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仕事⑥声かけ

 タイムをかけて、マウンドにいる投手の所へ行き声をかける。これもキャッチャーの立派な仕事である。守備のタイムはそう何度もかけられるものではないが、その守備のタイムのタイミングはキャッチャーの声かけから始まる。キャッチャー主導でタイムをかけるのはNPBもMLBも同じである。何故ならキャッチャーの声かけだけなら守備のタイムには、カウントされないからである。

 ベテランキャッチャーは、実に上手く投手に声をかける。ミスや四死球でランナーを貯めピンチが広がった時。連打で得点チャンスを作られた時。等は声かけのタイミングである。声かけのタイミングはキャッチャーとベンチが総合して決めるものではない。守備のタイムはベンチが決めるが、キャッチャーの声かけはあくまでキャッチャーが決める。

 投手にとっては、生きるか死ぬか。そんな時のキャッチャーの声かけは、勇気をもらえる。試合の流れを左右しかねない、そう言う時にキャッチャーは投手にほんの少しサインの確認をしに行く。野球選手で華のあるポジションは投手やホームランバッターであるが、そこにばかり目が行きがちになる。だが野球の醍醐味はキャッチャーにある。

 試合を観ていると、素人でもナイスタイミングか絶妙だと思える場面は多数ある。無論、声かけが絶妙なタイミングで行われているのも分かる。だからと言ってタイム後に失点してしまう事もある。それを否定するのは時期尚早である。キャッチャーの要求するタイムはあくまで、サインの確認が主であり、キャッチャーの要求通りの球を投手が投げていれば、最悪のケースは避けられる。全ては結果論であるから、失点はチーム全体のミスである。

 キャッチャーの声かけが、傷口を最小限に抑える事は出来ても、傷口を治す事や無かった事には出来ない。キャッチャーの声かけの目的は何であるかを理解すると供に、キャッチャーが何を感じて声かけをするかと言う事を考えれば、自ずと答えは出て来るのである。

 投手のちょっとした異常に気付く事が第一に出来るのは、球を受けているキャッチャーなのだ。そして、守備のタイムではだらしない、ピリッとしない野手陣に対して一喝を入れる可能性もある。野球は投手と野手だけで成り立っている訳ではない。ベンチ含め、試合に関わるフィールドにいる全てのプレイヤーを監督、コーチの代わりに指揮するのがキャッチャーである。

 扇の要から見渡すその景色は、キャッチャーにしか見えない景色である。とは言え、練習時と違う景色が見えたならば、それはアクシデントや良くない事の現れなのかもしれない。キャッチャーが投手に声かけをする時は、そんな景色を見ている時なのである。野球で守備のタイムを使った直後と言うのは、キーポイントで見どころなのかも知れないだろう。

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