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パン屋さん

いよいよ明日開店です。


準備期間からちまちま作りまくりましたぁ

パンなんか各1000個だよ?1000個!本当に売り切れるのかなぁ?残ったら悲しいなぁ

「どうしたよ?浮かない顔して」

出窓からひょいと顔を出す金髪美形…本当にタイミングがいいねぇ

「ハイラントさん。うん、パンの数の事で」

「ん?いくつ用意出来たんだ?」

「200袋なんだけどぉ」

「ああ…完全に足りねーな。ま、数量限定って言ってるんだから気にすんな!」

「へ?」

「あ?」

「足り、ない??」

「あ?だって一人一袋で400人しか買えないだろ?この国の働いてる大人はおよそ一万人だぞ?普通に足りねーだろ?」

「そ、そんなに買いに来るかなぁ?」

「来る来る!先走って警護隊に詳細聞こうとしてくる奴らだけで300近いんだぜ?前に披露宴で振る舞われた貴族でも使用人使ったり人雇って買いに行かす気まんまんだしな」

「も、もうちょっと数、増やしとく」

「無理すんな、とは言いたいが、少しでも増やしてやってくれ、じゃ明日の朝な!」


ハイラントさんが帰ってからパンを入れてる箱に魔法をかける。


『中身ごと増えろぉ!』

フワリと箱が浮き、二つになった箱の中を確認。うん。あるね。もぐもぐ。パンの味も、うん、だいじょぶ!

…。

ダメぇ不安だぁ。もう一箱分増やすぅー!

たくさん残ったらまた小出しで売ればいいんだから!

魔法使いすぎてフラフラになった。

ヤバい…ネイが帰ってくる前に復活しないとっ!

増やした分の味見を兼ねて腹ごしらえしてミルクジャムを溶かした温かいミルクも飲んで一息つく。甘い物って癒されるよねぇ。キャラメルも食べちゃお!

あ、今日の夕飯もそうだけど、明日のご飯も考えとかなきゃ。



『天使様が結婚式で振る舞われた「天使のパン」が限定で販売!天使様の作る天上の菓子も販売!』

『10歳までの子どものみの天使様の甘味!2時から4時までの限定販売!』

お城の前、警護隊の詰所に貼りり出されたチラシに街は湧いた。


「どこで売るんだよぉぉ!」

「一体いくらなんだ!?」

「よし!酒止めて金貯めるぞ!」


さらに3日後、再びチラシが貼られた。


『☆天使のパン屋さん☆白の花月15日のみ!

場所:テレン通り赤い屋根のお店。

☆この形の看板が目印です

開店時間:朝の8時から順番札の番号順に販売します(周りの迷惑になるので、並ぶのは7時から!それ以前から居た人には順番札は渡しません!)


売り物。

天使の丸パン(干しブドウなし)(干しブドウ入り)

各五個入り一袋銅貨十枚。

焼き菓子『クッキー』

五枚入り一袋銅貨十枚。

生菓子『キャラメル』

五粒入り一袋銅貨十枚


☆天使の駄菓子屋さん☆

白の花月15日午後二時から四時までにお店に来てくれた10歳までの子どもたちだけに賎貨五枚でお菓子を売ります!みんなで仲良く来てね!


数に限りがあります。

たくさんの人に行き渡る様一人一袋でお願いします。』



「パン一個で銅貨二枚か、天使様のパンなら安いな」

「五個じゃ、家族分に足りねーよー母ちゃんにも並ばせねーと」

「生菓子って何かしら?」

「子ども用のダガシてのはどんなんだろうな?」

「賎貨で菓子なんて、赤字だろにね」

「駄賃貰って絶対お菓子買いにいくぞ!」

男共は酒を控え、女達も節約し、 子どもたちは小遣い稼ぎに走り回る。

朝6時。

身支度を終えてネイと朝ご飯。

6時半。

手伝ってくれる警護隊の人達に挨拶。

面識のあるヴィルさんの他に、大きな体のブルーノさんと、好青年なビスカストオレイユスこと、ビスさんの三人。

6時50分

こちらを伺う人影を気にしつつ、警護隊の人が家の前の通りに配置に着く。

7時

気合いを入れて警護隊の人と番号札を入れた籠を抱えて出る。

「今から順番板を配ります!並んで下さーい!」

「8時になったら一番の人から順番にお売りしまーす!

番号札の無い人は並んでも買えませーん!

番号札を持ってる人も10時までに来てもらわないと保証しませ~ん!注意して下さ~い!

番号札の無い人は、番号札の人が済んでからになりまーす!」

400番までがすぐになくなった。

札を貰えずに悲しそうな顔の人達はまだまだ居た。

ハイラントさんに話し聞くまではこれで、商品も終わりだったんだよねぇ

増やしてて良かったぁなあ。

「今並んでる人は確実に買えます!次は10時から券を配ります!二回目に並ぶ人も買えるくらい用意してるからこっち側で待ってて下さいねー」

思わずそう叫んだら、悲しそうな顔の人達の顔に活気が灯った。

良かったぁ

「ユーマさん、本当に大丈夫なのか?ハイラント様から400だって聞いてるぞ?」

ビスさんが在庫の心配するのも分かるけどねぇ~

「うん、あれからまた頑張ったんだよぉ」

ニコニコ笑って返せば、疲れたらすぐ言ってくれな?と優しい言葉をくれた。うん。ビスさんいい人だぁ。

「ありがとぉ、さぁて!売る用意しよっかぁ」

家の中に入って出窓に小さなメニュー表とお金を置くトレーを置く。

もうね、天使のパン天使のパンって言われるから商品名って事にして、納得したよ!うん!恥ずかしく、ないんだからね!


