最終話 ふたりだけの世界へ
気づくとラブホのベッドでいつの間にか寝ていたようで、目を開けると目の前に類斗がいて途端に幸せな気持ちで満たされていく。
わたしを抱きしめながら眠ってくれていたようだ。
嬉しすぎて、にやける。目を閉じた類斗の顔も美しい。子供の頃に戻ったみたいだ。あの頃のまま、大人になったみたいだ。
わたしは類斗の頬に手を伸ばす。可愛い……。
すると、類斗が目をゆっくりと開ける。
「ぷ、うははははは!」
類斗が吹き出して笑うので、わたしは驚いた。
「どうしたん??」
「いやー寝顔可愛いなって思って、ちゅってしたらゆりが起きたからさ、あの日と一緒やなって思って」
「ほんまに?! 全然気づかへんかったわ」
それからたくさん抱き合ってキスしてたら、類斗はまた興奮してきたようでえっちをして、一緒にお風呂に入って、それから服を着てまた抱き合ってキスしてを繰り返していたらもう夜中を過ぎていた。
笑いながら部屋を出る。廊下でもたくさんキスをして、抱き合った。ホテルの外に出てからもそれは変わらなくて、おかしくて涙が出る。
わたしには婚約者がいて、類斗には奥さんと子供がいるというのに。そんなことふたりの世界にはないみたいだ。昔のまま、なにも変わっていないふたりみたいに。
「ゆり」
「類斗」
でも、わたしは過去を後悔したくない。
だって今、類斗と一緒の想いを持って一緒にいられるんだから。
「じゃんけん、ぽん」
「え」
って思ってると、わたしの負けで、
「ゆりが鬼な! 負けたゆりは俺追いかけてぎゅって出来たら交代! よっしゃーにーげよっと」
えええ?! 何が始まったん?! って思ってると、類斗が走り出すのでわたしはがんばって追いかける。おもろすぎて、笑いながら追いかける。
信号はすでに点滅信号に変わっていて、車もひともいなかった。
わたしは類斗に飛びつく。
「ぎゃー」
類斗がわざと大きな声を出す。それから見つめ合ってキスして、次はわたしが走って逃げようとしたのに、類斗に手首を掴まれる。
「やっぱ離れたくないから一緒に走ろう」
「え、あ、うん」
わたしたちは手を繋いで走る。
だれにも会わない街の中を。
そして、
この先が、
わたしたちが行く先が、
ずっと一緒にいられる世界へ続いていますようにってことを願いながら。




