大会へ向けて.2
さて、セナさんが答える内容でペンがショックを受けるか受けないか。
「何故二人が大会の事を知らないか。それは単純に貴方達の両親があえて大会の事を伏せているからよ。」
「え、ど、どういう事?」
「俺もよく分からないんだけど。」
(明確に言ってくれって。)
「この大会は本来この東西南北この世界に生きる人間の将来を決める重要な大会でもあるの。大会で上位に上がった人間は、卒業後の職業がかなり優遇される事になるわ。」
「そ、そんな凄い大会だったんだ。」
(へ~。)
「「王国騎士」、「王国属性者」、「冒険者」、「学園職員」を目指す人間にとっては一番の近道でもあると言われているの。ただ一つ五行特異魔導士である「五行士」を除いてね。大会は毎年、全生徒が学年やクラス関係なしに個別での戦いをしているわ。」
「な、なるほど。だからこそグロリペンス学園の大会はゲイル王国を含めた東西南北全ての人間が知ってるって訳だね。」
それはいいが、こっちが本当に聞きたい事がまだ分からないままだよな。
ペンは自分から何かを言ったりするのは苦手そうだな。
仕方ない。俺が聞いてやるしかないか。
「大会については分かったんだけど、結局俺とペンの親が大会について伏せていた訳も知りたいんだけど。」
「あ、そ、そうだった。」
(あ、コイツ話に夢中になってしまって忘れてたな。)
まぁ、とはいってもまだまだ子供だしな。
でもそれを考えるとセナの説明の仕方は13歳とは思えないレベルだよな。
俺を除くとこのメンバーではかなり精神年齢高そうだな。
前世でも女性は男性よりも精神年齢が高く成長するって聞いた事あるけど、こっちの世界も同様か。
っと、そこでセナが話の続きをし出した。
「本来大会の件に関しては小さい頃や、学園に入学する前に事前に親が教えるものだけど、それを伏せた場合の理由は三つしかないわ。」
1.家の事情で大会への参加自体望んでいない場合。
2.本人が無属性又は、魔力がかなり弱い。
3.大会への危険的な可能性。
「以上の三点よ。」
いや分かんねぇわ!
これは俺でも分からんぞ。
唯一分かったのは無属性者や魔力がかなり弱いって内容だけ。
「ごめんセナ。もう少し分かりやすく教えてもらえると嬉しいんだけど。」
「ぼ、僕もちょっと分からない。」
俺とペンでそう言うとセナは静かに溜息をついた。
(いやいやいや、何その何で分からないの的な溜息は。)
「家が元々、農業なんかの家業をやっている場合後継者が必要なので、親からすれば自身の子供に五行紋を使いこなせた上で卒業してもらい家業に役立ててもらえればそれで良しとしてる家が多いの。それがまず一つ・・・。」
(ふむふむ、納得。)
「次に、無属性者又は魔力が弱い子供に対して過度な期待をしてもダメだからよ。親からすれば心配の種になるだけよね。」
う~ん。ちょっと今のは俺的には引っ掛かる感じだな。
まず努力をしてみて、結果それが卒業までに変化する可能性もある訳だしな。
この世界ではそれらの過程は関係ないのか?
っていうか13歳までは誰でも無属性者なんじゃないのか?
「最後はそのままの意味で、親から見て自身の子供が将来的に危険人物になる可能性を危惧した場合。又は、将来的以前にあまりの強大な属性や魔力による大会参加者に対する心配から参加を望まない親御さんがいるらしいわ。」
「そ、そういう事だったんだ。」
「セナ、ありがとう。おかげでよく理解できたよ。」
最後のはそういう意味だったのか。
最後の内容に関しても気になる所だな。
前世では親が子を信じてやるの一般的だし、まだ将来がある子供を危険人物かもしれないと考える親なんていないもんな。
ただ、改めて考えると父さんもシビアな感じだったし、前世での世界と違いこちらではそれが一般的なのかもしれないな。
とりあえず分かりやすく説明するのは面倒くさかっただろうが、おかげで俺とペンは大会に関しての詳細をやっときちんと理解する事ができた。




