空間へ.3
「さぁ、じゃ行きましょう。」
あれから10分くらい悩んだが、ユナの強引な押しに負け結局ユナにサポートを頼む事になったんだよね。
特異属性者の事はバレない様にと言われてる訳だが、バレたら仕方ないよな。こういう場合は。
とまぁ、俺も開き直って前へ進む事にした。
「えっと、行く前に空間の場所がまだ分からないんですよね。」」
「キョウ君は先生に何て言われたの?」
「学園のある場所に特別な空間があるので、そこへ毎日通う事。」って言われました。
ユナは拳を作り、口元に置き一人ブツブツと言い出した。
(メッチャ考えてるなぁ。サポートってそんなに真剣に対応しなくちゃならんのか。)
「学園のある場所に特別な空間があるのなら、それは普通の人では絶対に入れない空間って事だと思うのよね。キョウ君限定なのか複数いるのか分からないけど。」
ふむ。聡明な子だ。
まぁ、俺も思った事だが特別な空間って事は多分特異属性者限定の空間なんだろう。
それを踏まえると、普通の五行属性者はそりゃ入れないだろうな。
13歳の年齢でここまで深読みできるなんて一種の天才だな。
「キョウ君、魔力探知はできるわよね。」
(とにかく集中したら気配を感じるヤツの事だろ。)
「何とかできます。」
「じゃ、さっそくやってみて。魔力探知は人や魔獣を感知する以外にも、魔力を帯びた部屋とか各属性者だけが入れる場所とかあるから。」
魔力探知ってかなり便利だな。
前世でこんな探知機能を持ってたら確実に億万長者になってだろうな。
っと欲にまみれた考えは控えてっと。
俺は改めて魔力感知を発動した。
集中してみると、色々な場所にたくさんの人の気配や、細かい部屋なんかが頭の中で一気に溢れ出てくる感じだ。
(ヤバイ。メチャクチャ吐きそうだ。)
もしかして魔力感知による副作用なのか。
まるで、グルグルと遊園地のコーヒーカップに乗ってる気分だ。
さすがにちょっとヤバイからちょっと座って落ち着こう。
っとその場に座り込んだ訳だが、ユナが心配そうに俺を見てきた。
「え、キョウ君大丈夫?」
「魔力感知の副作用なのか分かりませんけど、急に大きな眩暈がしまして。すみません。」
俺がそう言うとユナは首を傾げながら言ってきた。
「魔力感知による副作用は存在しないはずなんだけど。」
ユナはそう言うが間違いなく魔力感知を使用した瞬間に起こった症状だぞ。
というか、考えれる余裕がないくらい気分が悪い。
まぁ俺の代わりにユナが考えてくれてるみたいだからいいや。
5分後ー・・・
5分経ったけど、まだ少しふらつくな。
けど、さっきよりはマシな気がするな。
正直、この状態で空間探しなんてしたくないが、俺的にも男のプライドがある。
ユナの手前、今日は止めときましょう。なんて言えん。
このままこの場に留まってても時間の無駄だし、早く空間を見つけて後でゆっくり休もう。
そう思った俺はユナに言った。
「あの、さっきよりはだいぶマシになったんで、行きましょう。」
「え・・・あ、うん。そうね、行きましょう。」
(ん?なんだ?やけに落ち着きのない言動だな。)
そして、俺とユナは空間を探すべく、俺の魔力感知で感じた場所を一つ一つ探す為行動に移った。




