第22話 手紙
わたしはいつものように門に向かう。あれ? まだ蒼くんはいない。わたしは門に立って蒼くんを待った。鞄には蒼くんへの手紙を入れている。
「バイバイ」
目の前を同級生が通り過ぎる。手を振り合う。ライブはもう来週だ。お母さんにお願いして、デパートで洋服を買ってもらった。制服よりも短いミニのワンピースだ。レトロなデザインが可愛かった。
《ごめん、今日ちょっと学校に残らなあかんくなって。ごめんやけど、先帰っててくれる? 何時になるかわからへんから》
結構前にきていたメールに今更気づく。どうしよう。まあ帰るか。手紙は来週にでも渡せばいい。今日は金曜日。土曜日も日曜日も練習なので、蒼くんには会えない。電話できたら嬉しいな、と思いながら駅に向かって歩く。蒼くんに出会ってから、そういえばひとりで帰りにこの道を歩いたことがなかった。蒼くんが隣にいないのが不思議だ。
蒼くんとの関係をどうすべきなのか、わからない。類斗には会えないんだから、もう忘れて進むべきだと思う自分と、そんなのよくない類斗だけを思い続けるべきだというふたりのわたしがいた。自分のことを好きだと素直に表現してくれる蒼くんに甘えて自分も好きだという錯覚に陥っているだけなのでは? とも思う。
修学旅行、カラオケ、帰り道……ずるいことばかりしてくる類斗。今頃なにしてるんだろう。サッカー? それなら絶対にこれからもわたしが入る余地なんてない。このまま蒼くんと過ごす方が幸せになれるのでは?
《わかった。帰るね》
と送って改札を通ろうと思った時に「ゆりちゃーん!」と声がしたので振り返ると、蒼くんがいた。
「おー! ごめんごめん。ちょっと課題のことで先生と話してたら遅くなったわ。ごめんな!」
わたしは改札に通そうとしていた定期券をしまい、蒼くんのところに行く。
「寂しすぎて爆速で走ってきたわ、間に合ってよかった」
「ありがとう、わたしもずっと蒼くんのこと考えながら歩いてた」
「なんそれ、可愛いこと言わんといてえや、連れ去りたくなるわ」
「誘拐やめてー」
それからくだらないことを話して、わたしたちは別れた。蒼くんはギターを持っていたから今日もスタジオに行くのだろう。
あかんはこんな関係ずるすぎる。ライブが終わって、デートする日にわたしも気持ちを伝えよう。て、あ、また手紙渡すの忘れた!




