空間へ.4
魔力感知をして感じた部屋をそれなりに調べてはみたんですけど、これはキツイ。
「ふう。」
「はぁはぁ。キョウ君、ちょっと休憩しましょう。」
「そ、そうですね。」
(いや、正直ありがたい。もう1時間以上早歩きで探しまくってるもんな。)
それにしてもさすがに疲れる。
まさか学園の部屋がこんなにあるなんて。
この学園の土地はかなり広いから、一つずつ探してたら何日かかる事やら。
「キョウ君、ちょっと聞きたいんだけど。」
「え?はい。」
「本当に魔力感知をしたの?」
(うわぁ。探し疲れたからって疑ってくるとは・・・。)
「確かに、魔力感知をしたはずなんですけど。」
「う~ん。冷静に考えてみたんだけど、魔力感知ってそもそも使用した人間の五行属性によって質や、距離なんかが変わるのよね。もちろん、魔力量も関係はしてくるけど。」
結局何が言いたいのか分からん。
もっと簡潔に話してもらいたいが、そもそも14歳の女の子だしな。
正直、前世では未成年との会話なんて殆どした記憶がないせいか、若い子とのコミュニケーションの取り方がよく分からん。
いや、そもそもオッサンが未成年の女の子に近づいたりしたら捕まる可能性の方が高い。
そんなこんなで、こういう場合どう接して会話を進めていくべきなのか。
っと考えこんでいたら、サラっとユナが口を開いた。
「キョウ君って何の属性者なの?」
「俺は特異属性者ですけど。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
(んん・・・??)
「え・・・ウソ。」
(し、しまったーーー!!)
考え込んでいる最中に自然に聞かれたものだから、勢いでそのまま答えてしまった。
ど、どうする。このまま冗談ですとシラを切るか。
さすがに前世で色々経験したきた俺だけど、こんな異世界でのこういう時の対処法は全く分からん。
っと思いながら俺はユナの顔を見たまま固まってしまった。
「おや。どうしたんですか?」
突然後ろから声がした。俺とユナは同時くらいに後ろを振り返った。
「あ、校長先生!お早うございます!」
「お早うございます。」
(急に元気なハキハキとした声になったぞ。)
俺はユナの先程までのクタクタな感じから一瞬で元気な女の子に変わった事に対して女の人って怖いと思った・・・。
(まぁ、女性との付き合いなんてロクになかったからこれが普通なのかどうか分からんがな!)
俺が少しボケーっと突っ立てるとユナが小走りで校長先生の所へ行った。
しばらく何かを話こんでいる二人を眺めてみていた。
少ししたらすぐにユナが俺の方へと戻ってきたと思ったら一言。
「キョウ君、範囲魔力感知ってできるかしら?」
(範囲魔力感知??なんじゃそりゃ。)
「いえ、できませんっていうか何でしょうそれは。」
なるほど。察するにユナは校長先生に空間が見つからないからどうしたらいいのか聞いてくれてたんだろうな。
サポート役としてだろうが何気にいい子だな。
ふむ、俺は勘違いをしていたかもしれん。
少しこの子に対してシビアに見ていたんだ。
この子を信用して特異属性者の事は後で伏せてもらおう。
「校長先生に貴方が特異属性者かもしれないっていうのを言ってみたの。」
「はい。」
「そしたら特異属性者なら魔力量が異なるから、普通の魔力感知でもとんでもない距離までの人や場所を感知してしまうから、範囲魔力感知っていうのをしてみては?っとご提案を頂いたのよ。」
ほほう。名前的にも何やら空間が簡単に見つかりそうな感じだな。
っていうか、俺が特異属性者なのを公にしない様に求めたのは校長先生なのに、ユナの問いに対して普通に答えたんかい。
まぁ、公にしないって事だから、多少は知られても問題ないって事だろうな。




