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もし野球で天下を取りたいのなら、良質なキャッチャーを育て上げろ  作者: 佐久間五十六


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イヴァン・ロドリゲス(テキサス・レンジャーズ)

 A.ロッド(アレックス・ロドリゲス)は世界的に有名だが、I.ロッド(イヴァン・ロドリゲス)を知っている野球好きは、コアなファンであると言えるだろう。

 テキサス・レンジャーズは、ダルビッシュ有がメジャーデビューしたチームで、有原航平等日本人メジャーリーガーを輩出しているチームだ。そのレンジャーズに世界中の野球人の手本となるキャッチャーがいた。それがイヴァン・ロドリゲスである。

 ポサーダの様なホームランをかっ飛ばすタイプの打者ではないが、アベレージヒッターであった。また、非凡な守備力で走者をどんどん刺す強肩の持ち主であった。とは言え、打順は常にクリーンアップ(3、4、5番)を張っていた。イヴァンは中距離バッターだったのだ。3割、20ホームラン80打点位の数字をコンスタントに打っていた。

 同じ頃活躍していた野手がアレックス・ロドリゲスであった。アレックスがニューヨーク・ヤンキースに行くまでは、随分と苦い想いをした。イヴァンとアレックスの年は近かったから余計にジェラシーを感じていた。同じロドリゲスなのに、どうしてこんなに違うのか?そんな事をイヴァンは思っていた。

 ホームランを量産しているアレックス。試合を決定付ける華々しいスター級のヒット。球界の宝とそのお膳立てをする脇役のイヴァン。やるせない日々であった。イヴァンとアレックスを比較する事の無意味さを知るには、やはり時間が必要であった。

 イヴァンの評価が上がったのは、アレックスがニューヨーク・ヤンキースに移籍してからであった。看板選手を失ったテキサス・レンジャーズは、低迷する。そこで中核選手と成ったのがイヴァンであった。チームの一人一人が一丸となりアレックスの穴を埋める。華々しい奴もそうでない奴も。それを比較する事の無意味さを、イヴァンは知っていた。チームを浮上させる唯一無二の方法なのである。

 こうしてテキサス・レンジャーズは、ワールドチャンピオンに成りました。と言う訳には行かずサクセスストーリーにはならないのが現実であり、イヴァン・ロドリゲスがスター級の活躍をするキャッチャーであった事は事実であった。ポサーダには華があったが、このイヴァン・ロドリゲスは、華が無かった。それは彼の努力不足のせいではない。

 スター性と言うものは、持っている能力と人間性で決まる天武の才能である。センスや度胸と同じ様なものである。だから、持っていないものを、持っていると思うのでは無く、持っているもので何をどうするか考え無ければいけないのである。

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