ある秋の日の生徒会
拙い文章ではありますが、お付き合いいただけると幸いです。
彼と出会って半年が経ちました。そして、夏の日の雨に傘を貸してくれた優しい先輩方と知り合って数か月。
私と彼は生徒会に所属していました。
「どうして会長達は~、書記と会計を私たちにしたのですか~?」
「傘を渡してから、散々交流してたからよ。あなたは信頼できるし彼は仕事できる。あとを任せる前提で一緒に仕事するのはありだと思わない?」
数か月前に行われた生徒会長選挙で、推薦され当選した会長。真面目で責任感の強い彼女がそうなるのは必然で、傍らにいる男性が副会長になるのも必然でした。
そうなると、会長達の数少ない友人の私や彼は巻き込まれるのも、また必然なのでしょう。
(彼と一緒なので~、それで満足ですけど~)
春の日に彼と出会ってから、私は彼のそばにずっといました。一目見たときから、直感でわかりました。この人が運命の人だと。
(実際にそうでしたから~、信じて正解でした~)
私は家事は得意なんですが自分のことがダメダメで、そんな自分を変えたくて一人暮らしをしたわけですが、結果はダメさがパワーアップしただけでした。
(今では彼がいないとお買い物にもいけません~)
一方の彼も、私がいないとお湯も沸かせなくなっていますけど。会長と副会長にこの話をしたら、お互いに少し距離を取るように諭されました。
「会長~、彼に会いたいです~」
「私だって会いたいわよ。でも私達みたいな似た者同士や、貴方達みたいなのは油断すると依存し合うようになるから、我慢よ」
「わかりました~」
妙に実感のこもった会長の言葉に同意しました。
生徒会のお仕事で、家でも中々会えなくなったのは辛いですが、離れてお仕事をするようになって、一つ発見しました。
(彼に会いたいって想うと~、すごく頑張れます~)
家事以外ほとんどダメな私でも、生徒会の仕事が出来るようになってきたのです。現に会長の仕事をミスせず助けられていますので。
「あなたはやれば出来る子なんだから」
「ありがとうございます~」
「もう少ししたら、仕事も落ち着くから、四人で出かけましょう?」
「はい~」
四人で出かけると、普段しっかりしているものの遊び下手な会長と副会長を、駄目なわたしや彼がリードすることになるので、ちょっと楽しかったりします。
(どこか欠けた私達が~、四人だとちょうどいいんですよね~)
先程、運命について触れましたが、会長と副会長に対しても運命を感じていたりします。多分、生涯の友人としてのものを。
「会長~」
「何よ?」
「将来~、私と会長にそれぞれ子供が出来たら~、一緒に遊ばせましょう~。異性でしたら~、もっと楽しみです~」
なので私は、会長に将来のことを語りました。ところがそれを聞いた会長は怪訝な表情を浮かべ、私を見てこう言いました。
「......仕事させすぎたかしら? 普段より言動がおかしいわ」
ひどいです。さらにその日一日、会長が妙に優しかったです。解せません。
帰ったあと、彼とご飯を一緒に食べられたのでそのことを話しました。すると彼はおかしそうに笑いました。
「あはは、僕も副会長といろいろ話したよ。似たようなことも言ったしさ」
「そうなんですか~。副会長は何と言ってましたか~?」
「アホか。将来より目の前のことだってさ。まあ会長と一緒で、内容そのものは否定しなかったけどね」
言われてみれば確かに否定してませんでした。
そうして数年の時が過ぎ、わたしと彼は結婚して一人娘を授かりました。約半年前に元会長と元副会長の間には男の子が産まれたので、あの頃の発言が現実のものになったのです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。短編として投稿しましたが、一応続き物となっております。そしてこれで完結となります。全てお読みいただいた方がいれば、感想をいただけるとありがたいです。