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第1章〜俺の相棒〜#6

 中から現れたのは、銀髪で白くきめ細やかな肌にメイドの服を纏った子と、髪の色が太陽のように明るい金髪で可愛らしい見た目とは別に、胸を強調した服を着ており、翔は思わず凝視してしまうが首を横に振り邪念を払う。二体とも「すぅ・・・・すぅ・・・」と息を漏らして眠っていた。


 

 最初に目覚めたのは、銀髪のドールズだった、カプセルから出ると先ほどまで人形のサイズだったがみるみるうちに人間と同じ大きさまで成長した。


「マスター!」


 彼女はいきなり翔めがけて突っ込んできた、慌てた翔はドールズを受け止める。


「あぁ・・・私のマスター・・・お会いしたかったです・・・」


 翔の胸に顔を押し付けるドールズ、「はっ!」と我に返ったのか翔から離れる。


「お見苦しい姿をお見せしてしまい申し訳ありません」


 ドールズはスカートを軽くはたき、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足を軽く曲げ、両手でスカートの袖部分を軽く持ち上げお辞儀をする、その姿はベテランのメイドを連想するような完璧な動作だった。


「私は『セツナ』と申しますマスターに仕えるべくして形成された、戦闘用ドールズです」


 セツナはそう言うと後ろを振り返り、金髪のドールズが入っているカプセルへと近づく


「ほら!あなたも起きなさい」


 彼女は金髪のドールズの頬を「ぺちぺち」と軽く叩く、「うんん・・・・」と目をごしごしとさせカプセルから出てくる、彼女もみるみるうちに人間のサイズまで成長する。


「うーん・・・もう少し寝たいよ~」


「こら、マスターの前であくびしないの」


「ますたぁ?」と寝ぼけた表情で翔を見る金髪のドールズ、やがて眠気が覚めた頃急にハイテンションで翔の手を掴んで「ブンブン」と振り回す。


「マスター!あいたかったよー!私『ヒカリ!』よろしくね!」


 ヒカリはとても元気なドールズだった、しかし・・・・それにしても大きい、俺はヒカリの大きな胸元を二度、三度ちらちらと見てしまう、それに気づいたのかセツナがヒカリを自分の後ろにやって隠す。

 ちなみにセツナの胸はヒカリほどない・・・


「改めまして『セツナ』と『ヒカリ』です、不束者ふつつかものでございますが、今後ともよろしくお願いいたします」 「よろしくね!ますたー!」


「う、うん、よろしく二人とも」


 これがセツナとヒカリの最初の出会いであった。


 エミと父が帰ってきたので、俺は二人にセツナとヒカリを紹介した。


「お父様、マスターのドールズ、セツナと申します」


 セツナは父にお辞儀をする。


「私!ヒカリ!パパさん!エミちゃん!よろしくね!」


 ヒカリは二人の手を握ってブンブン振り回す、その衝撃で大きな胸が揺れる、その光景に父はあたふたする、まぁそれも当然だ、隣に座っているセツナは自分の胸に手を当て小さくため息をついていた。


「聞きたいことが山ほどある・・・だがその前に翔・・・お前大丈夫なのか?」


 本来、ドールズは二体以上登録することはおすすめしていない、なぜなら通常のドールズでも一体使うだけで体力が消耗されるのに対し、戦闘用のドールズ一体使うのに通常の三倍は体力を使う、戦闘用ドールズ二体を使うのは、自身の体への負担が大きくなるからだ。

 父はその心配をしている。



「うん・・・今のところは何も問題はないよ」


「そうか・・・」


 父は安心したような顔を見せる


「大丈夫ですよお父様」


 セツナは父に「私たちのマスターは特別ですから!」と鼻を高くする、それに便乗してヒカリは「そうそう!!」と相槌あいづちを打つ。


「いずれにしろ何か体に少しでも違和感があれば言うんだぞ」


「分かった」


 その後新しく家族が増えたので、いつもの倍は料理を作る父。その姿を見てかセツナは父の代度悪露の方へ行く、数十分後全員の分のご飯が運ばれた、もっと時間がかかるはずなのだが、セツナが料理作りを手伝ってくれたらしい、流石メイド服を着ているだけはある。


