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転生して五行属性者になっちゃった  作者: カナト
五行の儀式の章
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プロローグ

30歳の誕生日を迎えた日の夕方に恭一きょういちと言う名前の俺は交通事故で死んでしまった。

丁度仕事が休みの日曜日が俺の誕生日で、友人達と一緒に飲んでいた。

そこまではよかったんだが、夕方になり他の店へと移動しようとしていた途中、横断歩道に小さな女の子が渡ってたんだ。

さもありきたりな話だが、そこにスマホを見ながら運転していたオッサンがトラックで猛スピードで向かってきた。

女の子は向かってくるトラックに気づき、横断歩道の真ん中で立ち止まってしまっていた。

トラックに乗っている運転手はスマホに目がいってしまい、気づいていない。

このままじゃ・・・。

っと思ってたら身体が勝手に動いてた。

酔ってたからなのか、正義感溢れる行動・・・。

俺も等々ヤケが回ったのか。


横断歩道の真ん中にいる女の子の前へ急いで駆け寄り、女の子を端っこへ突き飛ばした。

と、同時に(ドン!)っと大きな音が耳に重く響いた。

トラックは見事に俺を跳ね飛ばしたみたいだ。


かなり速度が出ていたみたいだし、俺もこれで終わりだろうな。


不思議と身体に痛みはなく、フワフワと浮いているそんな気分だった。

薄れていく意識の中、知らない人達が近づいてスマホを撮っている。


(いやいや、それどころじゃないだろう。警察と救急車を呼べよ。)


意識がだんだんと薄れていく中で、思った事が一つあった。

トラックに跳ね飛ばされたってのに、痛みは不思議とない。

それどころかフワフワして気持ちいい感じだ。

死ぬってこんな感じなのか。

そう感じているのは、もしかしたら俺だけかもしれないけどね。

目を閉じた状態だったから、わからんが、さっきまでザワザワとした周辺のヤツ達の声が無くなった。

ってことは、完全にお亡くなりになったんだ。

死んでしまったって事は今の俺は幽霊みたいな感じなのかもしれん。

とりあえずいつまでも目を閉じてても仕方ないので、ゆっくりと目を開けた。


(あれ??)


目を開けると、さっきまでいた道で一人ポツンと横になっている状態だ。

訳が分からんが、身体の痛みはない上に怪我も一切していない。

全く訳が分からん。

ただ、さっきよりも少しいつもと違う違和感がある。

夕方にトラックに跳ね飛ばされて、普通は大事故だし死んじゃうレベルだけど、生きてたとしよう。

だが、問題は夕方と言っても日曜日の夕方だぞ。

それに、ついさっきまで人がわんさかいたのに、俺が目を開けて急にいなくなるとかマジ考えれん。

人だけじゃなく、車の一台すらも走ってない。


「どうしたらいいんだ?とりあえず考えても仕方ないし家に帰ろうかな。」


独り言をポツリと呟きながら俺はその場所か移動しようとしたら、、それと同時くらいにだ。


「どこへ行くのだ?」


ふと声がしたんだな。女性の声みたいだが、少し子供的な声?

けど、さっきまで誰一人としていなかったんだから声がする方がおかしい。

おかしいと言うなら、俺の周辺に車どころか人一人もいない状態の方がおかしいけどね。

とにかく恐る恐る声のする方をゆっくり向いた。

そこにいたのは、白い装束に身を包んだ見た目20歳くらいの女性だった。

若いのもあるだろうけど、普通に可愛い感じの子だ。


ーいや、でも誰一人いない状況だったはずなのに、急に現れたって事はもしかして・・・)

まぁまぁ、冷静だった俺は普通に幽霊かと疑った。


「おい。何を一人ブツブツ言っておるのだ。」


(ブツブツ考え込むだろ、普通は。)


まぁ、幽霊でも今の状況を知っているのなら、聞いてみるしかない。


「いや、俺の前に突然現れたし、幽霊なんじゃないかなぁって思ってな。」


その言葉を聞いてキョトンとした女性はクスクス笑いだした。


「フフフフ。そうか、幽霊かと思ったのか。フハハハ。」


(コイツ、何がそんなに可笑しいんだ?)


「いやいや、すまぬな。まさか、魂の状態の人間に幽霊などと言われたのは初めてでな。」


そんなに面白い事を言った覚えはないが、ウケてもらえて何よりだ。

それに雰囲気的に幽霊ではなさそうだ。

けど、俺はとてつもなく一つ疑問がある。

それは、今女性が言った言葉だ。

魂の状態の人間?なんじゃそりゃ。

聞くのか・・・。聞くのが一番だが。また笑われないのか。

だが、聞かないと何も分からないからな。

笑われるのは覚悟で聞こう。


「なぁ、一つ聞いていいか?」


「ん?なんじゃ?」


「いや、さっき魂の状態の人間とか何とか言ってたけど意味が分からん。」


(またか・・・またなのか。また何言ってんだコイツはみたいなキョトンとした顔をしてやがる。)


