この世界が果てる、その時まで
「よいしょっ!」
最後の荷物を詰め終わる。
「忘れ物はないか?」
「大事な物は先に入れたから、だいじょうぶ!」
「ジーヴル、お姫様。達者でな!」
そう言って笑うハイラントさん。
似てないと思ってたけど、髭を蓄えた姿は先王様そっくりだ。
「ユーマさん、お元気で。」
その横で相変わらずネイを無視して笑うザールさんもすっかりシワシワのお爺さん。
ネイは夜を司る、神様の遣い。
100年毎に違う国を周り守護するんだって。
異世界人で、ネイと結婚と言う契約を結んだボクは、なんか不思議な力で不老不死になったらしい。この世界が終わる日まで、ネイと一緒に居られるように。
国を離れたら私的な交流は出来なくなる。つまり、ハイラントさんたちとは今生の別れ。
ボクらの馬車の周りには、たくさんの白の国の人々。
ブルノーさんらヴィルさんは亡くなってしまった。ビスさんは娘さんに付き添われて手を振ってくれてる。
あの日、駄菓子を買いに来た三歳のお嬢ちゃんも、今では子どもを持つ立派なお母さんだ。
「行くぞ」
感傷に浸りそうになるのを止めるように声がかかる。
振り向くと出会った時と変わらない姿のネイ。
差し出された手を取り、馬車に乗る。
次の国へ向かう。行き先は聞いてない。
どこに行こうと、やる事は変わらない。
「ネイ」
「ん?」
「次の国でも、お料理頑張るからね!」
「…。フッ、期待してる。」
馬車は動きだす。
身を乗り出してみんなに手を振る。
「みんなぁー!ありがと〜!!」
見えなくなって座りなおす。
ネイの腕が腰に回って引き寄せてくるのに抗わず頭を彼の肩に預ける。
ずっと一緒だ。
この世界が終わるその日まで。




