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お嫁さんパニック

肩を抱かれたまま商館へ向かう。

別に迷子にはならないのになぁ~

「あ、ネイ?ハイラントさんにコレ貰った~」

報告しといた方が良いよねぇ~と手に握ったままの紋章を見せれば、ネイの眉間に皺が寄る。

「『お印』じゃないか!あぁでも、まぁ、仕方ないか」

「めんどくさい?」

「取り入ろうとするヤツがな。隠しとけよ」

吐き捨てるみたいな言い方に

つまり、身分証って言うより、某ご隠居様の印籠なんだろ~な~、コレ。さっさと首に下げて服の中に直しとこ


広場から西へ進むと立派な建物が見えて来た。

商館は、一部屋毎に違う商売人が借りて商いしてるんだって

個人経営デパートだね~

入り口に入る前から賑やかだなぁ


「ジーヴル様だ!」

「また、珍しい毛皮がありましたらよろしくお願いします!」

「今度、是非ウチの弓矢をっ」

我先にと声を掛けてくる様は競りみたい。みんなそれなりの身なりだからお金持ちなんだろな~。

後で聞いたら、それなりの出資金がなきゃ商館で商いは出来ないんだって~。市場と何が違うのかなぁ?


「『ジーヴルさま』大人気だね~」

「あいつらには、良い金儲け相手だからな…そこの窓口で用件を伝えてから商人と取引だ」

示された窓口らしき机には、真っ赤な髪のキャリアウーマン!なお姉さんが1人。

「これはこれは、ジーヴル様!ようこそおいで下さいました、本日はどのようなご用件で」

「俺は付き添いだ」

「ジーヴル様が、お付き添い、ですか?」

お姉さん、今ようやく視界に入りました!って感じだ~!

小間使いかなんかかと思われてたんだろうなぁ

周りからのアレ何者?視線再び~!


「失礼致しました、ようこそジゼラブ商館へ、こちらでは身分証の提示の必要がございますが、何かお持ちでしょうか?」

おぉ、流石キャリアウーマンな受付嬢!!素晴らしい営業スマイルで立て直した!

市場と違って身許がしっかりしなきゃ買い物出来ないのか~

あ、だからハイラントさんはアレくれたのか

ん~、でもなぁ、コレ出したらハイラントさんの知り合いって騒がれるんでしょう?それ、ちょっとやだなぁ~

胸元の金貨を出し渋ってたらネイが僕の肩を抱いて

「俺の伴侶でも必要か?」

わぁ~、ネイって、そんな冗談も使えたんだ~!

って!違う意味で大騒ぎだよ!

お姉さんもポカーン!だよ~!

って言うか

「付き添いとか言わずに、最初から話してくれたら良かったのに~ぃ。顔パスだったんでしょぉ?」

「お前の顔も覚えてもらわないとダメだろ?まあ、1人で出歩かすつもりはないが」

ネイは僕の肩に手を回しながらはっきりした声で話す。

ああ、コイツはジーヴル様の大事な人だぞ~?なんかあったらジーヴル様が出てくるぞ~!って事か~。


「か、かしこまりました!では、何をお求めでしょうか」

「種や苗を育てたいの~、本とかもあると嬉しい~です」

「しょ、少々お待ち下さいませ!」

お姉さんが引っ込んで共鳴石で会話してる。


「て、いうか、伴侶なんて言って良かったの~?『ジーヴル様の奥さん』て事でしょう?」

「嫌か?」

「嫌とかいう話しじゃないよ~!職場の人とかにも聞こえちゃわない?困らない?」

「俺は、ユウなら伴侶に欲しいから困らない」

「わぁ~、口説かれる前に既成事実作られた~」

「なら、全力で口説くさ」


冗談に聞こえな~い、って返そうとしたら、お店の人が到着しちゃった。

ニヤリと笑うネイって男前だから卑怯だ~。流石にちょっとドキッとしちゃった。


「お待たせ致しました、ご案内致します!」

案内されたのは中庭。

色々な草花が所狭しと置かれてる。

「本日はどのような物をお探しで?」


「お庭に、野菜や花を植えたくて、どんなのが、良いですかぁ~?」

「お庭はどの位の広さですかな?ああ、こちらに一覧がございますので…」


庭の広さや、植物の種類、植え方や育て方なんかを聞いてプランを立ててもらう。

終始『奥様』呼びなのが笑えな~い。

とりあえず、今日は本を貰って、種や苗は後日に配達してもらう事にした。もう、夕方だし、仕方ないか~

夕飯の仕込みはしてきたから、遠回りして帰ろっかなぁ

「ゆっくり歩いて帰ろ~?」

「ああ、かまわんが…夕飯は」

「すぐに出来るよ~」

「そうか、今日は何を作ったんだ?」

「今日はハンバーグ~!子どもも大人もみんな大好きなお肉料理~ぃ」

「ユウの飯はなんでも美味いから楽しみだ」

「ふふ、ネイが美味しそうにいーっぱい!食べてくれるからね!」

「ユウに出会えて、ユウといれて俺は幸せだ。ありがとう」

「っ~!な!やだなぁ~もう!照れちゃうよ~ぉ」

うぅ、ほっぺがカッカするぅ



…おはよぉございましゅ、ユーマです。

伴侶なんて言われちゃったらさぁ、やっぱり色々考えちゃうじゃない?と、言うわけでぇ、あんま眠れなかったので早めにお料理してま~す。

はう、顔赤くないかなぁ?変な顔してなきゃ良いんだけど…


ミルクたっぷりのパンに、サラダとスープと具沢山オムレツ!

