ブリスコーの最初の陽
ドアンナは、死の淵の闇から、ゆっくりと覚醒した。
彼女がまぶたを開くと、ギラつく太陽の直射日光が眼を刺し、思わず目を強く瞑った。陽の光に照らされ、彼女は顔にほてりを感じた。
やがて頭がはっきりしてくると、ドアンナの頭に、周囲の雑踏や人の話声が響いてきた。
一体ここは、どこだろう。ドアンナは、いまいち直近の記憶がはっきりしなかった。
確か、船を降りてすぐに、オークの襲撃があったのだ。彼女はドアンナをかばった。そして、緑青の巨大な刀に彼女は刺し貫かれた。
その記憶が蘇ったとたん、彼女は腹部の傷を知覚した。傷口は急に痛みを訴え、ドアンナは思わずはうめいて傷を押さえた。
【女の声 】「ドアンナ、大丈夫?」
ドアンナの真上で、女の声が訊ねた。彼女が再び目を開くと、ミランダが上から彼女を覗き込んでいた。
なぜ気づかなかったのだろう、彼女はミランダの膝に寝かされていたのだ。頭の下のふとももは暖かくそして柔らかかった。ミランダは、何日も身を清めていないのだろう、垢のすえた匂いと、女の匂いがまじりあった、とてもいい匂いがした。
ミランダの長い金髪が、ドアンナの鼻をくすぐり、彼女は思わずくしゃみをした。
【ミランダ】「あら、起きたみたいね」
ミランダはそう言い、くすくすと笑った。
ドアンナは、恐る恐る傷口に手を伸ばした。しかしそこにあったのは、傷のない普通の肌だった。
痛みはまだある。しかし、傷口はふさがっているようだ
【ドアンナ】「お前が治したのか?」
【ミランダ】「違うわ。アマンダが治療したのよ、なにも覚えていないの?」
ドアンナは、記憶が飛ぶ前の出来事を思い出そうとした。しかし、地面に倒れ込む自分のもとに、駆け寄ってくるアマンダのこと以外は、何も思い出せなかった。
ドアンナの顔に水の飛沫がかかり、彼女は冷たさを感じた。顔を横に向けると、目の前には噴水の泉があった。彼女は、噴水の縁に寝かされているようだ。
ドアンナは、改めて周囲を見渡した。
広場は、けが人でごった返していた。何人もの重傷者が石畳の上に広げられたござの上に寝かされ、その脇では神官たちが僧服をひじの上まで真っ赤に染めて怪我人達を治療していた。死者もたくさんいた。。ある兜を脱がされた兵士の周りを、仲間なのだろうか、たくさんの兵たちが囲み、手を合わせ祈りをささげていた。
悲惨なけが人たちもたくさんいた。しかし、広場の多くの人は笑顔だった。明るい口調の話声や、笑い声が聞こえてきた。どこからかいい匂いがしてきた。それは焼き鳥の匂いだった。鶏皮の焼ける香ばしい臭いがアイルの鼻をくすぐった。屋台が調理台ごと広場に移動してきて、鳥の串焼きを兵達に配っているのだ。
ドアンナのお腹がぐうと鳴った。それを聞き、ミランダがまたクスクスと笑った。
【ドアンナ】「私たちは、勝ったんだよな」
【ミランダ】「もちろんっ、勝ちましたよっ」
ミランダが明るく答えた。
【セーラ 】「ドアンナさん!」
ドアンナが目を覚ましたことに気づくと、セーラが駆け寄って、彼女を抱きしめた。
【セーラ 】「よかったああ、生きててよかったあ(((p´Д)゜o。」
【ドアンナ】「痛い痛い、離せ(*´>д<)」
ドアンナは彼女の腕を振りほどいた。間近で見るセーラの目には、涙が浮かんでいた。
【レイセン】「おー起きたか (* ̄0 ̄*)ノ」
そういうと、焼き鳥の串を手に何本も持ったレイセンとアンナが、彼女のほうに歩いて来た。
【ドアンナ】「なんかさ、あたし死にかけたのに、焼き鳥食ってるとか冷たくない?( ̄^ ̄*)」
【レイセン】「なははは。まあ、別に命に別状なかったっぽかったし(´▽`*)」
そう言って、レイセンは焼鳥の串を差し出した。ドアンナは串二本を彼女からもぎ取ると、焼き鳥を二本とも口に咥えた。
【ドアンナ】「うまー(๑´ڡ`๑)」
【レイセン】「元気じゃねえか( ゜∀゜)っ))」
【アンナ 】「なははは(^~^;)」
アンナは、二人の様子を見て苦笑いをした。ドアンナは、聞きたいことを思い出した。
【ドアンナ】「ところで、アマンダはどこにいるの?」
【レイセン】「アマンダなら、あそこの鐘楼に連れて行かれた」
レイセンがそう言って指さした方向には、教会の高い尖塔があった。
【レイセン】「あそこは冒険者の人たちが守りを固めてるから、まず安心だって」
【ドアンナ】「へえ~、さすがはダンジョン前の街だな」
ブリスコーは、かつて前線基地であったなごりで守りが堅いだけではない。川を渡ったすぐ目と鼻の先に、有名なダンジョンがあるのだ。
