生と死の大会.15(ニヤ=キャメル対ココ=ミエル)
ユナと大会後の約束をした訳だし気合を入れますか。
闘技場に戻ると、ニヤ=キャメルとココ=ミエルは戦ってる。
まぁ、そりゃそうだよな。
ここまで残った二人がそんなすぐに勝負が決まるレベルなはずはないし。
とにかくペンに現状でも聞いてみるか。
「あ、おかえりキョウ君。」
「遅くなった。状況の方はどう?」
「二人共互角って感じでまだ分からない感じかな?今分かってる事はニヤ=キャメルが炎を扱う属性者で、ココ=ミエルも同じ炎を扱う属性者だって事くらい。」
「なるほど。」
(まぁ、時間にしてもそれほど経ってないし炎の属性者同士っていうならなかなか状況が進まないのも納得だ。)
「ただ・・・。」
「え?」
「うん。ただね、ミエルちゃんの方が何か力を隠してる様な気がして。」
(ふむ。まぁ、相手のニヤ=キャメルがその程度の実力者なら本気を出す必要もないしな。なんせ、サポート役がエルリスだもんな。)
そしてなんだかんだで二人の戦いを見守る事15分・・・。
「ふぅ。私そろそろ疲れたから終わりにしたいんだけど。」
「ハァハァ。もう疲れたのか!?これだから女は!じゃ終われよ!」
っと汚い言葉を吐きながらニヤ=キャメルが右手を広げココ=ミエルの方へ向けた。
「ハァハァ。これで終わりだ!エルリス先輩から直々(じきじき)に教わった俺の最強スキル!」
(エルリスに教わったスキル??)
「大爆炎!!」
ニヤ=キャメルの右手から大きな玉がココ=ミエルに向かって発動された。
火球に似ている感じだが、それよりも大きく火球よりも不安定な円球だ。
あれだな、大きさ的に運動会で使用した玉転がしの玉みたいな感じだな。
(ドーーーン!!)
「直撃した。」
「よ、避ける事もできそうだったのに何で・・・。」
(まぁ、そう言うペンの気持ちは凄く分かる。俺も何で?って思ったしな。)
大爆炎の直撃のせいなのか、ココ=ミエルの周囲は赤く燃えた煙で覆われ確認ができないぞ。
「ざまぁみろ!エルリス先輩!やりましたよ!」
これはさすがにニヤ=キャメルの勝ちか?
「死なない程度には火力を抑えてやったから死にはしないだろう!どうだ!!」
(???セリア先生が何も言わない。)
「ふぅ。自身過剰にも程がある。これくらいのスキルで私はやられないし。」
っと赤い煙の方から声が聞こえてきた。
「五行紋開放・・・「青龍炎」。」
(青い炎?同じ炎属性でも色が違う人間もいるのか。)
ココ=ミエルの周りに大きな青い炎の龍が現れた。
側から見ていると引き込まれそうな程綺麗な青色の炎だな。
その炎はニヤ=キャメルの放った攻撃の後の赤い煙を食べつくした。
そして、そのままニヤ=キャメルの方へと。
「うわぁ!な、何だそれ!く、来るな~!」
「ガオォォォ!」
龍の雄叫びと共にニヤ=キャメルは龍の喰われた。
「く、喰われた!!」
「く、喰われた!!」
俺とペンは同時に叫んでしまった。
ってか、そりゃ驚くだろ普通。
「キ、キョウ君あ、あのニヤ=キャメルって人た、食べられたよね。だ、大丈夫なのかな。」
「い、いや、分からないけど。」
(おいおい。マジで大丈夫か?あれ死んでないよな?)
そこでココ=ミエルがボケーっと立ち尽くしながら俺達に言ってきた。
「うん。大丈夫。私の炎は浄化の炎。人を殺す為じゃなく無力にさせる。」
「え、どういう・・・。」
「くっそー!ちょっとビビっちまっただろが!」
(うお。ほとんど無傷だ。どういう事だ?)
「お前の攻撃スキルはどうやら見掛け倒しだけのものみたいだな!」
ニヤ=キャメルはそう言いながら、もう一度「大爆炎」を発動しようとした。
「オラー!大爆炎!!」
(シーン・・・。)
あれ?発動しない?
っていうか、ニヤ=キャメルが大声でスキル名を叫んでから不発で場内が静まり返る状態・・・。
これは正直恥ずかしい。
前世での会議でも何度かあったが、あれは何回経験しても恥ずかしいもんだ。
精神的に強くなければ心がすぐに折れてしまって辞めるヤツもいたっけなぁ。
「ど、どうなってんだ!?クソ!大爆炎!大爆炎!大爆えーん!!」
「もう諦めて。貴方の魔力を封じた以上貴方は五行紋を開放して攻撃ができないから。」
っと、ココ=ミエルが言った。
俺はその言葉を聞いてやっとココ=ミエルのスキルの効果を理解した。
そう。ココ=ミエルの青い炎の龍は攻撃をする為のものではなく、攻撃手段を無くすスキルだったんだ。
とはいえ、やろうと思えば素手や武器なんかを使ってなんて事もできるんだろうけど、今は素手同士だし、それにココ=ミエルは攻撃スキルも使えるだろうから。
「両者、そこまで!」
(え?)
「五行紋を開放してもスキルを発動できないとなると、魔力切れ同様です。ルール規定により勝者をココ=ミエルとします!」
ふむ。やっぱりそうなるよな。
この予選の大会での魔力切れでの敗北は引継ぎだったもんな。
こうしてようやくココ=ミエルとニヤ=キャメルの戦いは終わった。




