという。というより、ぶっちゃけ二人で十分という。


詳しい舞台背景は話せませんが、雰囲気だけでも気に入って頂ければ。



この作品は、同時期に更新された一次創作作品の一つです。現在は短編小説ですが、一連の作品の中で連載希望の1番多い作品を連載に移行したいと考えています。


この作品の続きを見たいと思った方は、メッセージや感想をお願いいたします。あなたの意見がこの作品の続きを作ります。



ではではこの辺で!

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