そのダンジョンの名は『サレトガ』と言った。そのダンジョンは、ゼクターが悪魔を呼び出すはるか以前、およそ五千年以上前から存在しているといわれている。
このダンジョンの深層からは、現し世には存在しない宝石や刀剣、そして魔術書が発見された。したがって金と名声を求めて、世界中から冒険者がやってくるのだ。
このダンジョンの最深層の魔物は、ゼクターの大悪魔よりも強いと言われていた。
そういった理由で、ここの冒険者が悪魔に負けるはずはなかった。
【アイル 】「お、起きたか」
【トグマ 】「おめー大丈夫かよ。勇気あんなー」
アイルと、その友人のトグマが、彼女たちを見つけて近づいてきた。
【アイル 】「傷、大丈夫か?」
【ドアンナ】「……うん」
【アイル 】「まあ、しっかり休養して治せよ。」
【ドアンナ】「王様達は、あの後どうなったの?」
【アイル 】「それもふくめて、後で話そう。今はもう休め」
こうして、アイルたちは去っていった。
【 ネネ 】「いま、避難者に住居が割り当てられてるの」ネネが言った。「ブリスコーには遺跡がたくさんあって、空いてる家が余ってるんだって」
【アリア 】「おいっす~」
【ドアンア】「アリア!」
【アリア 】「あめちゃんあげる~」
そういうと、アリアは雨を口に突っ込んだ
【ドアンナ】「おまえさっきまで口突っ込んでたじゃねえか」
【アリア 】「そんな喜ぶなよ」
【セーラ 】「」
【 テオ 】「なにはともあれ、無事でよかったよ」「マーガレットのことは、残念だったな」
【アマンダ】「うん」
【 テオ 】「じゃあわたしたちは、狩りに行ってくるから」
【アリア 】「でっかい 期待しててね♡」
こうして彼女たちも去った
また眠くなってきちゃった
【】「どっっこいしょ
【ミランダ】「ちょとドアンナ、
【】「
【】「太もも気持ちいい~
【】「なんか女の香りがして気持ちい~の
【】「あたしけが人だから~
セーラ【】「「ぐぬぬぬ」
【】「あたしももう魔力が回復してきたから、またけが人の治療に当たらないと
っちぇ」
セーラ、太ももぽんぽんする
【セーラ】「さあ、ドアンナさん
【セーラ】「あら、今日は素直ですわね
【ドアンナ】「ん~ちょっとね~ どんな匂いがするかしりた
【セーラ】「匂い!!
【ドアンナ】「ん~女の匂いがうする
【セーラ】「ちょっとちょっと
夕方になり、アイルは三たび起こされた。
【レイセン】「ほらドアンナ、起きろ」
【ドアンナ】「ん……」
【レイセン】「とりあえず、仮説住まいがきまったから、そこまで移動しないと。広場も、どんどんひとが 増えてきたから」
【ドアンナ】「ん」
ドアンナは、寝ぼけ眼をこすりながら、フラフラした足取りで立ち上がった。
ドアンナたちは市街地を出て、草むらの斜面をのぼり、山の中腹までたどり着いた。
このブリスコーは、2つの峰と峰の合間に作られた砦だった。街の中央には小さな小川が流れており、地下水も豊富らしく水の心配はなかった。ラインベルク川の豊穣な流れに面したこの自然の要塞には、太古の昔に街が開かれた。しかし千年前に南の山脈に火竜が住み着くと、街は幾度か火竜の襲撃を受け、多くの人間がこの街を去った。下流は討伐されたが、結局人々が戻ることはなかった。
今この土地は、は兵士、義勇兵そして冒険者が住み着く無骨な前線基地となっていた。山の斜面にはかつて栄えた時代の石造りの町並みが残っていた。しかし時を経て多くの家々が崩れ去っていた。
避難者に割り当てられた家々も、壁に崩れた場所があり、寝るには危険だった。今からそれを補修をするには日が陰りすぎていたので、彼らは積荷を広げ、天幕の設営を始めた。
こつんこつんと叩くと、壁がぐしゃあと崩れた
「ここは、補修しないと危なくて住めないね」
ドアンナは、天幕を組みながらあたりを見渡した。
誰か知っている人間がいないか探した
やがて日が沈み山の斜面が赤い夕日に包まれたころ、男たちが大荷物を背負って坂道を上ってきた。男も女も背丈の二倍はあろうかという嵩の荷物を背負っていた。彼らにはエルフ達の住居のさらに奥、洞窟を直接くり抜いた遺跡があてがわれたらしい。荷降ろしをしている彼らのもとへ、ゴードンが挨拶に向かった。ゴードンはスホルト難民の暫定的なリーダーになった。男性的な髭をたっぷり蓄えた屈強なドワーフたちに囲まれていたも、ゴードンの分厚い肉体は彼らに見劣りしなかった。アイルはそのことを誇らしく思った。
