第13話 カラオケ
卒業式の後、4人だけじゃなくてサッカー部仲間とかみんなと遊ぶことになっていた。カラオケにボーリング、それからダーツやミニサッカーが出来る場所にみんなで向かう。その場にはなぜか郁ちゃんもいた、いや、なぜかじゃないか類斗の彼女だもんなって思った。てか、なんで黙ってんだろー。もう言ってほしいのに。いや聞きたくないか、という気持ちを行ったり来たりした。
最初に屋上に上がって、ミニサッカーをした。ちょうど、男子が5人女子が5人だったので性別でわかれた。もちろん敵うわけないのに、女子はハンデでシュートが決まると10点入ることになっていた。わたしが蹴ったボールが見事、ゴールに突き刺さる。
「やるやん!!」
真っ先に類斗が走ってわたしの所に来てハイタッチしてくれた。わたしも一瞬笑顔になった。だけど、郁ちゃんが気になって素直に喜べなかった。
ミニサッカーを同点で終え、それからはカラオケに行った。類斗たちとそういえばカラオケには行ったことはない。公園で遊んでばかりだった。まあ、時間もお金もないからだけど。だからなにを歌おうか、デンモクを見ながら文香と悩んだ。文香は流行の女性ボーカルを選び、類斗もすぐに決めていた。わたしはみんなの歌を聞いてから決めよう、と思ってとりあえず入力していない。
郁ちゃん、類斗、そして隣にわたし。息が詰まりそうだった。文香とお菓子を食べながら、色々と話をした。そうでもないと気がおかしくなりそうだったからだ。
文香は立ち上がり、失恋歌を熱唱。可愛らしい声で、そしてわたしは歌詞の内容に救われた。わたしのための曲? ってぐらいに、共感できた。
〝出席番号は遠かったけど こんなにそばにいるのに あなたは知らないでしょ? こんなにそばにいたのに あなたは一生気づかないでしょ? それでもいいの それでも そばにいさせて〟
それでもいいの、かと思った。わたしもそうだ、たとえ彼女がいてもそばにいたかった。
その次は類斗だった。はにかみながら、マイクを手に持ち歌う。あれ?
左手で握りしめたマイク、そして右手でわたしの手を握ってる。間違えてるんじゃない? 反対だよ郁ちゃんは。
〝あぁ ため息しかでない 君といる時間は なににも変えられない だけど言えない〟
ずるいぐらい上手な類斗の歌声に、普通にわたしは涙が出た。そしてそれがちょうど真っ直ぐに類斗が握ってくれている手に当たる。歌が終わる直前に、わたしの方を少しだけ見て、それからまた画面を見た。
え、なに? なんの攻撃?! もうだめ、好き以上に大好きすぎる。
郁ちゃんなんて関係ない。類斗は一生わたしのもの。
わたしは好きで溢れる、流行りのアイドルの曲を選んで歌う。左手は類斗の手で覆われながら。




