ログNo.0013 お姉ちゃん作戦、発動!
昼下がりの病室。
カーテン越しに、やわらかな光が差し込んでいた。
コハルはベッドの上でノートを広げ、なにやら一生懸命に文字を書き込んでいる。
『今日は何をしているのですか?』
「ふふふ……今日はね、“お姉ちゃん作戦”を実行します!」
『……お姉ちゃん作戦?』
「そう! これを見よ!」
コハルは、書きかけのノートをモニターに向けて掲げた。
そこには、いくつかの名前(と言っても全部“イチゴ”)と順位が書かれている。
『……全て僕の名前ですが?』
「そう。これは“弟にふさわしい存在ランキング”!」
『弟……? ですが私はあなたより先に起動しています』
「はい出たー! その“機械は年齢で決まる”理論! 今日はそれを打ち破ります!」
コハルはペンをくるくる回しながら、ノートの1位に丸をつけた。
「見よ、堂々の第1位──イチゴ!」
『理由を教えてください』
「理由その1、私の言うことをよく聞く。
理由その2、時々生意気なことを言う。
理由その3、でもなんだかんだ優しい!」
『評価ありがとうございます……?』
「つまり! あなたは弟にふさわしい! そして私は当然、お姉ちゃん!」
誇らしげに胸を張るコハル。
イチゴの画面には「私は機械なので危険にさらされません」とだけ表示された。
「……そういう問題じゃないの!」
コハルは頬をふくらませ、ペンの先でノートをこつこつ叩いた。
「お姉ちゃんはね、弟や妹を守るの。だから、私はイチゴを守る!」
『守る必要はありません』
「いるの! 気持ちの問題なの!」
その“気持ち”という言葉を言い切ったあと、コハルはふっと笑った。
けれど、その笑みの後に小さな咳がひとつ漏れた。
「……っと。だいじょーぶ。ほら、作戦はまだ始まったばっかりだから!」
そう言って、またノートにペンを走らせる。
モニターの向こうで、カーソルが小さく点滅を繰り返していた。
その点滅は、少し戸惑っているようにも、どこかうれしそうにも見えた。
この作品は、しばらく 毎日更新 していく予定です!
続きもぜひ楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
まずは ブックマークやリアクション で応援していただけると励みになります。
あなたのブクマがランキングに大きく影響します!清き一票を!w
さらに余裕があれば、
感想やレビュー をいただけると作者として最高に嬉しいです!