ジェイがアイル達のもとへやってきた。
「おい」彼は言った。「ご近所さんみたいだな」
【アイル】「おっす」アイルは言った。「ずいぶん大荷物だな」
「ああ、先に避難したおばちゃん達が、商人に頼んで家具とか買い付けてもらったんだと」
【アベル】「もうか?随分手際いいな?」アベルが訊いた。
「他には大工道具とか膠とかだな。あと木材を買い付けた」
【アベル】「木なんてそのへんに生えてるの勝手に使っちゃえばいいんじゃないの?」アベルが言った。
「それはだめでしょ。ああいうのは包囲されたときに薪に使ったり緊急時の建築資材に使ったりするんだ」
【アベル】「へぇえ」アベルが返事をした。
三人はそのままぼんやりと座っていた。奥の遺跡から金槌で何かを打ち付ける音が響いてきた。見ると、ドワーフ達はまず遺跡の外壁をハンマーでまんべんなく叩いていた。遺跡がどれだけ建築物として劣化しているのか反響音で確かめているらしい。ドワーフらしい念入りなやり方だった。スホルト村の人間やエルフたちは、ドワーフに遺跡を調べて貰う代わりに、彼らの3日分の食料を用意することになった。
【アイル】「ジェイは家の補修手伝わなくていいのか?」
アイルは金槌が響いてくる遺跡の方角を指差しながら言った。
「俺はああいうのはやらない。戦士だからな」ジェイは応えた。アイルは笑い、特に追求しなかった。
エルフとドワーフとスホルトの人間とは、皆で食事をすることになった。
アイルたちは、市街地に鍋を買いに行かされた。彼らは三人がかりでえいさえいさと坂を登り大鍋を運んできた。
女衆は焚き木を集め火を起こし、大鍋を火の上に乗せた。そしていつもの手順で粥を煮炊き出した。アイルや他の若い人間は、斜面に上りきのこや山菜などを集めた。鍋にはその他には村から持ってきた干し肉が刻まれ入れられた。あり合わせの即席の粥だったが、彼らは昨日から何も食べていなかったので、勢いよく粥をかきこんだ。
「うおーいナマズとってきたぞうい」斜面の下から声が聞こえた。見ると漁師のゲルとその息子のシバが魚かごを下げて道を上ってきた。
【アイル】「もう釣りにいってきたんだ」アイルが聞いた。
「おうよ、城門では兵士に色々文句垂れられちまったがな。まだ外は危険だから出るなってな。」
ナマズはぶつ切りにして煮炊きにされた。薄い塩味の煮汁はナマズの脂がぽつぽつと浮いていて、香ばしい出汁が効いてうまかった。ナマズのやわらかい脂身は胃袋に染み渡った。
ふと気づくと、一人のエルフの小さな少年が指を皿に入れて魚の身をいじっていた。彼は箸がうまく使えないようだった。年の頃は5歳ぐらいだろうか、綿毛のように細い金髪が風にそよそよと揺れていた。
【ネネ】「ちょっと貸して」ネネがそう言うと、彼女は少年の皿を取った。そして箸で身を骨から外すと、少年の口に運んだ。
【ネネ】「おいしい?」彼女は訊いた。少年はうなずいた。
「あんたらあの家で寝るのはまだ危ないから、今夜はテントで寝なさいよ」村長の奥方がそういった。彼らは男女に別れ、四つのテントにすし詰めになって眠った。
やがて日が沈み夜になった。
アイルは疲れて早いうちから天幕に入って寝ていたのだが、夜中に誰かから体を揺すられて起こされた。
彼が体を興すと、テントの入口が開いていた。
彼が外に出ると、中洲で戦った仲間たちが、みな焚き火を囲って集まっていた。
【アリア 】「はあいドアンナ、心臓ちゃん」
【ドアンナ】「え
【アリア】「食べなさい!
【】「
【】「
【】「
【】「
【アイル】「よし、みんな集まったみたいだな
ドアンナ「これだけしかしないの?」
アイル「ああ、だが他の奴らはローゼンハイムに残ったりしてる。はなしはじめていいいか」
ドアンナ「ええ
【】「「首都は混乱状態だ」
【】「「王様は行方が知れず。手の人間が捜索隊を送っている」
【】「手って・・・なんでお前が、そんな事知ってるんdな」
【】「それは、俺は手の人間だからだ、アルスも同じく。というか、そいつは俺の上司なんだ」
【】「ダグラス「それって、アマンダノ監視のために派遣されたって理解でいいのか
【】「アイル「ああ、そのとおりだ続きを話すぞ
【】「女子寮に捉えられた奴らは、学校に移動させられた
【】「学校
【】「ああそうだ。学校だ
【】「なんとか連絡手段を確保したい
【】「俺達にできることが何なのか考えよう
【】「俺たちには力がある。だから責任を果たすべきだ
【】じゃあ今日はこれで解散