生と死の大会.14(ニヤ=キャメル対ココ=ミエル)
「次の生徒を発表します!ニヤ=キャメル!ココ=ミエル!」
俺とペンが闘技場に着くと同時に、闘技台で待機していたセリア先生が大声で言った。
まだ13歳の子供なのに、右腕に刺青をして髪は金髪なのがニヤ=キャメルか・・・。
(ってか、前世の日本で子供がそんなのしてたら大問題だぞ。)
逆にあのココ=ミエルって子はもの静かな感じだな。見た目も小さい子供だ。
(うんうん。やっぱり13歳って言ったらあのくらいが自然だ。)
「二人共、Aクラスの生徒なのか。強そうだね。」
「そ、そうだね。できれば戦いたくないなぁ。」
(まぁ、戦いたくない気持ちは半分は分かるけど、俺的には戦いたい気持ちもあるから何とも共感しがたい。)
「おい!キャメル!女だからって容赦するな!」
っと何やら応援席から怒号が聞こえてきた。
俺とペンは声のする方へとふっと目を向けた。
「げっ!」
「どうしたの?キョウ君。」
「い、いや何でもないよ。ははは。」
(どんな奴かと思ったらエルリスじゃんかよ。あまりにもビックリして口に出ちゃったわ。)
「あ、あのニヤ=キャメルって人のサポート役の先輩凄く怒鳴って怖そうだね。」
いやいや。アイツは自分が立場が大事なだけだろ。
「あんなの気にしない方がいいよ。」
「う、うん。」
怒鳴るだけで、いざとなれば部下に責任を押し付けて自分は逃げる・・・。
前世でそういう人間は何人も見てきたからな。
それはこの世界でも共通のようだな。
っていうか、エルリスなら尚更だ。
できれば同じ兄弟だとこの闘技場の中では知られたくないな。
エルリスの事は見なかった事にして、とにかく二人の戦いを拝見するとしようかな。
「エルリス先輩はあぁ言ってるけど、元から加減するつもりはないわ!へへ!」
「別にいいよ。その方が私も戦いやすいから。」
「Aクラスでもっとも優秀なエルリス先輩がサポート役についた俺に勝てるヤツはいない。女!大怪我するか死ぬか選ばせてやる!へへへ!!それが嫌なら今のうちに降参しとけ!」
(うわぁ。見事にエルリスみたいな感じになっっちゃたねぇ。はぁ。)
「うざい。きもい。貴方と対峙しているだけで吐き気がする。」
「テ、テメェ!」
「二人共、口で戦うんじゃなくて行動で示しなさい!始め!!」
ふむ。とりあえずあれだな。
セリア先生ももっと早くその突っ込みを入れてやれよ。
まぁ、わざとだろうけど。
休憩が入ったから、気持ちが抜けてるだろうから、気持ちを切り替えさせる為にわざと言い合う様な状況になっても、少しの間黙ってたんだろうな。
そして試合が始まった。さてさてどっちが残るか。
「キョウ君!」
「え?」
っと声がした方を振り向くと何故だか知らんがユナがいた。
(え?何でここにいるんだ?まだ俺の試合でもないし・・・。)
「ユナ先輩?どうしたんですか??」
「ごめんね。ちょっといいかな?」
っと言いながらユナは上目目線で俺に申し訳なさそうにして言った。
(くっ。そんな上目目線でお願いされたら嫌とはいえんだろ!)
「全然大丈夫です!」
試合は気になるけど、それ以上にユナの方が気になる。
どんな時代でも、どんな世界にきても、男の性にだけは逆らえんな。
「ペン、ごめん。ちょっとユナ先輩が話があるみたいだから、ちょっと離れるね。」
「うん。一応二人の試合は見ておくから。」
「ありがとう。」
俺はペンに試合の行方を見てもらう事にして、ユナとひとまず静かな場所へ移動した。