空間へ.2
これがドラマなら、偶然出会った二人は恋に落ちて・・・みたいな感じになるんだけどなぁ。
ユナの発言的にもしかしたら特異属性者の可能性も考えれるけど、とはいってもユナは二年生だし一年生の俺には関係ないか。
「じゃ、俺行きますんで失礼します。」
「ちょっと待って。」
(はぁ、進まない。)
「どうしたんですか?」
「鍛錬に行くのはいいけど、サポートの上級生はどうしたの?」
んん??
サポートの上級生?
ナッグ先生には一言も言われてなかったぞ。
「え・・・っと、サポートって。」
「一年生の大会までの鍛錬なんかをサポートする上級生よ。基本的に一年生の場合は上級生が大会が始まって終わるまで一人に対して一人付く事になってるの。貴方のクラスのメンバーの所にも朝早く担当する上級生が迎えに行って一緒に行動を共にしているはずよ。」
(え、何で俺だけいないんだ?先生よーーー!)
っと叫びながらナッグ先生に聞きに行きたい所だけど、元オッサンとしてのプライドもあるしな。
俺がヴァン達の部屋を見に行った時はすでにいなかったし、それを踏まえると俺が一番最後に自分の部屋を出た事になる。
その時点で誰も訪れた感じもなかったし、まさか先生が俺の担当をする上級生に伝えるのを忘れてたなんて事はまずないはずだ。
っと思う・・・。
まぁ、いないなら仕方ないし特異属性者の事はなるべく伏せて置くように校長先生にも言われてるし、何とかやってみよう。
ってか、前世ではほぼ一人での仕事だったし、一人行動も多かったしな。
(何より、独身だったから、家でも一人だ。)
「いないなら仕方ありませんし、俺一人で鍛錬をしてみます。色々お話できてよかったです。失礼します。」
俺はユナにそう言ってその場を後にしようとした。
すると、ユナがすぐに口を開いて言ってきた。
「ちょっと待ちなさい。」
(またか・・・。二回目だぞ。)
こうやってる間にも時間だけは過ぎていく。
まさかユナもあれなのか・・・。
前世でも実在していたあの伝説のあれなのか。
「もしサポートする上級生が誰もいないなら私がサポートしてあげてもいいわよ?」
(おぉ。唐突だな。)
うむ。違ったようだ。てっきり無駄に世間話をしたがる話好きなオバサンの一族の人間かと思ったぞ。
とまぁ、それは置いといてサポート役を買って出てくれるのは嬉しいがどうしたものかな。
俺的には右も左も分からないヒヨコみたいなものだからかなり嬉しい申し出なんだが、校長先生やナッグ先生の手前俺が特異属性者である事がバレたらと考えるとな。
俺は両腕を組んで、ウ~ンっと悩んだ。
この世界に転生してこれだけ悩むのは初めてだわ。