 そして夜、俺はセツナとヒカリを地面に寝かせるのはあんまりだと思い二人を自分のベットで寝るように言うが、「マスターを地面で寝かせるのはNGです!」とセツナに言われた。

 流石に三人で寝るのもベットの広さ的にギリギリだ、「俺はいいよ」というが二人は聞いてくれないので仕方なく三人同じベットで寝ることにする。

 左端がセツナ、右端がヒカリで真ん中に翔という順番になった、翔が右に寝返りを打つとセツナの綺麗な寝顔が目の前にあり、左に寝返りを打つとヒカリの顔と大きな谷間が見えてしまって、ドキドキで眠れないでいた。

 必死に目をつぶって眠ろうとするが、翔の腕が柔らかいものへと引きずり込まれますます心臓がバクバクし、その日は一睡もできなかったので、その日の朝父にもっと大きなベットが欲しいと言った、二人は残念そうな顔をしていたがそうしなければ俺は眠れなくなってしまう。









 いよいよ入学式だ、翔はいつも起きる時間よりも早く起きて学校へ行く支度をする、ヒカリは「にへへ・・・」とよだれを垂らしながら、まだ眠っていた。セツナはもう起き上がっており、ベットにはいなかった。

 翔はヒカリを起こさず階段を降りダイニングへ向かう


「あ!おはようございますマスター!」


 ちょうどセツナが食事を運んでいた、翔は「おはよう」と返した。


「マスター、ヒカリはどうしました?」


「あぁ、気持ちよさそうに寝てたもんで、眠ったままだよ」


「あの子ってば」そう言うとセツナはヒカリを起こしに俺の部屋に行く、しばらくすると、セツナとヒカリはダイニングにきた、ヒカリは眠たそうにしていた、朝が苦手なようだ。

全員揃い朝食をとる、ヒカリはまだ寝ぼけていたが朝食をとると元の元気なヒカリに戻っていた。


 俺は食事を終え、セツナとヒカリと一緒に学校へ行くため玄関に向かう。


「行ってらっしゃい」


 父は笑顔で見送る、「行ってきます」と翔は元気よく返事をして三人で『ドールズ学園』へ向かう。


 学校へ着くなりこそこそと話し声がする。


「あの人二体もドールズ持ってるの?」「え?」「ドールズ二体って大丈夫なのか?」「そもそも何で二体もドールズ持ってんだよ」「あれってメイド?それともドールズ?」と言った声がひそひそと聞こえる。


「目立ってるなぁ・・・」


「当然です、マスターは特別であり、 神のような存在ですから」


 セツナはクールな顔で言う、その歩き方や動作の一つ一つが綺麗で見惚れる者や「私もあんな風に・・・」とその姿にあこがれるドールズもいた。

 ヒカリは普通に歩いているだけなのに男たちはヒカリの揺れる胸元に釘付けになっていた、ヒカリを見ていた男たちに気付いたのか、彼女は笑顔で手を振っていた、男たちはその笑顔を見て恥ずかしかったのか顔をうつむく。


「俺じゃなくて、セツナとヒカリが目立ってるんじゃ・・・」


「そんなことはありませんよ、マスターが神々しいために皆マスターの姿を目に焼き付けるために目立ってるのですよ」


「うーん、でも私たちも少しは目立ってると思うよ?」


 ヒカリは笑顔で答える。


少し・・・か・・・?と俺は口には出さず心の中で思う──


──「それではこれより入学式を執り行います」


 俺たち生徒とドールズは体育館で入学式が行われた、壇上には校長先生とヒエンが立っていた、校長は机の前に立つが背が低いためピョンピョンと飛んでいた、ヒエンはそれに気づいて校長を持ってきた椅子の上に乗せて立たせる。


