ポイント③捕球
読んで字の如くキャッチャーは投手の球を捕球するポジションである。当然の様にどんな球を投げてくる投手に対してでも、平気な顔をして捕球する技術力がなければならない。
この技術は打撃や守備よりは簡単でひたすらブルペンに入り投手の球を捕球する事で、技術を磨く事は出来る。しかし、どんな捕手でも捕れない時(野球用語ではパスボールと言う)又は投手のワイルドピッチは出る。それが試合の勝負を決める様な場面ででないかを、祈るしかないのだが、サイン交換のミスあるいは投げる投手のコントロールミスと言うものは、人間同士のやることなので、防ぐ事は難しい。
とにかくキャッチャーとして当たり前の様に求められる捕球と言う技術にも、上手い下手と言うものは存在する。捕球の上手いキャッチャーは、ボール球でもストライクに見せる事が出来る。逆に捕球の下手なキャッチャーは、ストライクゾーンで捕ってもボール判定されてしまう。とは言え、そうした細かいキャッチングの技術は、まずきちんと投手の球を捕球出来る様になってからでも遅くはない。
早い遅いと言うよりも、順序の問題と言う方が正しいかもしれない。名捕手と言うのは、投手の力を最大限引き出せるプレイヤーでなければならない。捕球はその基本である。良いキャッチャーはとにかく投手の事やバッターボックスにいる打者の事を良く見ている。名捕手もその観察力は必要なスキルである。
野球は投げて、捕って、打って、走る。この繰り返しである。これが野球の基本動作である。捕球は基本動作の一つに入るのである。当たり前の様に思われるかもしれないが、プロの世界で活躍するキャッチャーでも、少年時代の野球を始めたばかりの頃は、それこそ投手の球に四苦八苦していた筈である。そこから中学生、高校生とステージを上げるに連れて、何十球、何百球、何千球、何万球と、捕球することで自然と磨かれて来たものがその人間のキャッチングセンスとして形成されるのである。
どんな捕手でも、初見で140㎞オーバーの速球はとれない。キレキレの変化球もボール球も様々な球種、球質を読めるからこそ、キャッチングセンスで捕れる訳である。キャッチングセンスは基本的に捕った球の数と、捕った投手の人数だけ伸ばす事が出来る。だから、球を捕球するだけなら正捕手よりも、ブルペンキャッチャーの方が恐らく上手い筈である。捕球だけに専念するブルペンキャッチャーの方が捕球回数のパイが異なるからである。だからどうしたと言う事ではないが、名捕手に成りたいならば、捕球の上手いキャッチングセンスのある選手に成る事である。その先にしか一流キャッチャーの道は開けていない。




