冒険者ローランド
初めて技術が必要な魔力開放に挑戦しました。
まぁ、校長先生に範囲魔力感知のやり方を聞いたユナに教えてもらいながらだけどな。
っていうか、かなり時間がかかってしまって夕方になってしまった。
さすがに今から空間を見つけたとしても鍛錬にならない。
そういう事で俺とユナは話し合いの結果、今日は諦めて改めて明日にする事にした。
明日にする事にしたのはいいけど、そういえば終わったら教室に戻ってくる事って言われてた様な。
ふむ。ナッグ先生だしこのまま帰っても大丈夫だろう。
一応、明日説明はする事にしよう。
そう判断した俺はテクテクと自分の部屋へと戻って早々に寝る事にした。
次の日ー。
(ガラガラ)
「おはよう・・・。」
(ふむ。誰もおらん。先生もまだ来ていないな。)
身体を十分休めた俺は一応先生に昨日の件について説明をしようと思い教室へと向かったが誰もいない。
ヴァン達は朝からそのままそれぞれの鍛錬に向かったんだろうけど、ナッグ先生はいつ来るのか。
とりあえず俺はナッグ先生が来るまで教室の自分の机で大人しく待つ事にした。
30分ー・・・。
ってまだ来ないぞ。
前世なら会社でもそうだったが、上司なんかは、例え一人になったとしても自分の所属している場所に待機して部下などの報告、連絡、相談を徹底しているはずなんだけどな。
もちろん学校の教師でも同じだ。
まぁ、もしかしたら職員会議なんかで送れる場合もあるだろうが、通常の授業が始まってから30分以上経っている訳だから、他の先生達は授業に出てるから職員会議なんてある訳ないし、そもそも時間には大抵教室にいるのは教師じゃないのか?分からんが。
「仕方ないな。考えても時間の無駄だし直接職員室に行ってみるか。」
俺はそう思い席を立って教室の入り口に向かおうとした時だった。
(ガラ!)
っと勢いよく教室の入り口が開いた。
「あ、いた!」
(ユナ?!)
慌ててこの教室に来た感じだな。
何かあったのか?
「お早うございます。ユナ先輩どうしたんですか?そんなに慌てて。」
「キョウ君、何で教室にいるの!探したわよ!」
え、何でいきなり教室に来て意味不明に俺はいきなり怒られてるんだ。
訳が分からん。
とりあえず、俺のサポート役だし何かを心配してわざわざ来てくれたんだろうし、きちんと説明はしておくか。
「昨日の件での事を一応ナッグ先生に報告しとこうと思いまして。それで教室で待ってたんですが30分以上待っても来ないので今から職員室へ向かおうと思ってたんですよ。」
すると、ユナは頭を手で押さえて深く溜息をついて俺に言ってきた。
「もしかして聞いてなかったの?一年生は鍛錬時期が終了するまで担当の先生との接触は禁止なの。それにナッグ先生は今日の朝一から私用で大会の前日までは戻ってこないのよ。」
(マジか。初耳だぞ。)
「これも伝統の一つで昔から決まってる事だから、他の一年生は言わずとも知ってるはずよ?って何で貴方は知らないの?」
(何でって言われてもなぁ。ナッグ先生も一言も言ってなかったぞ。)
確か、先日の先生の話だと普通は親に話を聞かされてるみたいだが・・・。
仕方ない。父さんには申し訳ないけど適当に。
「え~っと、実は俺の父さんが厳しい人で学園に関わる事も自分で経験して覚えろみたいな感じで言ってて、学園への行き方以外教えてもらえなかったんです。」
俺がそう言うとユナは少し怪しい目で俺を睨んだ状態で言ってきた。
「貴方のお父様って何の職業をされているの?」
「冒険者です。」
「ふ~ん。」
「まぁ冒険者の家系なら頑固な父親が多いとは聞くけど、特異属性者である貴方に何も言わないってちょっと理解できないわ。」
(ほうほう。冒険者は頑固なヤツが多いのか。っていうか特異属性者って多分知らないだろうし。)
「でも冒険者の中でも伝説の一人と称されるローランド様は別格だけどね。」
ふむ。俺の父であるローランドと同じ名前で伝説の一人と言われてる人がいるのか。
一度会ってみたいもんだ。
今度、家に帰った時には父さんにその話をしていようかな。
お、ついでにその伝説の冒険者様がどんな人物なのか聞いとくか。
「ユナ先輩、ちなみにそのローランド様ってどんな人なんですか?」
「あら、興味があるのかしら?フフ、仕方ないわね。よく聞きなさい。」
父さんとの話のネタにしたいだけだから、別に簡単に教えてくれるだけどいいいんだけど・・・。
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30分経過ー・・・。
「っと言う事なの。分かった?」
ユナの表情を見るかぎりまさかとは思ったけど、30分も話されるとは。
まぁ、おかげで一つ分かった事がある。
伝説の一人と称される人物ローランド様・・・。
ユナに聞いた話だとこうだ。
・厳格な感じ。
・仕事が大好きで職業の話になると人が変わる。
・炎の五行属性者である。
・相性が悪いはずの水の五行属性者である妻がおり夫婦円満。
・詳細は分からないが東のメルム平野でいるらしい。
・かつて五行士達と共に魔王を倒した存在でありA級魔物を倒せる程の実力者。
との事だ。
最後の内容はともかく他の内容的に父さんとそっくりだろこれ。
っていうか、これ父さんじゃないか?
いや、まだ分からんが・・・。
そうだ!上の名を聞いてなかったぞ。違う苗字かもしれん。
俺はそう思いユナに冒険者ローランドの苗字を聞く事にした。
「あの、そういえばそのローランド様の家名って何ていうんですか?」
「フフ、きっと聞いたら驚くわよ。光栄に思いなさい。ローランド様の家名はエンペルよ。」
(・・・・・。)
「エンペル=ローランド様よ。偶然にも貴方もエンペルの名を持つ人間だったわよね?エンペル=キョウ君。」
(・・・・・。)
ユナは俺の方を見てニヤニヤしてるな。
きっと同じ家名だから驚いて固まってしまってると思っているんだろうか。
どうしよ。今言うのは簡単だけど言ったら空間を探す所じゃなくなるしな。
っというか、まず一番に俺がローランドの息子かもしれないと予測するものだけどな。
(・・・よし黙っておこう。)
さすがに、そこは俺も人生経験者だ。
憧れの人間の息子が目の前にいるとなると、年頃の子だからな。
多分、話に夢中になってしまい空間とか以前の問題になってしまうだろう。
まぁ、だけど俺にとってはただの父親だが他人に尊敬の眼差しで見られているのは悪くはないな。
大会が終わってからでも教えてやるとするか。
「とにかく俺は俺なりに頑張るので協力お願いします。」
「え、う、うん。」
そしてやっと話が終わり、俺とユナは空間を探す為教室を出た。




