序章
西暦2030年4月9日。明光第一高等学校の入学式。現在の時刻は08:00。
俺、上月拓也は制服に着替えていた。今日から俺は高校生。そしては、俺はこの日、心に決めたことが一つあった。それは、充実した高校生ライフを送ることだ。
俺は昨日まで名探偵として、あらゆる難事件を解決してきた。このような実績もあり、俺は世界最高の名探偵になっていた。しかも、「明魔」と言うあだ名までついてしまっている。しかし、今まで俺は自分のことを世に明かしてはいなかった。だから、俺のことを世界最高の名探偵だと知ってる人は俺の助手以外いない。
一方で、この世にはもう一人「世界最高の」が付く者がいる。それは「世界最高の暗殺者」だ。性別は男性だと分かっているが、他の情報は全く公表されていない。勿論、年齢や名前もだ。また、彼にも俺と似たようなあだ名がある。それは「暗魔」だ。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
俺は制服に着替え終えると、バッグを持って学校へと向かった。学校に着くと、クラス分けの表が貼られていた。そして、俺は自分の名前を探し始めた。
えっと...合った。1年3組か。
俺は自分の名前を見つけ、1年3組の教室へと向かった。
教室の中に入り自分の席に座ると、後ろには中学時代からの友達の小谷誠一がいた。
「よう!誠一」
「おー、拓也!」
なんか何年振りかに会った友人みたいな感じの挨拶になった。
「誠一は春休み、何してた?」
「俺はずっとゲームしてたな」
「そうなのか。俺はずっと本を読んでた」
「どんな本?また推理小説?」
「そうだよ。だって面白いじゃん!(笑)」
実を言うと、俺は春休みの間も難事件を解決していた。俺は口が裂けても、自分が世界最高の名探偵だなんて知られたく無かった。それは・・・だからだ。
このあとも俺と誠一は楽しそうに春休みのことについて語り合っていた。そして08:30になり、学校のチャイムが鳴ると同時に俺たちの担任の女性の先生が入ってきた。
「こんにちは、皆さん。今年1年間1年3組の担任になりました上田です。宜しくね」
「宜しくお願いします」
皆んな一斉に元気良く挨拶をした。
「それでは、入学式の前にみんなで自己紹介をしましょう。一人一人、その場で立ってお願いね」
先生の提案によって入学式初日の定番の自己紹介が始まった。そして俺の番が回ってきた。
「上月拓也です。趣味は推理小説を読むことです。部活は野球部に入ろうと思ってます。1年間宜しくお願いします」
パチパチ、パチパチ
全員の自己紹介が終わると入学式の為に体育館へと向かった。そして入学式を終え、配布物を貰い今日は解散となった。
「おーい、誠一、帰りにファミレス行かない??」
「良いね。女子も誘おうぜ」
「オッケー。じゃあ、任せるわ」
「了解。正門で待ってて」
誠一は中学の時からノリが良かった。そして、普通にモテてた。俺は誠一に言われた通り、正門で待っていた。
暫くすると、誠一が女子二人を連れてやってきた。
「どうも、上月です」
「高田です」
「佐々木です」
俺は二人の女子に挨拶をし、俺たち四人はファミレスへと向かった。
ファミレスで俺たちは色々なことを話した。例えば、中学時代の話とかだ。みんな色々な中学時代を送っていて、面白かった。そして、最後には女子二人のRineも交換することができた。
「ただいま」
「お帰り」
俺は家に着くと、二階へと上がり、自分の部屋に入った。俺はバッグを机の横に掛け、ベランダにあるポストを確認した。そのポストには俺宛への依頼の手紙などを俺の助手がいつも入れてくれてる。しかし、今回は依頼の手紙では無かった。俺はその一通の手紙を手に取り中身を見ると次のように書いてあった。
世界最高の名探偵「明魔」よ、我、世界最高の暗殺者「暗魔」とゲームをしようではないか!?ルールは簡単だ。今日から3年間、先に殺した方が勝ちだ。以上。
何だ、これは?イタズラか?全く困ったもんだ。
俺はイタズラの手紙かと思ったが、あることに気付いた。
こ、このハンコは世界最高の暗殺者が使う専用のハンコではないか!?つまり、これは俺に対しての宣戦布告か??
俺はこのハンコを見た時は自分の目を疑った。しかし、そのハンコは本物だった。
それにしても、何故悪人ばかりを暗殺する善人の暗殺者が俺を殺そうとする?謎だ。
だが、俺はここで死にたくは無いから彼の宣戦布告を受けることにした。
今この瞬間、俺と暗魔の殺し合いは始まったのだ。そして、俺の高校生活は瞬く間に一変した。