「なんじゃ、気づいていないのか?お前はもう死んでおるのだぞ。死んで今お前は魂だけの状態になっておるのじゃ。」


「へ?いや、確かにトラックに跳ね飛ばされはしたけど、現に今こうやって道路のど真ん中で立っている訳だし。」


「それは魂の状態になったお前が創り出した現実ではない現実だからじゃ。そうじゃな・・。試しに宙に浮くのを想像しながら飛んでみ?」


(あほか。そんな想像しながら飛べるなら有名人だわ。)


(ふわ)


「え!!ちゅ、宙に浮いた!」


「ほらな?これで納得したか?」


確かに納得だ。

生きているなら、こんな不可思議な事をできるはずもない。

それに、この大通りで車も人も全くいないのもうなずける。

生まれて死んで初めて宙に浮けた訳だが、何だろうな。

全く嬉しくない。それよりも人生が終わった事がかなりショックだ。

いや待てよ。俺が死んだとしたら目の前にいる女性は何なんだ?

死神か?やはり幽霊か?神の使いか?

聞くしかないか。


「なぁ、俺が死んだのは理解したけど、結局お前は何者なんだ。」


「いやいや、そこは何よりも最初に聞くべき点じゃろ。」


(うるせぇ)


「私はミコト。この世界とは違う異世界の神じゃ。」


「異世界の神ぃ?」


「なんじゃ、その目は!信じておらぬな!」


「いや、信じるも何もいきなり神様って言われてもなぁ。何だか想像していた感じとは違うし。」


「それはお前達人間が勝手に想像して作り出した神じゃろ?こんなもんじゃ。」


(こんなもんじゃって言われてもなぁ。)


ミコトと名乗る女性が神様として、死んでしまった俺に何の用なのか。

天国か地獄に案内する為に降臨したのなら、まぁ分からんでもないが。

でも、どうせなら今のうちに人類が夢に見た空中浮遊で地上の色々な場所を見て回りたい。

とりあえず聞いてみない事にも何も分からん。


「とりあえず、神様が来たって事は俺は天国か地獄に連れていかれるのか?」


「うむ。実はの、それがそうでもないんじゃ。」


(ん???)


「実はの、お前はまだ寿命で死ぬ訳でも今日死ぬ日でもなかったんじゃな。だが、何かの手違いで今日死んでしまった。それでこっちの世界の神がどうしたらいいのか困り果ててな。急遽きゅうきょ、違う世界の神である私が対応する事になったのじゃ。」


話を聞いていると、何だか、俺達の社会と変わりがないような気がするが。

だが、話の内容を聞いている限りじゃ、どうやら俺はこのまま天国か地獄に行く訳でもなさそうだ。


「それで俺はこれからどうなるんだ?」


「そこで提案だ!死んだ状態のお前の魂をあの世に連れて行って、記憶を完全に消して生まれ変わらせるか、魂の記憶はそのままに私のいる異世界で新たな人生を生きるかを決めて欲しい。」


おー。思った以上の予想外な質問が返ってきた。

正直、人生30年結婚した事もなく、余生を一人寂しく生きる事になってたしな。

完全に記憶が消えて生まれ変わったとしても、新鮮さがないしな。

と、なれば答えは一つしかない。

俺は異世界に転生して生きる。

転生なんてマンガみたいな話だが、事実目の前に異世界の神と名乗るミコトがいる訳だし、実際に死んでる訳だし。


「異世界で人生を生きてみたい。でもその前に地上の色々な場所を見て回りたい。」


「異世界で生きるか!よし分かった!地上を見て回るのは諦めろ。」


「いや、ちょっとくらい時間は・・・」


って俺が話している途中で、ミコトは俺の頭に手をかざし、よく分からん呪文みたいなのを唱えだした。


「では、次なる人生を存分に生きるんじゃぞ。」


ミコトのその言葉を最後に急に眠気みたいなのが走り、意識がフッとなくなった。

---------------------------------------------


「キョウ!キョウ!」


何やら、少し離れた場所から女の人の声がする。

そもそも俺はどれくらい寝ていたんだろう。

まだ目は開けていないが完全に目が覚めたな。

俺はゆっくりと目を開ける。


(ま、まぶしい。)


目を開けると、太陽の日差しが眩しく俺を照らす。

その瞬間、今までの記憶とは別に違う記憶が一気に頭を駆け巡った。


そうだ。俺は転生したんだ。

今の俺はキョウ。エンペル=キョウという名前だ。

それも今日で丁度13歳になるんだ。

前世で転生マンガとかあったけど、実際転生したらこんな感じなのか。

今の俺はエンペル家の次男で、二階の部屋にいるんだ。

さっきから俺を呼んでいるのは母親のエンペル=クリス。


(記憶通りなら、俺の意識自体は13年間くらい眠ってたって事か。)


そんなに長い年月寝ていた感じもないけど、案外一瞬な感覚なんだな。

ともかくこれからが俺の第二の人生の幕開けだ。


























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