昼ご飯には昨日のハンバーグを挟んだハンバーガーを3つ。

今日はお庭造りに来てもらうからお出かけ出来ないから、なんか時間かかる物でも作ろうかな。

「早いな」

「ぉ、おはよぅ~!もうご飯出来てるよ~」

「…今日も美味そうだな」

「えへへ、ありがとぉ~、あ、お昼は昨日のハンバーグ挟んだパンでね~」

「ユウ」

「にゃに?」

「…昨日言った事は忘れてくれ」

「へっ?」

「いきなりあんな事を言って済まなかった。困らせただろう」

「え?たしかに、びっくりはしたけど」

「悪かった。それと、今夜は遅くなるから先に休んでてくれ。ゴチソウサマデシタ。行ってくる」

「あ、うん、いってらっしゃぁい」


小さくなるネイの背中を見てると、なんだかすんごく、寂しくなっちゃった。

ちょっと嬉しかったのになぁ。

ハァ…誰かの一番に、なりたい。



***

(サイド・ネイ)


まずは、好意を伝えてからだろう!

求婚すらしてないのに!アホか俺は!ユウのヤツ凄く困ってたじゃないか!

いきなり伴侶だなんて、俺は何考えてんだ!

とりあえず、落ち着け。

まずは、好意を伝えてデート、いや、デートしてから好意を伝えて恋仲になった方が良いのか?

あの反応からしても、希望はありそうだ。よし、とりあえず、今日明日で仕事を片付けて休みを取りデートに誘おう!

街中の案内か、いや、森に散策に行ってもいいな!

よし!頑張るぞ!



この世界で知らない者は赤ん坊だけ、と言える方の注文に、商館は選りすぐりの庭師達を派遣した。


「いやぁ、しっかし、ジーヴル様の嫁さん、可愛いかったなあ」

「なー!」

「おらぁ、華奢ちゅう意味を初めて知ったぞ」

「しかも、俺らにお疲れ様です、と昼飯まで用意してくれる甲斐甲斐しさ!」

「あんな優しい嫁さん欲しいなぁ」

「居てもお前じゃ相手にされねーよ」

「だははは!ちがいねー」

「んだとー!お前らも似たようなもんだろ!」

「しかし、あんな柔らかくて美味いパンがあるとはなぁ」

「だな!あれなら歯が悪いばぁちゃんや、ガキどもでも食えるなあ」

「あの可愛いさで、あの飯の美味さ!ジーヴル様を射止めるだけあるよな」

「しかもあの娘さん、どこぞの姫さんらしいぞ!ハイラント様すら『お姫様』っちゅーて呼んで、親しげだったってよ」

「何?美人でお姫さんで料理上手だとっ!?おとぎ話でもなかなかないぞ?」

「ジーヴル様みてーな男の嫁さんなだけはあるなぁ」

商館に戻りがてら話していた男達の話しは広場や道で井戸端会議していた女衆にもしっかり確認されている訳で

「ジーヴル様に、嫁!?」

「どういう事!詳しく教えなさい!」

と、年頃の娘から噂好きなマダムにまで詰め寄られるのは当然の結果である。

「うお!あ、いや、昨日よぉ?ジーヴル様が娘さん連れて商館に買い物に来たんだよ!したら、伴侶だーって紹介したんだよ!

んで、その買い物を今日届けに行ったんだがよぉ、その娘さんの可愛い事可愛い事!」

「バカ!ありゃあ可憐って言うんだ!」

「ハイラント様にもお姫様っちゅーて呼ばれとるらしいが、確かにありゃ、おとぎ話の中に出てくるようなお姫様!」

「しかも、俺らに昼飯まで用意してくれてよ!その美味い事美味い事!」

「ふわふわに柔らかでほんのり甘いパンに、野菜やら肉やら挟んであんだが、これまた美味いソースがかかっててよ!はあー!また食わしてくれねーかなぁ、いや、ありゃ売り物になるなぁ、売ってくれねーかなぁ、かぁちゃん達にも食わしてやりてー」

「だな、だな!あのパンなら銀貨出しても惜しくねーよ」

「あんな美人に笑顔であんな美味い料理出されたら、落ちない男はいねーよなあ」

「ああ!ジーヴル様が落ちるだけはあらなぁな!」


広場の人混みの中語られるその話しはすぐに街中の人の耳に入り

絶賛される美貌と料理の味に、住人は興味深々で話題を集めるのだった。



〈サイドジーヴル〉

ユウからの昼飯をかぶりつきながら書類を捌いてたら、ハイラントが来た。

「おいおい?ジーヴルよぅ?貴様、いつの間に結婚したんだぁ?俺様は一言も聞かされてねーぞ!」

「は?」

「は?じゃねーよ!街中でテメーに嫁さんが居るって話題だぞ!相手は、華奢で可憐な料理上手のお姫様。完全にお姫様ん事だよな!?いつ、求婚して、いつ結婚しやがったんだ!ああ!?」

「…まだ、だ。」

「あ?」

「まだ、交際の申し込みすら、出来てない」

「は?いやいやいや!ならなんで嫁さんって言われてんだよ!」

「それは、昨日、商館の身元の話しで、俺の伴侶でもか?と言ったから、だな。」

「…いや、ないわぁ。外堀から自分まで埋まってんじゃん。」

「次の休みにデートにでも誘おうとしていたんだが」

「…お前。冗談なんか言うタチじゃねーんだから考えて発言しろよー!っか、お印渡しだろー?」

「いや、ユウが渋ってたから」

「あー!もう!ジーヴル!

テメーに3日くれてやる!最低、求婚までして報告しに来い!根性みせやがれ!」




***

遅くなるって言ってたのに、いつもより早く帰ってきたネイに明日出かけるぞ!って言われた。

とりあえず、避けらてはないみたい?

明日、どこ行くんだろう?

捨てられたり、しないよね?



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