第1章〜俺の相棒〜#5
翌朝、翔は黒いコートを被った奴の情報収集の為、中学校へ向かう。なぜうちの学校でこんな事件が起こったのか・・・・なぜこれが事件やニュースにならないのか、それを確かめるために翔は学校へ向かうことにした。
「おや、翔君こんにちは」
「先生・・・おはようございますですよ・・・」
翔が学校に着くと校門前には少し天然っぽい女の先生が立っていた。
「あぁ、そうだったね、それで今日はどうしたの?」
先生の質問に翔は答える。
「この学校でドールズが破壊される事件が起きてるって聞いてたんですけど、先生何か知りませんか?」
「あー、確か校長先生のドールズが壊されたってのは聞いたよ、その話は校長先生なら知ってると思うよ」
「ありがとうございます」
翔は先生にお礼を言って校長室に向かう、校長先生はこの時間は校長室にいるはずだ、翔は校長室へ向かった。
──「・・・確かに私のドールズは黒コートの奴に破壊されてしまったよ」
校長は椅子にもたれながら話す。
「その相手はどんな感じでしたか?特徴や顔は分かりますか?」
「うーん、あの時は暗がりだったから良く見えなかったからな・・・顔はコートで見えなかったな」
「・・・・そうですか・・・」
「すまないね、力になれなくて」
「いえ、校長も今大変な時に・・・」
校長は悲しい顔を見せる。
「いつもは隣にいたはずの私の親友がいなくなったが、後ろを見ても何も解決はしない、君ももし同じことが起こったら前を向いて次にどうすべきかを考えなさい。」
校長は、なんだかぎこちない笑顔を翔に向けた、その後も情報は一切無く、翔は渋々と家に帰った。
「おかえり翔、今日はどこに行ってたんだ?」
家に帰ると父が夕食を作っていた。
「うん、久しぶりに学校に顔出しに行ったよ」
父には心配させたくないので事件の事は言わないように慎重に言葉を選ぶ。
「そうか、今日はハンバーグだぞ、二階にエミが寝てると思うから起こしてきてくれ」
俺はエミを起こしに行き、三人で夕ご飯を食べた。
数日後、翔のもとにある箱と手紙が届いた。
手紙の内容には『ドールズカプセル』についての取扱説明書であった。
「ようやく俺もドールズが持てる・・・!」
さっそく翔は箱を開けて中身を確認する、中には卵状で大きいカプセルがあった、しかし驚いたことに一つしか支給されないはずのカプセルが二つ支給されていた。
「え?どういう・・・え?」
なぜカプセルが二つ支給されたんだ?誤発注・・・だよな・・・
翔はすぐさま携帯を取り出し学校に電話をしようとしたが、途中で止まってしまう。
「・・・・二つか・・・」
翔は欲が出たのか、携帯を机に置き、二つのカプセルを並べ、取扱説明書を読む、手紙にはこう書かれていた。
・ドールズカプセル取り扱い説明・
注意※戦闘用ドールズですので民間人や罪のない人間を危険に合わせることは決して行わないように。
説明・カプセルの下にあるボタンを押し込んでください、小さな針がついてますので血液登録を行うことができます、ご自分の血液でご登録をお願いします・
・血液の採取後ドールズの形成が行われます、数十分の待ち時間の後形成が完了致します・
その後は注意事項や詳細についての説明だったのでめんどくさくなった翔は読むのをいったん保留にする。
「・・・・まぁ、誤発注で送られてきたんだし、何か言われたら謝ればいい・・・よね?」
そう自分に言い聞かせ、説明書の通りに行う。カプセルが二つあるので両手の親指をボタンのところに置き、力を入れて同時に押す。親指からは血がにじんで流れてきた。すぐに絆創膏を両手の親指に付ける。
「あとは数十分待機か・・・」
その時間のうちに説明書の注意事項を読む、するとある項目が翔の目に止まった。
「・・・・・戦闘用ドールズは身体への負担が大きいので、くれぐれも二体登録は注意・・・・」
やっば・・・・俺やっちゃったかも・・・・
翔は急いで説明書を読む、どこかにドールズの登録を解除する方法がないか説明書を読む。
二度、三度、四度確認したがその項目はなかった。
「うおおおおおおお!どどどどどうしたらいいんだ!」
頭を抱えながら焦る翔。
「もしかしたら俺・・・今日が命日かも・・・・」
ブラックになる翔のことはお構いなしに「登録が完了しました、これよりドールズを形成します」というアナウンスが流れる。
カプセルが光りだす、数秒後光が弱まりカプセルが開く・・・・・・・