第1章〜初めての戦闘訓練〜#7
今日も元気よく学園に向かう3人。今日は戦闘訓練の授業がある、翔は早く訓練をしたくて身体がうずうずしていた。
「マスター、そういえば私達の能力についてまだ話していませんでしたね」
セツナはクールな顔を維持し、メイド特有の歩き方をしている。
「そういえば、話してなかったね、どんな能力なの?」
「まずは私セツナの能力からお話しますね」
そう言い彼女は人差し指を立てる、すると人差し指から氷の粒が浮遊しながら現れた。
「私の能力は氷の魔法です、様々な形状へ変化することできます」
セツナは氷の形状を剣や銃へと変化させる。
「それじゃあ次はヒカリの番!マスター!怪我した方の手出して!」
ヒカリがそう言うので俺は手を出す。そこには先日セツナとヒカリを登録する時に怪我をした手を出す。ヒカリは翔の手を置く、ヒカリの手から暖かい光が溢れてくる、しばらくすると光は弱まっていった。
「はい!絆創膏剥がしてみて!」
翔は絆創膏を剥がす、すると怪我が綺麗さっぱり消えていた。
「あれ、怪我した所が無くなってる・・・」
「えへへ!これが私の能力!光魔法って言うんだ!」
ヒカリはニコニコしながら翔に自分の能力を見せた。
「光魔法は相手を目くらましにさせたり怪我の治癒をしたり光の魔法を放つことが出来る能力です、ただし治療に関しては両腕切断や死人、ウイルス感染は治すことが出来ないので注意してください」
補足説明をするセツナ。
ふむ、戦闘時はセツナがメインでヒカリはサポートがいいな、炎系統のドールズには氷は相性が悪いからその時はメインをヒカリに変えるようにしよう。
今日の戦闘訓練に備え、2人の情報をもとに対策を立てる
3人は学園に到着し、通常授業を受けたあと待ちに待った戦闘訓練の授業が始まる。生徒達は体操服に着替え、グラウンドに集合する。
グラウンドへ集合すると女性の先生が立っているのが見える、生徒たちに向かって「私の周りに皆集まってください」と大きな声で叫ぶ、生徒たちは先生の指示に従い周りに集まる。
「今日から皆の戦闘訓練を担当する『君島』です!そして隣にいるのは私の相棒の・・・」
君島先生は隣にいる青髪のドールズを生徒たちに注目させるように指を軽く揃えて、手の平をドールズに向け指し示す。
「ノワールです、よろしくお願いします」
軽く挨拶をするノワール、緊張してるのか少しだけ動きがぎこちなかった。
「まず、皆に配らなきゃいけないものがあるの」
そう言うと先生は、小さな箱を生徒たち全員に配る。配り終わった事を確認すると「全員開けていいよ」という指示があったので生徒たちはその箱を開け中身を見る。
「指輪?」「綺麗・・・」「ただの指輪じゃないのか?」といった声が周りから聞こえる。
「これって、先生が付けてたものと同じやつじゃ・・・?」
翔は先生が付けていた指輪のことを思い出す。
「皆に配った指輪は『戦闘用リング』といって、ドールズ同士の戦いを行うと周りの被害が出るからそれを防ぐために造られた指輪よ」
「先生!でもこれってどう使ったら良いんですか?」
生徒の1人が質問する。
「それじゃあ今から教えるから、さっきの子私の前に出てきて」
質問をした生徒と生徒のドールズが先生の前に出る。
「まず、どちらか一方の指輪を使ってもらうわ、物は試しと言うし、まずは指輪を付けてちょうだい」
生徒は指輪を付ける。
「指輪が付いてる手を出して一言!『開門』って言ってみて」
生徒は不思議に思いながら先生の言った通り「開門」と言った。すると先生と生徒の周りからモヤがかかり、瞬く間に二人は消えた。
「え?」「どこ行ったの?」「さっきまであそこにいたよな?」と周りは慌てていた。
しばらくすると、先程消えた位置に2人が突然現れる、周りは驚いたようにガヤガヤと騒ぎ立てる。
「こんな感じで『開門』って言うと指輪の力で存在しない仮想空間へ行くことが出来るの、周りの被害は一切出ないし、『開門』と言った人が『閉門』って言うか、戦闘不能の状態にならない限りはその仮想空間から抜け出すことが出来ないようになっているわ」
君島先生は事細かに説明してくれた。
「今日の訓練は、ペアを作って貰って、仮想空間で軽い模擬戦を行ってもらうわ、ルールは簡単、相手の体の一部に触れたら勝ち!」
君島先生はそう指示すると生徒たちはペアを作り始める・・・
「全員ペア組めたかな?」
「あの、すいません」
1人だけペアを組めなかった生徒が手を挙げる。
「あらら、人数足りなかったか、じゃあ君は先生とやろうか」
「マスター、いい判断です」
小声で翔に話すセツナ、翔は「え?」と困惑した顔でセツナを見る。
「素人と訓練を行ったって意味がない、それなら戦闘経験が豊富な先生と訓練をした方が良いって事ですよね!、流石私のマスターです」
セツナは感服の眼差しを俺に向ける・・・言えない、コミュ障でペアを組もうって言えなかったなんて・・・口が裂けても言えない。
翔は言いそうになった言葉を飲み込む。
「それじゃあ皆!怪我だけはしない!させない!ようにしてね!」
先生の言葉を最後に生徒たちは『開門』と言い、モヤの中へと消えていく。
「さて、私達も行きましょうか」
先生がそう言うと俺は右手に指輪を付け、『開門』と一言放つ、モヤが俺と君島先生の周りに現れる、その瞬間身体が重くなるような感じが一瞬だけ起こる。