天使の丸パンことロールパンは白い紙袋。

天使のパンことレーズンパンはピンクの紙袋。

保存用箱から出して背後のカウンターと並べた机に取りやすい様一列に並べる。

「ネイ~?この箱とこの箱の場所、変えてぇ?」

空き箱を退けて第二弾を近くに持って来て貰う。まだまだ在庫は増やしたからね!安心!


「それじゃあ、ヴィルさん。お金の確認、よろしくねぇ!」

「ああ!頑張ろう」

「ブルーノさん、袋の色言うから、手渡しよろしくね~」

「うむ」

「ビスさん、列の整理お願いね!」

「おう!任せときな」

「ネイ、札の回収頼んだよぅ!」

「ああ」


ビスさんとネイが外に出てく。


「天使のパン屋、まもなく開店しまーす!

商品はパンが2種類どっちか一袋!値段は銅貨10枚!

金を用意して、買うもんは決めておいてくれー!」

ビスさんの声が響く。

「番号札1から10の人~!並んで下さーい!」

そして、戦いの火蓋が落とされる。


大抵の人が天使のパン、つまりレーズンパンを買って行く。凄い勢いでピンクの袋が減って行く。

あっと言う間に400人が終わった。

「…ちょ、ちょっと、きゅーけ」

声出し過ぎて喉乾いた

「次の販売の準備するので、しばらくお待ち下さーい!」

ビスさんがそう声をかけて、ヴィルさんが出窓の戸を閉めてくれた。

テーブルに座る様促してはちみつ入りレモンティー(作り置き)を出す。

ゴクゴクゴク…プハァ!

「ユウ、大丈夫か?」

「ん、しゃべり過ぎて喉乾いただけ、みんなは?」

「俺は平気だ」

「俺もまだ大丈夫だぜ」

「私もだ」

「だが、ピンク、もう箱の分も少ない」

「え?話題の干しブドウ入りパン売り切れか?」


当初の予定のパンはとうに終わり増産分に手をつけてるんだよぉ。

さらに用意しといた予備の箱からピンクのだけを出すかぁ。その前にレーズンパンだけ倍に増やすかなぁ?

「ちょっと予備、見てくるねぇ」

「えっ?まだ、用意してたのか?」


三箱目はキッチンの中の見えない所に置いてるのぉ

白を出して、「箱の中で倍に増えろ~ぉ!」と念じる。フワンと箱が浮く。

フタを開ける。うん。増えてる

魔法さまぁ、ありがとぉ!これでみんなが悲しまずに済むよう。

出したロールパンを違う箱にしまって、レーズンパンを3袋避けとく。

「ネイ~!この箱、運んでぇ、持てないぃ」

ネイに出窓近くまで運んでもらう

「えっ、ユーマさん?まさかまだ?」

「うん、でもピンクの方はこれで本当に最後だからぁ、売り切れちゃった終わりぃ」

「…貴方はどれだけ頑張ったんだい」

「そこらのパン屋より焼いてるよな?」

「明日は休め!」

「無理、だめ!」

なんか、みんなに心配された。大丈夫だよ!大変だったのは魔法さまだし

「ユウ。明日はベッドから降ろさないからな。」

ネイの綺麗な顔が、すんごい怖い。

意味深発言!なんて揶揄えない。ガチの安静指示が入ってしまった…

「…ひ、昼までで、許して?」

「夕飯食べたらすぐ寝るなら。」

「はい、寝ます!」

「なら、いい。」


第二弾の販売開始してレーズンパンが完売。

番号なしの人への販売でロールパンも完売した。

「パンは完売しましたぁ!ありがとうございましたぁ!」

魔法で増産して、かなりの数になったのに買えなかった人がまだいた。ごめんねぇ。


しかし、まだ、駄菓子屋さんがあるからのんびりできない!

作り置きしてたパスタとミートソースで手早く昼ごはんを用意。

ヴィルさん達が美味しい美味しいって絶賛してくれた。えへへ、嬉しいなぁ。

手早く食事を済ませて子ども達を入れるために室内を整える。

子ども達には横取りを防ぐため、店内のカウンターで買って椅子に座って食べてもらう。テーブルは全て片付けて椅子を壁際にならべてる。

ドアの近くには包み紙を捨てるゴミ箱も設置。ポイ捨てしちゃだめですよぅ?


