ユナの気持ち
アナウンスが流れてから、少し教室の中が静かになりましたが・・・。
「まじかよ・・・。」
「い、一試合目からキョウ君とセナが戦うなんて。」
(俺も驚きだよ。)
「はは。まさか対戦相手がいきなりセナとなんてビックリだな。」
っとセナに軽い感じで言ってみたけどもメッチャ無反応だな。
俺達がとても気まずい空気を漂わせてる中リィン先生は再び口を開いた。
「この大会の優勝者は一名のみです。短い期間とはいえ同じクラスの生徒同士での戦いはツライかもしれまんせん。ですが、それこそがこの学園におけるルールです。シビアかもしれませんが二年生、三年生の先輩達も経験済みなんです。頑張って下さい。」
ふむ。何となく言いたい事は分かるんだよな。
でもやはり同じクラスでそれも女の子と初戦から対戦っていうのは少し困るんだよな。
「ではアナウンスが流れた通り、試合は明日の朝からスタートですので今日は解散して個々でゆっくりと休んで下さい。あ、遅れない様に競技場に集まって下さいね。」
(まぁ、仕方ないか。とりあえずユナに共有だけして俺も今日は身体を休めようとしよう。)
30分後ー。
俺は魔力感知のスキルを使い、ユナの所まで行き聞いた内容や初戦の対戦相手の事を話した。
「まさか、初戦から同じクラスの仲間同士での対戦だなんて・・・。それも相手はセナでしょ。」
「そうですね。正直戦いたくないって言うのが本音です。」
一般的な常識のある人間なら誰もが俺と同じ言い分だろうな。
同じクラスの見知った人物で、さらには女性だぞ。
そりゃ戦いにくいだろ。
「・・・。ねぇキョウ君ってセナの事が好きなの?」
「はい?!」
(いやいや、ユナもまだまだ子供というか青春だなぁ。)
「同じクラスの人間として人間的にレイゲン=セナという女性としても好きですよ。ただ、恋愛的にって意味となるとちょっと違いますね。」
「そっか。」
ふむ。いまいち読めないな。
前世でも女心を読むのが苦手と言うか空気の流れを読むのが苦手というか、てんでダメだったんだよな。
「キョウ君、もしもセナがキョウ君に好意があるって言ってきた上で戦う事になったらどうする?」
(そもそもそういう経験が乏しいからなぁ。何ともいえん。)
何故この場面でそういう質問になるのか分からないが、ユナもまだそういう年頃だし上手い事返答しとくか。
「好意以前にセナとは戦いたくない気持ちはありますし、作戦にしろ何にしろ好意があると言われた上での戦いは正直余計にやりにくいですね。」
「そっか。ねぇ、キョウ君はセナの事が気になってたりするのかしら?」
(一体何が言いたいんだ?)
「え?いや別にそういう気持ちはありませんけど。俺にとってセナは同じクラスの大事な仲間です。」
「そっか。うん!それなら大丈夫ね。」
ふむ。意味が全く分からん。
「セナは頭のいい子だから、きっと同じクラス同士での戦いもあるのは分かってたはず。その上で参加しているのだから、キョウ君もきちんと初戦で戦う事。それがセナとの友情の為でもあるんだから。」
「はい。」
14歳にしてはすごい大人に近い発言だな。
確かに、ユナの言う通りだ。
セナも目指すものがあり、五行属性者として覚悟を持ってこの学園に入学した訳だしな。
「じゃユナ先輩、明日早いので今日は早めに休みますのでこれで失礼します。」
「分かったわ。キョウ君の無事に大会を終れるれる様に応援してるわ。」
「はい。ありがとうございます。」
そうして俺はユナと別れて自分の部屋に戻り、ゆっくりと次の日まで身体を休める事にした。




