大会へ向けて.3
俺とペンが内容を理解できた所で、ようやくナッグ先生が話を始めた。
「セナさんが説明してくれた通り、大会に関して望まない親御さんがいるのも事実だけど参加不参加は基本的に本人の自由だからね。そして僕的にはこのクラス全員が是非大会に参加して上位を狙えると思ってます。」
(??クラス全員で上位?そんなに甘くないだろ。)
まぁ、気にしてても仕方ないしナッグ先生と同意見で俺も参加するなら優勝はしたい所だな。
卒業してから職業がどうとかはまだ現時点では、そこまで深く考えなくてもいいだろうし。
「それと今回の大会からは個別のみのトーナメント大会となったからね。」
「え?クラスグループでの大会はないんですか?」
(お、セナが少し取り乱したぞ。)
「う~ん。そうだね。」
ナッグ先生の返事に困った表情をしているけどどうしたんだ?
後で聞いてみるかな。
「ハハハ!その方が俺はいいぜ!協力なんてのは面倒くさいだけだからな!」
(はいはい。お前は分かったから少し静かにしてくれラルドよ。)
「そうだな。俺も個人同士の大会の方が嬉しいな。自分の力がどれだけか分かるしな。」
(お、珍しくヴァンが口を開いたな。)
聞いてる感じ13歳という年齢でこれだけ自分の考え方を主張できる子供達は凄いな。
なんだかんだ言ってもこの世界は前世での俺のいた時代よりも進んだ時代なんだなぁ・・・。
っと渋々感じちゃう俺ってやっぱりオッサンだな。
とりあえず、セナの相談に乗ってやりたい所だけど・・・さてどうやって聞き出そうか。
っと考えてる内に先生が口を開いた。
「と、言う事で今から皆の属性や魔力を測るからね。呼ばれた順にこっちに来てね。」
そして先生は教室に正面奥にある部屋の中に入っていった。
(ふむ。)
おそらくだけど五行属性をお互い見せない為だろう。
すでに見せてしまった俺やラルドは仕方ないとして、セナ達の五行属性は知らないな。
とは言っても俺の場合、属性が特異属性だから見せたっていっても一部になるんだろうけど。
ハハ、ミコトから祝福を受けて五行属性を得た時を思い出すな。
基本的には身内以外の他人は五行属性を教えないみたいだな。
この学園の生徒達はまだ10代前半の子供なのに、しっかりと大人達や歴史をきちんと守り抜いてるって事か。
素晴らしい。
とまぁ考えてる内にさっそく先生の声がした。
「じゃ、まずはペイル=ヴァン君からね。」
先生が少し大きな声でそう言うとヴァンは席を立ちあがり、奥の部屋へと入っていった。
さてヴァンが出てくるまでどうしたものか。
「あ、あのエ、エンペル君。」
(ん?ペンが自分から俺に話かけてくるのは初めてだな。)
「ん?どうしたの?」
「い、いやふと思ったんだけど、もしかしてエ、エンペル君のお父さんってエンペル=ローランドっていう人じゃないかなぁって思って。あ、違ったらご、ごめん。同じ苗字だったからつい。」
「いや、間違ってないよ。俺の父さんはローランドだよ。」
っと言うと突然ペンは目をキラキラと輝かせながら俺の方へグイっと近づいてきて話を続けた。
「や、やっぱり!ぼ、僕ローランドさんのファンなんだ!」
(マジか。父さんの仕事の詳細は分からんがそこまで人気がある人だったとは。)
「あ、ありがとう。父さんもそれを聞いたら喜ぶと思うよ。」
「ローランドさんの息子であるエンペル君と一緒のクラスだなんて最高だよ。やっぱり将来はローランドさんみたく冒険者になるんですか?」
(な、何かメチャクチャ喋りにくい感じだな。)
「その予定はないけど。とりあえず卒業してから考えるかな。後、同級生だし別に普通に喋ってくれてもいいよ。それとキョウでいいよ。俺も普通にペンって呼ぶからさ。」
「う、うん。あ、ありがとう。宜しくお願いします。」
「は、はは。その敬語はいらないからね。宜しく。」
俺の父さんの話題だったけど一瞬で終わったな。
まぁ、少し弱々しく感じる少年だけど話しやすくていい少年だ。ただもう少し堂々とした方がいいだろうな。
まぁ、それは後々きちんと言ってやるか。
それもペンの為になるしな。
(ガチャ)
という様な些細な話題の会話をしている内にヴァンが出てきたようだな。
まぁ時間潰しにはなったようだな。
「では次はロイ=ペン君どうぞ~。」
っとそこでペンが呼ばれて次ペンはすぐにヴァンに入れ替わり中へと入っていった。




