空間へ.5
さて、俺は早速覚えたばかりの範囲魔力感知を使って空間を探す事にした。
なんせ、昨日は何もできずに過ごしてしまったからな。
すぐに見つけて昨日の無駄に過ごした時間を少しでも取り戻さないと。
一応、ユナが俺の魔力感知が膨大に広がらない様に補助をしてくれるみたいだ。
「じゃ、ユナ先輩いきます。」
「うん。」
俺は五行紋を開放して魔力を放った。
(水の流れる様なイメージでっと。)
まだ覚えたばかりなのもあり、だいぶ集中しないと範囲魔力感知がただの魔力感知になりそうだな。
教えてもらったコツの通りイメージして力を入れず魔力に意識を集中する。
言うは易し行うは難し(いうはやすしおこなうはかたし)というが全くもって言葉通りだ。
5分・・・-。
「先輩!学園の屋上に一つだけ違和感のある魔力を見つけました。」
「やった!きっとそれよ!」
俺はまだ確実ではないにしろ、ユナの言葉で安堵して範囲魔力感知を終了した。
(範囲魔力感知は消えてしまったが、場所は分かるしまぁ大丈夫だろう。)
でもまさか屋上にも可能性があったとは想定外だったな。
屋上なんて基本的に何もないただのサボる場所ってのが俺の前世からのイメージだからな。
(ハハ。前世の頃は屋上に行く余裕なんてそもそもなかったけどな。)
っと俺はせっせと仕事しまくりの可哀想な前世の俺を頭で思い浮かべながら屋上に足を向けて移動した。
「着いた。」
ん?おかしいな。屋上に着いたものの何もないぞ。
まさか・・・勘違い!
ドキドキ緊張しながら俺はユナをチラっと見た。
「どうしたの?」
(あれ?別に怒ってもないし呆れてる感じでもないぞ。)
いや、さっきは屋上に魔力を感じたんですけど何もないなぁって思いまして。
「確かにパッと見は何もないわね。貴方が特異属性者だと聞いていなかったら私もガックリしてたかもしれないわね。」
(う。胸に刺さる・・・。)
「大丈夫よ。きっとここにあるはずよ。特異属性者は通常の属性者よりも特異だから普通に見えるとは限らないもの。」
(確かにそう言われるとそうだ。よし。)
俺はここへきて改めて範囲魔力感知を使った。
「あ!」
範囲魔力感知を使用したらすぐに分かった。
屋上の一番端っこから魔力の渦の様なものを感じる。
「ユナ先輩、一番端っこの方に魔力の渦が・・・。」
「ビンゴね。おそらくそこが空間の入り口よ。」
ちょっとドキドキするけど、年下の女の子が行く気になってるのに男の俺が狼狽えても駄目だろ。
っと思いながら、覚悟を決めて屋上の端っこへと移動した。




