ポイント④打球処理
キャッチャーも大前提として野手である。フェアゾーンに打球が転がれば、それがキャッチャーの守備範囲ならば、その打球を処理する能力が必要になる。バントやボテボテのゴロをメインに、軽快に打球処理をしなければならない。
名捕手と呼ばれる人間は皆、身のこなしが軽快で、打球処理が美しい位に上手い。もっと言えば、無駄な動きが無い。動きに無駄を作らないと言うのは全選手に言える事だが、野球人として必要なスキルである。良い投手の球は打者にファウルをよく打たせると言う。ファウルが多ければファウルフライになる確率も上がる。その時もキャッチャーの出番である。
ファウルフライは簡単にみえるかもしれないが、屋内球場の時はまだしも、屋外球場の時は風が吹いたり、雨がふったりと野手の悩みの種である。とにかく、敵方のプレイヤー以外にも天気と言う敵がいるのが野球と言うスポーツなのである。これだけ仕事があって、まだ仕事があるのかと思われるかもしれないが、とにかくキャッチャーに休んでいる暇は無い。と言っても過言ではない。
打球処理能力を身に付けるなら、ノックをひたすら受けるしかない。内野手専用・外野手専用のノックがあるのに、キャッチャー専用のノックがないのはおかしい。ファウルギリギリで際どい打球は捕球しないと言う鉄則があるが、それはキャッチャーも同じである。ファウルになってしまう球を捕球し、フィルダースチョイスになるよりも、ファウルを見極めて安打で出られるのでは、精神的ダメージが全く違う。ファウルギリギリを見極められず敵方に流れが行くのは確実であり、得点になるチャンスを与えてしまう。
ファウルの打球処理一つを取ってもこれだけの事が書けるのだ。最も、キャッチャーは内野手の様な鋭い打球を処理する事は無いし、外野手の様に滞空時間の長いフライを処理する事も無い。キャッチャーと言うポジションがそうなってしまう理由なのだが、とにかく落ち着いて目の前の球をファーストに送る。それが余裕で出来るのが名捕手である。勿論、エラーもしない。打球処理でまごついていると、リードにまで影響するのは否めない。だから打球処理は正確にやる必要がある。
有り難い事に、キャッチャーはレガースとマスクを着けている。マスクを素早く外し打球処理をする。それがスムーズに出来なければ、首脳陣にアピールをする事は不可なり。守備力は地味だしやって当たり前のスキルであるが、リード以外にも目立つ事と言えば守備機会位のものだ。地味に見られがちなキャッチャーは数少ない守備機会を確実に、こなすしかないのである。キャッチャーは、チームの一員であっても、レフェリーの手助けをしている訳でも無いのである。キャッチャーにとってレフェリーは、バッターに次ぐ敵方に成る時もあれば味方になる時もある、天の邪鬼的な存在である。




