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第4話 優勝賞品

コロッセオに再び明かりが戻る。


「まずは本日のゲームですが、いつもと異なる点がありますので詳しく説明していきます。すでにお気づきのプレイヤーもいらっしゃるかもしれませんが、本日は通常ゲームのように100チーム、計400人でのプレイではなく、記念大会ということでいつもより多い250チーム、計1000人でのプレイとなります!」


アリサがゲームについての説明を始める。


「遂に四桁プレイヤー達成!」

「千人の次は一万人を目指しましょう!」

「これでゲームの中身がさらに濃くなるぞ!」


観客席からは様々な歓声が上がる。


「参加プレイヤーの数が増えたので、試合時間も通常の一時間から三時間へと変更になります」


「おれは二十四時間、ぶっ通しで出来るぜ!」

「そこは三時間と言わず、何時間でも構わないから!」

「『ダブルオーヘヴン』のゲーム時間が長くなるのは大歓迎!」


「プレイヤーが千人で時間が三時間ということはかなりやり甲斐があるわね! 今日は百人単位で敵を倒してやるから!」


中にはさっそく物騒な感想を漏らしている少女もいる。アリスは『私は隣の暴力少女とは無関係ですよ』という顔をした。


「さらに今回の大会ではゲーム内でちょっとしたイベントも用意してありますので、そちらもお楽しみにしていてください。では次にサプライズ発表をしたいと思います。今回の大会で優勝したチームには今までにない特別な優勝賞品を用意してあります!」


含みを持たせた言い方で観客を煽るアリサ。


「えーっ、なーに?」

「『ダブルオーヘヴン』十年間無料パスとか?」

「ぼくはアリサちゃんとデート出来る権利が欲しい!」


簡単にアリサの言葉にのせられる観客たち。


「実はこの夏から『ダブルオーヘヴン』のCMにある有名人を起用することが決定しました! その有名人というのはゲーム好きアイドルとして人気の『天空翼(あまぞらつばさ)』ちゃんでーす! そして今回の大会優勝チームには天空翼ちゃんと一緒に『ダブルオーヘヴン』をプレイ出来る権利が優勝賞品として送られまーす!」


アリサのサプライズ発表に観客席から今日一番の大きな歓声が沸き起こった。つづけて『ツ、バ、サ! ツ、バ、サ!』という翼コールがプレイヤーの間から自然と発生する。


「えーと『天空翼』って、そんなに人気があるのか?」


勉強以外の時間はゲームばかりしているアリスは芸能情報にひどく疎かった。もちろん『天空翼』という名前ぐらいはネット上で見たことがあるにはあるが、どれほどの人気者なのかはまったく知らなかった。


「子役時代からずっと活躍している、今大人気のアイドルだよ」


サクラの隣に座るマモルが教えてくれた。


「マモルも知っているんだ!」


「オレもそこまで詳しく知っているわけじゃないけどな。サクラの憧れの人でもあるから知っているだけさ」


「へえー、そうだったんだ」


サクラはそういう事情には無頓着に見えたので、少しばかり意外に思えた。


「ツバサちゃんは本当にゲーム好きなのが画面を通しても分かるから、そういうところがわたしは好きなの」


サクラがアリスの方にわざわざ顔を向けて教えてくれる。


「ニケはこのアイドルのこと知ってた?」


「あたし、自分のこと以外は基本的にあまり興味ないから」


実にニケらしい、けんもほろろの解答である。


「はいはい、聞いたおれが愚かでした」


アリスは闘技場の方に顔を戻した。


「以上でゲーム前のお知らせは終わりとさせていただきます。それではいよいよ記念大会に移りたいと思います。皆さーん、準備は出来ていますか?」


「大丈夫でーす!」

「絶対優勝して、ツバサちゃんとゲームするぞ!」

「『ダブルオーヘヴン』、早く始めたーい!」


観客のボルテージが一気に上がっていく。


「みんな、ここからが本番だからね!」


ニケの声にも心なしかいつもとは異なり若干の緊張感が混じっているように聞こえた。



なんだかんだ言っても、ニケも普通の心を持っているっていうことだよな。



そんな当たり前のことを考えながらアリスもゲーム開始を待つ。


「それではただ今より『ダブルオーヘヴン』運用開始一周年を祝う記念大会の開始となります!」


アリサが闘技場から退場する。


同時にコロッセオ内が眩いばかりの光に包まれていく。観客席にいた数多くのプレイヤーたちの姿は、光の輪に入った瞬間にパッと消える。


それぞれのチームごとに、この場から試合会場へと転送されていくのだ。



いよいよ『ダブルオーヘヴン』が始まった――。

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