1 スーパースター 8
@ 社長室 盗聴器
「774びる」
「え、ナナシビル??」
「どうしたんですか、ナンシーさん?」
「ん、私、時々聞こえるんだよ。声が。」
「こ、こえ?幻聴ですか?」
「774びる。ぶーぶー。だだだだだ」
「また、ナナシビルって。あと、ブーブー、ダダダダ…よくわかんない」
「あの、ナンシーさん、寝たほうが…」
「774ビル?あの、バカデカいだけで何も入ってない不気味なビル?」
「社長、ナナシビルって、本当にあるんですか?」
「んん。なんかこの前パトカーが張ってたな」
「あ、ロッキーさん。寝てたほうが…」
「社長。ちょっと、風に当たってきます。明日スタジオがつぶれるかもですが…」
「はい、はい、ハーイ、はい。えーよもう好きにして~」
「急に眼が座りますね?」
「藍、七時くらいに戻ってくるから、ロッキーさんをよろしく頼む。」
「あー、いいよもう。あいつ多分、ほっといていいよ。」
「ハーーー……あほくさ……」
「え????」
「アイツのあの目を見るの、これで三回目。」
「ナンシーさんまで……」
「あ、今アイツの体に近づかないほうがいいよ。早撃ちの名手なので」
「明日、会社一つくらいなくなってるな……」
「どりー」
@ どこかの星、どこかの街、どこかのビル
俺は怒れるウサギ。
俺は燃え盛る炎。
俺は今、大型トラックに乗っている。
積み荷は、軽く10tを超える。
積載物は、重火器だ。
ビルの前にある守衛室につっこんで、車は大炎上。
俺の体はこんがり焼けて、シシカバブーの出来上がり。
めでたし、めでたし。
@ どこかの星、どこかの街、どこかのビル
俺は怒れるウサギ。
俺は燃え盛る炎。
俺は今、大型トラックに乗っている。
積み荷は、軽く10tを超える。
積載物は、重火器だ。
守衛室にトラックをつっこませ、直前で車から
飛び降りた。
しかし、警報機の音にかきけされた銃声が3分ほど
こだました。
俺の体は、蓮コラのように穴だらけだ。
めでたし、めでたし。
@どこかの星、どこかの街、どこかの社長室
「ざまあみろ。お前がこの会社をつぶしたんだ。」
勝ち誇ったように高説を語る、サングラスの雑魚。
しかたない。ここの俺は単なる、「使い捨て」だ。
「んじゃ、やり直すしかねえなあ。」
俺はゆっくりたばこをふかす。
「ひゃははは!!何言ってる。お前の奥さんは回され、拷問を受けて駅前にならべられた。藍とかいう子供や、憂とかいうタヌキ。それからナンシー、アンナ、ドリーもか。
全員、変態どもに犯されたあと、発狂するまで拷問されて、ゴミ袋にいれられたじゃねえか!」
「首を斬られるのって、痛いだろうな」
「あ?」
「うん、俺が一番この世でこわいものだよ。宇宙だとかお化けとか、そんなのどうだっていい。でも、首を斬られて死ぬ痛みだけは俺には想像はつかない。だからよ、お前、ちょうどナイフもってないだろ? 銃でたのむわ」
「お前、最後の最後までふざけやがって…!」
「……託すよ。俺も」
「……つぎのセリフを遺言にさせよう。じゃあな」
つめたく突きつけられたマズルに、俺は言った。
「並行世界ってしっとう?」