空間へ.6
と、いう事で俺とユナは屋上の端っこに到着した訳だが。
確かにさっき魔力感知を使用した時は魔力の渦の様なものが感知したのに、いざ端っこに来たはいいが何もないぞ。
もはや訳が分からん。
「キョウ君、どうしたの?おそらくこの魔力の渦が空間への入り口になってるはずよ。早く入りましょう。」
(あれ?もしかして魔力感知を維持したままじゃないとダメな感じかこれ。)
なんだかんだ魔力を消費する訳だし、無駄に消費をしたくないのが本音でもあるしな・・・。
俺は一応一年早くこの世界で生きてきたユナに聞いてみる事にした。
「あのユナ先輩。もしかしてですけど空間に入ってから出るまでずっと魔力感知を維持しなきゃダメな感じですか?」
「え?何を言ってるの。当たり前でしょ?」
(げ。マジなのか。)
一般的に考えたらこの魔力感知に使用する魔力を平均的に維持しなきゃならん訳だよな。
ど、どうやればいいんだ。
魔力感知でもスキルでも一回使用するだけだったから維持の仕方なんて分からん。
ユナが俺の方をジッと見ている。
「まさかとは思うけど、キョウ君って魔力維持とかできない?」
(どうする。仮にも年下の子にできませんって言うのも正直恥ずかしいぞ。だけどできますって言って全くできないのも男らしくないしな・・・。ふむ。)
今こそ前世での経験が役立つ時のはずだ。
この会話の中での瞬時に言葉を選び導き出すんだ!
「えっとできる事はできるんですけど実は朝が弱くて、維持に集中できないと言うか。」
(え~い、どうだ。)
「そうなのね。まぁ朝に起きてから魔力消費コントロールを扱うのが苦手な人もいるものね。」
(おぉ!さすがは俺!)
「仕方ないわね。ここまで来てキョウ君の身体が完全に起きるのを待つ時間も勿体ないしいい事を教えてあげるわ。」
「いい事ですか?」
「魔力感知でも補助スキルでも同じなんだけど、維持って意識しちゃうと無駄に魔力を消費しちゃうの。そこで簡単な方法としてはイメージする事よ。」
「イメージですか?」
「うん。そうね。とりあえず魔力感知をしてみて。」
どうするのか分からんがとりあえず言われた通りにやるか。
「魔力感知を使用しました。今は目の前に魔力の渦が見えます。」
「じゃ、今目の前にあるその魔力の渦を自分の魔力だと思ってイメージしてみて。そして、その渦が自分の身体全体に流れ渦巻いてるのをイメージして。」
俺はユナの言われた通り、身体全体に魔力の渦が血液の様に身体の中をずっと回っている感じをイメージした。
(ん?何だか身体が突然軽くなったぞ。)
「どう?」
「はい。何だか急に身体が軽くなりました。」
「それは魔力の消費が抑え込まれたからよ。特異属性者のキョウ君ならそのままでも一日いても平気だと思うわよ。」
「あ、ありがとうございます。」
(若いと言っても俺より一年早く経験しているだけあるな。)
そして俺とユナは空間の中へと入っていった。




