第43話 車内で
類斗とはほぼ毎日会った。ひとがこない山まで車で行き、車内でエッチをしたりホテルで過ごした。まるで足りない記憶を埋めるみたいに。
シートを倒し、バックから類斗の性器がわたしに入る。車が揺れる。
「あっあっあっ」
類斗の動きに合わせて、声が出る。衣服を身につけたままなのに、野生動物みたいに野蛮な気がしてわたしは興奮する。類斗も同じ気持ちかもしれない。
「あーやばい……ゆりの中最高……」
パンパン……激しく打ち付けられる。それから正常位になって、キスして互いの舌を混じり合わせる。頭が真っ白になる。
類斗の子供はもう1歳だ。そして、わたしは大学をもう少しで卒業する。卒業とともに、蒼くんと結婚する。だけど、しばらくは別居になる。蒼くんからそれは提案された。仕事が忙しくてわたしに構う時間も結婚式の準備もまだ出来ないだろうから、と。少しして仕事が落ち着いたタイミングで正式に一緒に暮らして入籍する予定だ。
だからまだまだ類斗との関係は続けられる。といっても、わたしが東京に行っても頻繁に会おうと類斗とは約束している。だって、もう離れる理由なんてなにひとつないんだから。
「あーゆり、出そう」
類斗の温かい性液がわたしのお腹のおへそを白くした。それを拭き取って、抱き合ってキスしてまた興奮して、エッチした。
真っ暗な中、類斗がエンジンをかけるとラジオからラーの新曲が流れた。
〝きみが笑った ぼくも笑った 悲しいことなどない このまま 結婚しよう
ぼくに嘘はない なにもない たとえきみが嘘つきでも ぼくは受け入れるよ
だから結婚しよう 一緒に家を建てよう きみとぼくがもっと笑える場所に〟
類斗はそこまで聞くと、ラジオの放送局を変えた。そして左手でわたしの右手を握りながらそれをわたしの膝の上に置いた。
「ゆりちゃん」
「ん?」
「ジェットコースター覚えてる?」
「修学旅行の? もちろん覚えてるよ。わたしが叫んだやつ」
「今度さ、行かへん?」
「あのテーマパーク? いいけど……そんなにあけて大丈夫なん、家」
「大丈夫やで?」
信号で車が止まる。類斗に顎を掴まれてキスされる。わたしたちは見つめ合う。
「嬉しい、ゆりとふたりで行きたかってん」
「ほんまに?」
わたしたちは文香たちを交えてもたまに飲みに行っていた。そんな時でもふたりが見てない時とか、隣に座った時には手を繋いだり、抱き合った。スリルを楽しんでいるわけでもない。ただ、止まらないだけだった。




