仕事⑧投手の調子
投手の調子の良し悪しが分かるバロメーターは沢山ある。しかし、一番分かるのはキャッチャーをおいて他に無い。受けた球が走ってるのか、キレがあるのか無いのか。捕球していれば直ぐに分かる。ただ捕球しているだけではキャッチャーの仕事を果たしているとは言え無い。
投手の調子を見るにはストレートが一番良い。変化球では、調子の良し悪しと言う点については、分かりにくい。やはりここはまっすぐが一番良い。球速、球の重さ、キレ、ノビ等、全てが分かる。その上で、持ち球を一通り投げさせるのが、投手のコンディションを知る上では有効的な手段である。
どの球が良くてどの球が悪いのか。そう言う事を試合前の投球練習で見極める訳である。一流のキャッチャーの条件として外せないのが、打撃や強肩も大事だが、投手の力を最大限に引き出せるキャッチャーと言うのが条件である。その日の投手の力を知ると言う事はその一里塚に過ぎない。キャッチャーとして、構えてはいるが思い通りのコースにビタビタで球が来る事はまずない。
キャッチャーのサインを投手がまとめ上げ総合的に判断する。その積み重ねが出来なければ、スコアボードに0を重ねる事は出来ない。試合前に10球も20球も全力で投げ込む必要は無いが、肩を暖めておくと言うのは、大切な事である。その見極めは投手自身が把握しておかなければならない。それは試合を重ねれば研究し自然と身に付くものではある。
エンジンをかけても直ぐに車が走り出せない様に、投手も一番打者に対する一球目から全力で飛ばして行く為には投球練習で、自分のピークを持って行く必要がある。先発投球の難しい所は、ずっと全力投球をしていると、単調な投球になってしまいがちで、力を込めているのに打たれたりする。そこで抜いた球やかわす球を持っているかいないかで、その投手が長いイニング投げられるかどうかの別れ目となる。
かわす球を得る為には、自分が全力で何イニング持つのかを知る必要がある。それは、キャッチャーも把握しておかなければならない。そうした情報が無ければ、投球のプランを立てる事が出来ない。どんな名捕手でも、実力100Pの投手を110Pにする事は出来ない。その為には中継ぎ、クローザー含めて、最低でも投手の力の9割を出させなければならない。その為にも投手の調子をかなりの精度で知る必要はある。