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1 スーパースター 3
@憂・藍家 リビング
「万造。漫画家はまだ目指しとう?」
「ああ、まあ形式的にはね。でもこの頃はあの傾きかけの会社を支えるので精いっぱいやわ」
「はは。お前が支えたら逆側に倒れるんとちゃう」
「おかしいなそれは。屁理屈をこねる男が嘘ついたらあかんな」
「嘘はつかないよ。冗談は言うけど」
「それほんま?」
「嘘ついたら君と悪友やってへんよ~。」
「こね男。愛しとうよ♡」
「いやや。君に抱かれたら体中の骨が砕け散る」
これはいわゆるところの、外しという奴。ツーと言えばカー。
カーと言えばツー。お互いに、愛してるなどと言われたら、必ず外さなければならない。
受け入れた瞬間僕たちの関係は別のものになってしまう。
僕が愛しているのは今、パチパチ音を立てて料理を作っている藍ちゃんだ。
「万造さん。何人分食べますか?」
「んー。とりあえず特盛で三杯くらいやな。景気づけに」
「夜ご飯に景気づけも何もあらへんがな」
「嫁さんと燃えるためにはいるやろうが」
「なんでお前が寝るねん!!」
「…万造?」
「はい?」
「愛してるよ♡」
「キモイ、死ね」