「さて!皆さんおはようございます、校長の藤宮です」


 その後校長先生の数分間スピーチを行う。


「それではこれより生徒代表を前に出てもらい、宣誓書を読んでもらいます、今年は満点者が1人いるのでその人に宣誓書を読んでもらいたいと思います」


「絶対にマスターですよ」


 セツナは小声で俺の耳元で呟く。


「いやいや、俺じゃないよ」


 翔はそう答える。


「それでは、天斗 翔さんは登壇をお願いします」


 校長先生は俺の名前を呼んだ・・・俺満点取ったの!?と目をぱちぱちと見開く翔、「流石ですマスター」「マスター頭いい!」と小声で呟くセツナとヒカリ


 俺は足をカクカクとさせながら登壇する、机の上には宣誓書が置かれていた。


「天斗様・・・緊張なさらずいつも通りで構いませんので・・・」


 小さな声で翔に言うヒエン、それでも翔は心臓が口から出そうなくらいバクバクと言っていて、ヒエンの言葉が頭に入ってこなかった。


 翔は1度深呼吸をして宣誓書の通りに読む。


「宣誓、我々生徒一同は、この学園を通し、様々な知識や訓練を身につけ、人々の助けになる事をここに宣言する。」


 俺は宣誓書を読みあげると生徒全員が拍手をする。


「ありがとうございます、それでは自分の席へお戻りください」


 翔は少し早足になりながら自分の元いた席へ戻る。


「さすがマスター、とてもかっこよかったです」

「ほんと!良かったよ〜」と2人は言ってくれた。


「ありがとう2人とも」


 入学早々こんなに目立つことをして良かったのか、と翔は思うが、案外目立つのも悪くないかもしれない。







 入学式が終わり、明日の予定を聞かされ家へと帰る。


「マスター!あれってなに?」


 家に帰る途中、ヒカリが指をさした方を見る、看板にはクレープと書かれていた。


「クレープ屋だね」


「くれーぷ?」


「うん、小麦粉を薄く焼いてその上にクリームとかフルーツとかを乗せて食べるスイーツだよ」


 ヒカリはとても物欲しそうな目で見ていた。


「ちょっとまってて」翔はそう言い2人を待たせる、しばらくすると3つ別々の種類のクレープを持っていた。


「この3つで好きな物選んで」


「いいの?!」


 ヒカリは嬉しそうに言う、ヒカリはバナナが乗ったクレープを取った。


「はい、セツナもどっちがいい?」


「い、いえ、私はいいですよ、マスターが食べてください」


 セツナはそう言うがクレープに釘付けになっているのがバレバレなくらいクレープをチラチラと見ていた。


「こんなに食べたら夕ご飯食べられなくなるよ、ね?セツナも一緒に食べよ?」


「そ、それなら」、セツナはいちごが乗ったクレープを選ぶ。


「じゃあ俺はこのメロンが乗ったクレープを頂こう」


 3人近くのベンチへ座り「いただきます」と言ってクレープを食べる。


「!!甘くてモチモチで美味しい!」


「・・・本当・・・とっても美味しいわ」


 ヒカリはガツガツとセツナはモクモクと美味しそうにクレープを食べる。

ヒカリは生クリームが鼻に付いていた。


「ほらヒカリ、鼻にくりーむが付いてますよ」


 セツナはそう言うとポケットからハンカチを取りだしヒカリの鼻に付いたクリームを拭き取る。


「ありがとう!」


・・・・こうしてみると2人は姉妹のような感じだなと俺は思った。


「セツナちゃんのクレープ一口食べてみてもいい?」


 ヒカリはセツナのクレープも美味しそうだったのか一口食べたいと要求する。


「いいですよ、その代わりあなたのも1口貰うわね」


 そう言い2人は一口お互いのクレープを食べる。


「このばななも美味しいわね」「いちごの甘酸っぱさがくりーむに合って美味しい!」とお互い大絶賛だった。


 そろそろ俺も食べるか、と久しぶりのクレープを頂く・・・・・うん!やっぱりクレープは美味しいな!メロンとの相性もバツグンで美味しい!。


 翔はもぐもぐとクレープを口に運ぶ。


「あの、マスター、良ければ私のクレープとマスターのクレープを一口食べ合いっこしませんか?」


 セツナは少し顔を赤らめて翔に言う。


「あ!私も私も!そのめろんっての食べてみたい!」


 ヒカリは興味津々に翔のクレープを見ていた。


「うん良いよ、俺もセツナとヒカリのクレープ食べてみたかったし!」


 俺はそう言い、3人で一口ずつ食べ合いっこをした。この時考えてなかったがよくよく思えばこれ関節キスになったなと、夜眠る時考えてしまい、その日眠た時間が遅くなり、セツナが起こしに来てくれなければ危うく寝坊するところだった。










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