注意書きを書いた看板を玄関に置く。

『天使の駄菓子屋さん』

ここは、2時から4時まで開いています。

買えるのは10歳までの子どもです。

付き添い入店は3歳までの子どもに1人だけです。

買えるのは1人一つです。

順番に並んで待ちましょう。

ゴミはゴミ箱に捨てましょう。

みんなでなかよくしましょう。

【約束を守れない人がいたら天使のお店はなくなります。】

もう一つ食べたい!っていうだろう子どもより大人のがめんどくさそうだけどね。


1時半。外が賑やかだなぁ。クレープ生地焼きながら耳を澄ませば

「まだかなぁ?」

「あたしお菓子はじめてー!」

「天使さまのパンすごく美味しかったぜ!ダガシはどんなんだろうな!」

わぁ~すごい期待値だぁ!ご期待に添えるといいなぁ。


「ユーマさん、すごい手早いですね」

「普段あんなおっとりしてんのに…これが職人ってもんか」


「さあ!みんなー!駄菓子屋さんにようこそ!

最初にちょこっとお約束だよぉ!

ドアを開けたら、今並んでる順番のままゆっくり中に入ってくださーい!走らないでねー?

お金はジーブル様に渡してくださーい!賎貨5枚!ちゃんとあるかな?落とさないように気をつけてね?

みんな、守れるかな~?」

「「「ハーイ」」」

「わぁ!良いお返事、ありがと~!それじゃあ、駄菓子屋さんはじめまーす!」


約束通りちゃんと並んで店内に入った子ども達は駄菓子クレープを受け取ると急いで椅子に座って噛り付き目を輝かせてくれた。

「おいしー!」

「あまーい!」

とはしゃぐ声の中で聞こえた会話に癒された。

「あぁ、もう無くなっちゃった。もっと食べたいなぁ」

「なー?また、お店してもらえるように良い子でいなきゃな!」

「えっ!あ…。うん!そうだね!次もまた来たいなぁ。」

貴族ぽい男の子とぉ、活発そうな平民の男の子。普段じゃ絶対出会わない組み合わせが、こうして会話してる。しかも、平民側が貴族側を諌める内容な辺りがすごいよねぇ。しかもその後一緒に遊ぼう!って出て行ったんだよぉ?子どもらしくていいよねぇ!

ほっこりしてたら裾を引かれた。3歳くらいの女の子

「てんちたま!あのね」

「どうしたの?」

「おやくちょく、やぶうの、ダメなの。でも、リズ、おにーちゃんにも、ダガシ、あげたいの!だめ?おにーちゃ、イタイタイで、ねんねなのっ」

彼女の手には買ったばかりの駄菓子クレープ。

あれ?この子、まだ食べてないよねぇ?自分が買ったのをあげようとしてるの?おにーちゃんの分を買わしてじゃなくて、分けていいかの確認?

「うん。リズちゃんの駄菓子をおにーちゃんに分けてあげるなら、お約束を破る事にはならないよぉ。今度はおにーちゃんも一緒に来れたらいいね」

「うん!」

「持って帰るんならぁ、包んであげるよぉ?」

「ありがとう!てんちたま!」


君の方が天使だよ!こっそり二つ包んじゃったのは内緒だからね?



材料が無くなった所で閉店になる。

片付けはネイが無言の圧力をかけてきて、変わってもらった。

「お前の事だ、夕飯を振る舞う気だろ?早く食べて寝るぞ!」

…うーん、お見通しですか。そうですか。

テーブルを運んでもらい料理を並べる。

ネイの好きなパエリア。

スパイスを効かせたグリルチキン。

ベルーの煮込みシチュー

タルタルをかけたサラダ


「本当に、料理が得意なんですね。」

「うん!ヴィルさんにはあの時のお礼も兼ねてるからたくさん食べてねー!」

「言われずとも手が伸びそうだ。」

「では、イタダキマス!」


お土産も渡してみんなニコニコで帰って行った。

「洗い物はしておくから、風呂入ってこい」

と言われたので甘える。

お風呂から上がるとリビングにいるネイの横に座る。

「…良く頑張ったな」

優しく頭を撫でてくれるネイの肩に頭を寄せる。

「うん、ネイもお疲れ様。手伝ってくれてありがとぉ。」

「満足度したか?」

「うん。たくさん笑顔が見れたからね。…ただ、買えない人もいたから申し訳ない。」

「パン屋がしたいか?」

「んー、ボクには向かないかなぁ。大好きな人に食べさせる分をゆっくり、心を込めて作りたいから。」

「フッ、良かった。これ以上お前の料理を他人に食わせるのは、かなり腹立たしいからな。」

「…ふふっ、ネイは本当可愛いね…うん、ボクも、ネイの為にだけ…料理してたい…」

「眠いのか?ベッドにいくか?」

「…離れたくない…」

ギュッと腕に抱きつけばネイの身体がビクッと強張った。

「…なら、一緒に行こうか?」

抱き上げてくれる腕の中が、本当に落ちつく。

ベッドに横たわると、当たり前の様にネイの腕に包み込まれ、互いの体温がゆっくりと溶け合う。

ああ、幸せだな、と思う。

「おやすみ、ユウ。」

自分しか知らない低くて優しい声。

「…ン、おやすみぃ。ネイ、だいすき…」

眠りに落ちる瞬間、額にそっとキスが落とされた。




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