伝承〜御使【夜】〜
まだ、この世界が出来たばかりの頃。
世界にはたくさんの集落があった。
ある集落の導き手は夢を見た。
黒衣の者が、近い内に見定めに行くと告げる夢だ。
その導き手は、その夢を翁に話た。
翁は神からのお告げやも知れぬと、集落に黒衣の者が来たら案内するよう言って回るように勧めた。
導き手はその通りにし、果たして次の朝黒衣の者が現れた。
黒い髪に褐色の肌、月の様に青い瞳の男であった。
「我は夜を司る者。良き道を歩む導き手よ、汝がその道を歩む限り、汝の導く地には、健やかな休息と癒しの夜をあたえよう」
それは神からの祝福であり加護であった。
「民よ。導き手が道を誤らぬ様、支えよ。誤ればこの地は夜を失い渇き不毛の地となるだろう。」
それは神からの忠告であり優しさであった。
夜を司る者は、国中の集落を回った。
協力し助け合う国には魔物を怖れる事なく安穏たる癒しの夜の加護。
神の声を信じず、我に負け、仇なす者の元には、二度と夜は訪れず、渇き飢え生き絶える罰を。
こうして、夜を司る者は、世界を回った。
その頃には良き導き手の集落のみが残り、町となり、国となった。
夜を司る者は各国に人1人分程の時の間滞在し、その間、国の導き手と一つだけ取引するようになった。




